非加熱血液凝固因子製剤によるHIV感染血友病等患者の長期療養体制の構築に関する患者参加型研究

文献情報

文献番号
201920024A
報告書区分
総括
研究課題名
非加熱血液凝固因子製剤によるHIV感染血友病等患者の長期療養体制の構築に関する患者参加型研究
課題番号
H30-エイズ-指定-002
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
藤谷 順子(国立研究開発法人 国立国際医療研究センター リハビリテーション科)
研究分担者(所属機関)
  • 柿沼 章子(はばたき福祉事業団)
  • 江口 晋(長崎大学大学院・移植・消化器外科学)
  • 遠藤 知之(北海道大学・血液内科)
  • 三田 英治(国立病院機構 大阪医療センター・消火器科)
  • 四柳 宏(東京大学医科学研究所附属病院・感染免疫内科)
  • 大金 美和(国立国際医療研究センター・エイズ治療研究開発センター)
  • 小松 賢亮(国立国際医療研究センター・エイズ治療研究開発センター)
  • 潟永 博之(国立国際医療研究センター・エイズ治療研究開発センター)
  • 石原 美和(宮城大学・看護学研究科)
  • 竹谷 英之(東京大学医科学研究所付属病院・関節外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策政策研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
55,770,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
非加熱血液製剤によるHIV感染血友病等患者の長期療養上の問題点の実態を調査し、支援するとともに、適切な医療・ケア・支援を長期にわたり地域格差なく提供できる体制の構築に貢献する事が目的である。様々な側面を包括的、かつ患者視点に配慮しつつ検討し、その成果を均霑化し、より良い制度の実現、人材育成に生かす提言を行う。
研究方法
虚血性疾患のスクリーニング研究には72名が登録し、冠動脈造影検査(CAG)の適応が15名(24%)、5名に治療が必要だった。PMDAセカンドオピニオン症例88名に病病連携支援を行った結果、血友病関連治療・HIV関連治療・肝臓関連治療の支援のほか、医療費相談、療養環境相談の支援が必要であった。に関する相談が46件、在宅支援や療養環境の調整などが7件、各種手当に関する相談などが18件と、福祉や生活に関する連携も多かった。
運動機能維持のためのリハビリ検診会は全国5か所で実施され、多施設共同研究として71症例の患者データ、187名の参加スタッフ調査の解析を行い、運動機能の低下やADL障害が確認されたが、参加者のリハビリへの意欲は向上し、スタッフにも益になるなど、検診会の有用性が示された。
結果と考察
運動機能維持のためのリハビリ検診会は全国5か所で実施され、多施設共同研究として71症例の患者データ、187名の参加スタッフ調査の解析を行い、運動機能の低下やADL障害が確認されたが、参加者のリハビリへの意欲は向上し、スタッフにも益になるなど、検診会の有用性が示された。
心理面接の介入前向き研究では、中間解析ではあるが、心理面接の満足度が高く、研究参加を契機にカウンセリング等の支援の適切利用につながることが示唆された。、
全国実態調査には234名が回答し、包括的QOL尺度であるSF-36の身体機能、日常役割機能は一般男性の80代相当であった。現在の健康状態について1年前より悪化したと答えた症例が32%あった。通院負担の相対的増加が明らかとなり、今後通院への支援・医療機関の変更・転居など、支援の選択肢が必要と思われた。訪問健康相談の実証研究では受診支援・家族介護負担軽減・病状悪化予防に効果が認められた。iPadを用いた支援では、高血圧の改善や、受診や服薬順守改善の事例があった。高度医療機関近隣への転居に伴う実証研究では、高度・専門的な医療の確保と通院負担の軽減が得られたが、生活費・家事負担、食生活などには課題があった。
結論
薬害被害HIV症例においては、血友病・HIV・肝疾患及びその他の疾患の頻度が増しており、多彩な分野加熱血液凝固因子製剤によるHIV感染血友病等者の長期経過という未体験の状態を、包括的かつ多面的に把握して支援体制の構築を図るための本研究から、肝疾患の管理には引き続き経過観察と診療の均霑化が必要であること、虚血性疾患についても積極的なスクリーニングが必要であることが示唆された。また、病病連携の分析から、内科疾患の治療や管理のみならず、関節症の管理、社会的サービスの利用などについても、より徹底した診療と連携が必要であることが明らかとなった。身体機能の低下に対するリハビリテーション、心理面接などが効果を有することが示唆された。
医療へのアクセスを守りつつ、さまざまな機能の低下・変化に合わせて社会資源を利用しつつ質の高い生活を構築するために、現在の居場所を選択する場合でも、高度医療機関の近くに転居する場合でも、訪問を含めた積極的な支援と意思決定支援、治療へのアクセスの確保・予防(生活習慣+早期受診)・孤立感・緊急時リスクなどに目を配った支援、社会参加の支援などの多彩な施策が必要である。

公開日・更新日

公開日
2021-06-01
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2021-06-01
更新日
2023-07-12

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201920024Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
72,500,000円
(2)補助金確定額
72,500,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 15,262,108円
人件費・謝金 21,222,024円
旅費 9,535,386円
その他 9,787,514円
間接経費 16,730,000円
合計 72,537,032円

備考

備考
自己資金を37,032円支出した。

公開日・更新日

公開日
2021-06-01
更新日
-