在宅及び慢性期の医療機関で療養する患者の状態の包括的評価方法の確立のための研究

文献情報

文献番号
201922012A
報告書区分
総括
研究課題名
在宅及び慢性期の医療機関で療養する患者の状態の包括的評価方法の確立のための研究
課題番号
H30-医療-一般-011
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
飯島 勝矢(国立大学法人 東京大学 高齢社会総合研究機構)
研究分担者(所属機関)
  • 田宮 菜奈子(筑波大学 医学医療系)
  • 川越 雅弘(埼玉県立大学 大学院保健医療福祉学研究科)
  • 石崎 達郎(地方独立行政法人 東京都健康長寿医療センター)
  • 福井 小紀子(大阪大学 大学院医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
8,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、医療・介護レセプトデータや住民調査により得た指標等を用いて、在宅及び医療機関で療養する者の状態像を評価するとともに、療養場所の分類を行い、医療政策に資する指標の開発・検討を行うことを目的とした。
研究方法
本年度は医療・介護レセプトデータを用いた集計を継続するとともに、患者(住民)アンケートを新規に実施し、医療・介護レセプト等既存情報との接合作業を開始した。
医療・介護レセプト等既存情報を用いた分析では、昨年度に引き続き、療養場所の分類として、入院・介護施設・集合住宅・それ以外の(狭義の)自宅という4分類を設定した上で、Ambulatory Care-Sensitive Conditions(ACSCs)、Potentially Avoidable Hospitalization(PAH)、Comorbidities、Frailtyといった患者状態像を評価する概念として先行論文で用いられているものを利用し、医療・介護レセプトから患者状態像を分類する作業を継続した。
患者(住民)アンケート等の新規取得データとレセプト等既存情報の接合分析については、柏市在住の要介護者約7,000名を対象として本年度末に無記名(接合用のIDのみ付与)の郵送アンケートを配票し、令和2年4月に回収を行った。本報告書執筆時点(令和2年5月末)において、約3,400名より回収された。
結果と考察
令和元年10月単月の介護保険の算定実績データと接合を行い、住民アンケートで得られた各種主観的指標(主観的健康感、主観的幸福感、生活満足度、サービス満足度、抑うつに関する2項目)を従属変数とする暫定的な回帰分析を行ったところ、集合住宅入居者(介護付き有料老人ホーム及び認知症グループホームといった居住系サービス利用者)や介護保険施設入所者(介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護療養型医療施設利用者)は、自宅居住者(居宅サービス利用者)に比べて、主観的幸福感(p=.018, p=.006)、生活満足度(p=.008, p=.009)が有意に低かった。また、集合住宅入居者は、自宅居住者に比べて、介護・医療サービスの満足度が有意に低く(p=.023)、抑うつに関する項目(この1か月間、どうしても物事に対して興味がわかない、あるいは心から楽しめない感じがよくありましたか)において、抑うつの徴候を示す者が多い傾向にあった(p=.059)。
結論
本年度実施した住民アンケート調査の設問は、今後の政策的応用を想定し、介護予防・日常生活圏域ニーズ調査の設問と一部重複させている。介護予防・日常生活圏域ニーズ調査は主に自立高齢者を対象とした調査であるため、本年度に実施したような要介護者向けの調査と並行して実施することにより、各市町村の高齢者の全体像を把握することができる。また、医療・介護レセプトとの接合が可能なようにアンケートにIDを付与して実施することで、医療・介護サービスの利用状況、療養場所、住民の主観的指標のすべてを時系列で把握することが可能となり、中長期スパンでの施策評価に活用することができると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2021-11-16
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2021-11-16
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201922012Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
6,800,000円
(2)補助金確定額
6,800,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 416,410円
人件費・謝金 2,946,955円
旅費 72,184円
その他 1,875,051円
間接経費 1,500,000円
合計 6,810,600円

備考

備考
不足額10600円については、自己資金を充当した。

公開日・更新日

公開日
2023-05-01
更新日
-