小児救急医療体制の品質評価・最適化・情報発信のための小児救急医療統合情報システムの開発研究

文献情報

文献番号
201922001A
報告書区分
総括
研究課題名
小児救急医療体制の品質評価・最適化・情報発信のための小児救急医療統合情報システムの開発研究
課題番号
H29-医療-一般-007
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
清水 直樹(聖マリアンナ医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 志馬 伸朗(広島大学大学院医歯薬保健学研究科)
  • 太田 邦雄(金沢大学医学系小児科学)
  • 新田 雅彦(大阪医科大学救急医学教室)
  • 種市 尋宙(富山大学大学院薬学研究部( 医学)小児科)
  • 中山 祐子(金沢大学附属病院集中治療科)
  • 津田 雅世(兵庫県立こども病院救急総合診療科)
  • 伊藤 友弥(あいち小児保健医療総合センター救急科)
  • 多屋 馨子(国立感染症研究所序感染症疫学センター)
  • 岬 美穂(鶴和 美穂)(国立病院機構災害医療センター臨床研究部)
  • 藤原 幸一(名古屋大学プロセス情報工学研究室)
  • 吉澤 穣治(東京慈恵会医科大学小児外科)
  • 黒澤 寛史(兵庫県立こども病院小児集中治療科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
3,870,000円
研究者交替、所属機関変更
研究代表者 清水直樹 H29-30は東京都立小児総合医療センターであったが、 H31(R元)より聖マリアンナ医科大学医学部へ異動

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では小児救急医療統合情報システム網の構築のための基盤研究を行う。
研究方法
コアレジストリ導入検証後に最終化し、フリーアクセス可能な全国展開をする。付加機能としての新興再興感染症サーベイランス機能についても、全国的な検証を加えることとした。
結果と考察
重篤小児患者にかかる共有調査フィールドを前提とした登録病名・重症度・転帰項目が統一されたコアレジストリが完成した。登録病名は日本集中治療医学会ならびに豪州集中治療医学会ICU患者データベースと同一である。汎用性が高く最新の重症度指標と転帰指標を用いることで、コアデータの有用性を担保した。コアレジストリ試験運用は、関東・中京・北陸3地域で開始され、最終化にむけている。新興再興感染症サーベイランス機能については、新型コロナウイルス感染症の国内流行が始まったことから継続試用し、病原体不明呼吸不全による全国小児人工呼吸管理症例数がリアルタイムにモニターできることとなり、新興再興感染症の発生可能が小児集中治療室等を発端として発見される準備も整えた。#8000研究については、アウトカムデータとのリンクにかかる基礎データを得た。
重篤小児患者にかかる共有調査フィールド・登録病名・重症度・転帰項目を共有・統一することで、現行の関連複数レジストリの活動を阻害することなく、その活性を維持しつつ将来的な統合化の展望が開けた。本研究を進める中で、レジストリ入力をはじめとする様々な事務作業にかかる医師の勤務状況の把握の必要性があり、特に小児地域支援病院などの比較的少ない医師により診療を維持している施設における検討が必要な可能性があった。#8000研究についても、旧来の研究ではなかったアウトカムデータとのリンクの可能性と必要性が具体的に示された。
結論
コアレジストリ設計においては、登録病名・重症度・転帰項目等を共有・統一することで、国内・国際比較が可能となり、PDCAサイクルにも有用に用いられうる。このプラットフォームの認識普及と共有が、重篤小児患者にかかる3学会共通調査ファールドでさらに求められる。

公開日・更新日

公開日
2021-11-16
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2021-11-16
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
201922001B
報告書区分
総合
研究課題名
小児救急医療体制の品質評価・最適化・情報発信のための小児救急医療統合情報システムの開発研究
課題番号
H29-医療-一般-007
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
清水 直樹(聖マリアンナ医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 志馬 伸朗(広島大学大学院医歯薬保健学研究科)
  • 太田 邦雄(金沢大学医学系小児科学)
  • 新田 雅彦(大阪医科大学救急医学教室)
  • 種市 尋宙(富山大学大学院薬学研究部( 医学)小児科)
  • 中山 祐子(金沢大学附属病院集中治療科)
  • 津田 雅世(兵庫県立こども病院救急総合診療科)
  • 伊藤 友弥(あいち小児保健医療総合センター救急科)
  • 多屋 馨子(国立感染症研究所感染症疫学センター)
  • 岬 美穂(鶴和 美穂)(国立病院機構災害医療センター臨床研究部)
  • 藤原 幸一(名古屋大学プロセス情報工学研究室)
  • 吉澤 穣治(東京慈恵会医科大学小児外科)
  • 黒澤 寛史(兵庫県立こども病院小児集中治療科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究者交替、所属機関変更
研究代表者 清水直樹 H29-30は東京都立小児総合医療センターであったが、 H31(R元)より聖マリアンナ医科大学医学部へ異動

