文献情報
文献番号
201922013A
報告書区分
総括
研究課題名
在宅医療の提供体制の評価指標の開発のための研究
課題番号
H30-医療-一般-012
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
川越 雅弘(公立大学法人埼玉県立大学 大学院保健医療福祉学研究科)
研究分担者(所属機関)
- 飯島 勝矢(東京大学高齢社会総合研究機構)
- 川島 孝一郎(仙台往診クリニック)
- 福井 小紀子(大阪大学 大学院医学系研究科)
- 篠田 道子(日本福祉大学 社会福祉学部)
- 山岸 暁美(慶應義塾大学 医学部衛生学公衆衛生学教室)
- 坂井 志麻(杏林大学保健学部看護学科)
- 石川 ベンジャミン 光一(国際医療福祉大学 大学院医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
6,240,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は、3つのサブ研究(研究1:既存指標の検証と修正案の検討、研究2:指標の継続的な測定方法の検討、研究3:指標の効果的な活用方法の検討)を通じて、次期医療計画策定時に活用可能な在宅医療の評価指標修正案、ならびに実効ある計画遂行方法の提案を行うことを目的とする。
研究方法
本年度は、上記目的を達成するために、以下の研究を実施した。
1)指標に関する研究(①退院支援に関する指標の検討、②看取りに関する指標の検討、③レセプトで収集可能な指標の検討)
2)市町村の事業マネジメントの現状・課題と改善策に関する研究
3)都道府県の効果的な事業評価に向けたロジックモデルとレセプトで収集可能な指標の対応関係の検討、および、在宅医療提供体制の構築(連携を含む)に向けた、指標を用いた事業マネジメントの推進のモデル市での試行とその評価に関する研究
1)指標に関する研究(①退院支援に関する指標の検討、②看取りに関する指標の検討、③レセプトで収集可能な指標の検討)
2)市町村の事業マネジメントの現状・課題と改善策に関する研究
3)都道府県の効果的な事業評価に向けたロジックモデルとレセプトで収集可能な指標の対応関係の検討、および、在宅医療提供体制の構築(連携を含む)に向けた、指標を用いた事業マネジメントの推進のモデル市での試行とその評価に関する研究
結果と考察
指標に関する研究から,以下の点が明らかになった。
1)神経難病患者の入退院支援の指標の検討・検証の結果,5因子(①病院・在宅スタッフとの協働,②退院後の生活を見据えた支援,③病状の変化についての話し合い,④多職種で患者・家族の気持ちに寄り添う,⑤退院後の支援体制の整備)、合計24項目が抽出された。
2)終末期の意向に関する話合いを行っていた住民は4割で,その特徴として、①健康不安を持っていること、②死を身近に意識していること、③話合いをするための他者との交流の機会があること、④配偶者などの同居家族がいることが示された。
3)昨年度整理した「医療・介護レセプトデータで集計可能な指標案(暫定版)」について、自治体職員を交えた更なる検討を実施し、在宅医療の4場面別に、アウトカム指標・プロセス指標・ストラクチャー指標が整理できた。
市町村の事業マネジメントに関する研究から,以下の点が明らかになった。
1)市町村の在宅医療・介護連携推進事業に関する計画では,基本目標の具体化(目指す姿の具体化)、現状との比較を通じた課題の具体化、課題が生じた要因分析などの記載はほとんど見受けられない。
2)事業の目的や目標を十分に検討しないまま、手段である対策(施策や事業)から考える傾向が強い(手段が目的化しやすい)。
3)事業マネジメントが適切に運営できない最も中核となる課題は、ツールがないことではなく、それらを活用する考え方が身に付いていないことである。
指標の活用方法に関する研究と、事業マネジメントの推進のモデル市での試行から,以下の点が明らかになった。
1)汎用性のあるロジックモデルの最終目標、場面別目標に医療・介護レセプトで収集可能なアウトカム指標とプロセス指標が対応し、現状でも入手できるプロセス指標を経年的に把握することで一般使用デザインによるインパクト評価が可能であること
2)多様な関係者(医療・介護職,多部門の市町村職員,住民,市会議員など)が,在宅医療に関する地域の課題を共有するためには,事例から現状・課題を認識する手法が,また,目指す姿(目的・目標)と施策の整合性を図るとともに,多様な関係者に課題と対策の関係性を理解してもらうためには,ロジックモデルが有効な手段と考えられた(施策・事業の経時的な一貫性の観点を含め)。
3)具体的な事例分析に基づく課題設定を行い、施策を一元化して示すことにより、関係部局、市会議員、市民、市内医療介護施設からの関心と理解が深まり、施策実践への主体的な関与につながる手応えが得られた。
1)神経難病患者の入退院支援の指標の検討・検証の結果,5因子(①病院・在宅スタッフとの協働,②退院後の生活を見据えた支援,③病状の変化についての話し合い,④多職種で患者・家族の気持ちに寄り添う,⑤退院後の支援体制の整備)、合計24項目が抽出された。
2)終末期の意向に関する話合いを行っていた住民は4割で,その特徴として、①健康不安を持っていること、②死を身近に意識していること、③話合いをするための他者との交流の機会があること、④配偶者などの同居家族がいることが示された。
3)昨年度整理した「医療・介護レセプトデータで集計可能な指標案(暫定版)」について、自治体職員を交えた更なる検討を実施し、在宅医療の4場面別に、アウトカム指標・プロセス指標・ストラクチャー指標が整理できた。
市町村の事業マネジメントに関する研究から,以下の点が明らかになった。
1)市町村の在宅医療・介護連携推進事業に関する計画では,基本目標の具体化(目指す姿の具体化)、現状との比較を通じた課題の具体化、課題が生じた要因分析などの記載はほとんど見受けられない。
2)事業の目的や目標を十分に検討しないまま、手段である対策(施策や事業)から考える傾向が強い(手段が目的化しやすい)。
3)事業マネジメントが適切に運営できない最も中核となる課題は、ツールがないことではなく、それらを活用する考え方が身に付いていないことである。
指標の活用方法に関する研究と、事業マネジメントの推進のモデル市での試行から,以下の点が明らかになった。
1)汎用性のあるロジックモデルの最終目標、場面別目標に医療・介護レセプトで収集可能なアウトカム指標とプロセス指標が対応し、現状でも入手できるプロセス指標を経年的に把握することで一般使用デザインによるインパクト評価が可能であること
2)多様な関係者(医療・介護職,多部門の市町村職員,住民,市会議員など)が,在宅医療に関する地域の課題を共有するためには,事例から現状・課題を認識する手法が,また,目指す姿(目的・目標)と施策の整合性を図るとともに,多様な関係者に課題と対策の関係性を理解してもらうためには,ロジックモデルが有効な手段と考えられた(施策・事業の経時的な一貫性の観点を含め)。
3)具体的な事例分析に基づく課題設定を行い、施策を一元化して示すことにより、関係部局、市会議員、市民、市内医療介護施設からの関心と理解が深まり、施策実践への主体的な関与につながる手応えが得られた。
結論
実効性のある医療計画を推進するためには,1)ロジックモデルに沿った計画策定の推進,2)目標達成状況のモニタリングに対する有用性と継続的な測定可能性の両面からみた指標の検討が必要である。
公開日・更新日
公開日
2021-11-16
更新日
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