文献情報
文献番号
201921009A
報告書区分
総括
研究課題名
肝がん・重度肝硬変の治療に係るガイドラインの作成等に資する研究
課題番号
H30-肝政-指定-003
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
小池 和彦(東京大学 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
- 泉 並木(武蔵野赤十字病院 消化器科)
- 考藤 達哉(国立研究開発法人 国立国際医療研究センター 肝炎・免疫研究センター)
- 工藤 正俊(近畿大学 医学部)
- 久保 正二(公立大学法人 大阪市立大学 大学院医学部研究科)
- 宮田 裕章(慶應義塾大学 医学部)
- 建石 良介(東京大学 医学部附属病院)
- 長谷川 潔(東京大学 医学部附属病院)
- 江口 有一郎(佐賀大学 医学部附属病院 肝疾患センター)
- 吉治 仁志(公立大学法人奈良県立医科大学・医学部医学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服政策研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
53,847,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
(1)National Clinical Database(NCD)のプラットフォーム上に構築した肝癌・非代償性肝硬変患者レジストリを用いて、頻回入院が必要になる肝癌・非代償性肝硬変症例データを収集する。登録施設に対して、症例登録にともなうインセンティブを支払う。
(2)肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業で収集された臨床個人票を収集し分析する。
(2)肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業で収集された臨床個人票を収集し分析する。
研究方法
(1) NCDのプラットフォーム上に構築した肝癌・非代償性肝硬変患者レジストリを用いて、NCD参加施設に対して、登録を依頼した。2020年1月に一旦登録サイトを閉じ、中間解析を行った。
(2)各都道府県から厚労省経由で送付される、臨床調査個人票をデータベースに入力し、基本統計について解析を行った。
(2)各都道府県から厚労省経由で送付される、臨床調査個人票をデータベースに入力し、基本統計について解析を行った。
結果と考察
(1)2019年度の有効入力件数は、初回治療情報7541件、入院情報13179件であり、累計初回治療情報14351人、入院情報21590件分の入力を得た。初回治療情報の内訳は、肝癌12448人、非代償性肝硬変3826人(重複あり)で、入院情報の内訳は、肝癌17251件、非代償性肝硬変5328件(重複あり)であった。入院ベースの解析では、入院時に活動性肝癌を有していたのは、17251件、非代償性肝硬変を合併していたのは、5278件であり、B型肝炎合併例がそれぞれ10.2%、5.9%、C型肝炎合併例が29.8%、19.0%であった。
活動性肝癌合併例から見た入院回数ごとの非代償性肝硬変合併率を見たところ、入院回数を増すごとに肝硬変合併率は、1回目の4.4%から4回目の10%超に増加している一方で、非代償性肝硬変から見た活動性肝癌の合併率は、1回目入院の17.5%から4回目入院の23.4%までは単調に増加していたが、それ以降はむしろ減少していた。
(2) 2019年1月末までに32都道府県において294例の登録があった。患者の平均年齢は、71.7±8.8歳、男性190人、女性103人(記載漏れ1人)、肝癌200人(68.0%)、非代償性肝硬変22人(7.5%)、両者合併72人(24.5%)であり、背景ウイルス肝炎は、B型92人(31.3%)、C型197人(67.0%)、両者合併5人(1.7%)であった。
考察
(1)肝癌・非代償性肝硬変患者レジストリは問題なく機能しており、肝癌・非代償性肝硬変に関する複数回入院の解析に供するデータが収集されている。複数回入院の8割近くが肝癌入院であり、純粋な非代償性肝硬変治療目的の入院は少数である。肝癌・非代償性肝硬変ともにウイルス肝炎非合併例が過半数を占めるようになっており、わが国の肝疾患関連入院が大きく変わりつつある事が伺える。
(2)登録患者数は、潜在的な患者数よりも少ないと考えられ、肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業のさらなる周知が必要と考えられた。
活動性肝癌合併例から見た入院回数ごとの非代償性肝硬変合併率を見たところ、入院回数を増すごとに肝硬変合併率は、1回目の4.4%から4回目の10%超に増加している一方で、非代償性肝硬変から見た活動性肝癌の合併率は、1回目入院の17.5%から4回目入院の23.4%までは単調に増加していたが、それ以降はむしろ減少していた。
(2) 2019年1月末までに32都道府県において294例の登録があった。患者の平均年齢は、71.7±8.8歳、男性190人、女性103人(記載漏れ1人)、肝癌200人(68.0%)、非代償性肝硬変22人(7.5%)、両者合併72人(24.5%)であり、背景ウイルス肝炎は、B型92人(31.3%)、C型197人(67.0%)、両者合併5人(1.7%)であった。
考察
(1)肝癌・非代償性肝硬変患者レジストリは問題なく機能しており、肝癌・非代償性肝硬変に関する複数回入院の解析に供するデータが収集されている。複数回入院の8割近くが肝癌入院であり、純粋な非代償性肝硬変治療目的の入院は少数である。肝癌・非代償性肝硬変ともにウイルス肝炎非合併例が過半数を占めるようになっており、わが国の肝疾患関連入院が大きく変わりつつある事が伺える。
(2)登録患者数は、潜在的な患者数よりも少ないと考えられ、肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業のさらなる周知が必要と考えられた。
結論
肝癌・非代償性肝硬変に関する入院毎のデータが順調に収集されている。2018年4月以降のデータであるため、長期的な経過を解析するためには、今後もデータの集積が必要である。
公開日・更新日
公開日
2021-02-26
更新日
-