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では多彩な小児救急疾患の初期対応から安定化・高度医療、すなわち#8000等の電話相談、トリアージと緊急搬送、小児集中治療まで、シームレスに稼働しうる小児救急医療統合情報システム網の構築のための基盤研究を行う。小児救急医療体制の最適化、小児救急疾患の予後改善と医療品質改善、最終的には、地域で安心して子育てができるための社会環境改善に還元することを目的としている。
研究方法
初年度研究では、既存の小児救急関連レジストリの個別情報と特性を網羅的に調査し、レジストリ項目を再整理することとした。その際には、多面的評価指標と学際的調査フィールドを重要視し、諸学会担当委員会との調整を行う。次年度研究では、コアレジストリを複数の特定モデル地域の学際調査フィールドへ導入し、複数の既存レジストリとの連結を試験的に実施して両者の検証を実施することを調整することとした。最終年度研究では、コアレジストリ導入検証後に最終化しフリーアクセス可能な全国展開をすることとした。新興再興感染症サーベイランス機能についても、全国的な検証を加えることとした。#8000については、その周知にかかる研究、電話相談看護師のinter-rater variationの調査による質的評価、各自治体の努力状況の比較調査を行う。旧来の研究では得られていなかった電話相談内容と診療のアウトカムを連結させた研究可能性を模索する。
結果と考察
初年度研究では、既存小児救急関連レジストリについて、調査対象レジストリの収集項目を全て確保し、網羅的に全レジストリを俯瞰可能にした。関連学会担当委員会との調整等もほぼ終えて、次年度以降のモデル地域の調整も進めた。次年度研究では、重篤小児患者にかかる学際的共有調査フィールドを定めた。コアレジストリの項目と、共通登録病名、重症度・転帰項目を明確にした。レジストリ間の連携については、日本集中治療医学会ICU患者データベース(JIPAD)を軸とする妥当性が昨年度研究で示されコアレジストリに反映させた。最終年度研究では、重篤小児患者にかかる共有調査フィールドを前提とした登録病名・重症度・転帰項目が統一されたコアレジストリが完成した。登録病名は日本集中治療医学会ならびに豪州集中治療医学会ICU患者データベースと同一である。汎用性が高く最新の重症度指標と転帰指標を用いることで、コアデータの有用性を担保した。コアレジストリ試験運用は、関東・中京・北陸3地域で開始され、最終化にむけている。新興再興感染症サーベイランス機能については、新型コロナウイルス感染症の国内流行が始まったことから継続試用し、病原体不明呼吸不全による全国小児人工呼吸管理症例数がリアルタイムにモニターできることとなり、新興再興感染症の発生可能が小児集中治療室等を発端として発見される準備も整えた。#8000関連研究については、電話相談後の医療施設におけるアウトカムデータとのリンクをする方法についても議論され、それに関する基礎データを得た。小児救急関連レジストリは多学会を学際的に横断し、調査項目の重複や定義の不一致などの問題点が多々抽出された。最小労力で最大効果を出すためにも、また、将来的に既存レジストリを有効に活用しつつ統合して一定の情報網として活用するためにも、項目整理と用語定義ならびにコア情報レジストリの策定と提供・活用が望まれた。重篤小児患者にかかる共有調査フィールド・登録病名・重症度・転帰項目を共有・統一することで、現行の関連複数レジストリの活動を阻害することなく、その活性を維持しつつ将来的な統合化の展望が開けた。本研究を進める中で、レジストリ入力をはじめとする様々な事務作業にかかる医師の勤務状況の把握の必要性があり、特に小児地域支援病院などの比較的少ない医師により診療を維持している施設における検討が必要な可能性があった。#8000については、トリアージや治療結果との連携がないとその質的評価に繋がらない問題があり、今後の要解決課題と考えられた。最終年度までに、旧来の研究ではなかったアウトカムデータとのリンクの可能性と必要性が具体的に示された。
結論
重篤小児患者コアレジストリによる調査フィールド共有・入力項目の統一と他レジストリ連携の促進、ならびに#8000関連のアウトカムデータとの連結は、極めて有効な小児救急関連研究インフラ整備方略であり、継続的に進めてゆく。コアレジストリ設計においては、登録病名・重症度・転帰項目等を共有・統一することで、国内・国際比較が可能となり、PDCAサイクルにも有用に用いられうる。このプラットフォームの認識普及と共有が、重篤小児患者にかかる3学会共通調査ファールドでさらに求められる。#8000データセンター有効利用のためにも、アウトカムデータとの連結が課題となる。

公開日・更新日

公開日
2021-11-16
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2021-11-16
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201922001C

収支報告書

文献番号
201922001Z