生活習慣病予防のための栄養素、非栄養素成分等の最適摂取量に関する多施設共同研究

文献情報

文献番号
199800759A
報告書区分
総括
研究課題名
生活習慣病予防のための栄養素、非栄養素成分等の最適摂取量に関する多施設共同研究
課題番号
-
研究年度
平成10(1998)年度
研究代表者(所属機関)
田中 平三(東京医科歯科大学難治疾患研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 五十嵐脩(お茶の水女子大学生活環境研究センター)
  • 磯博康(筑波大学)
  • 久代登志男(日本大学)
  • 古野純典(九州大学)
  • 武林亨(慶應義塾大学)
  • 松村康弘(国立健康・栄養研究所)
研究区分
厚生科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康科学総合研究事業
研究開始年度
平成10(1998)年度
研究終了予定年度
平成12(2000)年度
研究費
9,250,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
栄養素等(エネルギー、食物繊維、蛋白質、脂質、ビタミンA、ビタミンD、ビタ
ミンE、ビタミンK、ビタミンB群、パントテン酸、ビタミンC、ナトリウム、カリウム、塩
化物、塩素、カルシウム、マグネシウム、りん、亜鉛、セレン、鉄、銅、マンガン、モリ
ブデン、クロム、フッ素、ヨウ素)の所要量あるいは必要量に関する文献をリストアップ
し、日本人の所要量策定のために有用な情報を提供する。生活習慣病の1次予防のための
栄養素等の最適摂取量に接近している疫学的研究文献を整備する。
研究方法
検索するデータ・ベースの主たるものは、MEDLINEとする。他のデータ・ベース
はChemical Abstracts、FSTA、医学中央雑誌、JOIS日本語文献(紀要、学会抄録等)であ
る。検索のキーワードは、栄養素検索語と所要量関連検索語とする。文献タイトルにより
スクリーニングあるいは絞りこんだものをCD-ROM化し、栄養所要量策定検討委員会に提出
する。食事摂取量と生活習慣病に関する研究を整理するためのモデルを構築する。文献の
質的評価のできる"文献分類法"を確立する。
結果と考察
所要量関連検索語を基本的に次の5つとした:Nutrition Policy (MeSH)、Nu
tritional Requirements (MeSH)、Dietary Supplements (MeSH)、Allowance (MeSH)、Ove
rdose (MeSH)。これら5個の基本検索語をORで結合して検索した。そして、各栄養素の特
性に合わせた検索語を定めた。栄養素検索語と上記5個の基本検索語の集合レコードをAN
Dで結合して検索し、さらに各栄養素のオプション項目(OR結合)とをORで検索した。その
結果、47,453文献がリストアップされた。文献タイトルによるスクリーニング結果、15,4
79件まで絞り込むことができた。これら15,479件の著者名、タイトル、雑誌、発表年、巻
(号)、最初の頁、最後の頁、要約(abstract)を全てCD-ROM化した。このデータ・ベー
スをEND NOTE3に取り込み、利用者が文献に対するコメントを自由に記入(入力)できるシ
ステム(文献一覧Viewerと命名)を作成した。栄養素検索語の決定は比較的容易である。
例えば、vitamin Cとして検索すると、億滴語にascorbic acidも検索できるようになって
いるからである。しかし、所要量関連検索語の決定には、MeSHのtree structureを十分に
点検しておく必要がある。すなわち、tree displayを使って、そのindexを見る。例えば、
Recommended Dietary AllowanceはMeSHではNutrition Policyに関連させられている。さ
らに、栄養素によっては、許容摂取量の上限値のあるもの、いわゆる悪影響を示すもの、
代謝平衡試験の実施されるもの、生物学的利用効率が重要なもの等があるので、いわゆる
オプション項目の設定を必要とするものがある。最初に検索されてきた文献数は、合計47
,953件で、栄養素1個について、5,000~6,000件もリストアップされたものもある。あま
りにも多く、実用性に乏しい。そこで、タイトルのみで、スクリーニングを行うことにし
た。これには、相当の栄養学の知識を必要とし、全件のスクリーニングには多大の時間を
要した。その結果、約1/3の15,479件となったが、栄養素によっては、なおも1,000件を超
えた。これらのabstractをレビューし、その後、文献の原文をコピー、精読するには、こ
れだけに従事していても数年を要するであろう。そして、系統的レビュー、あるいはメタ
・アナリシスを行うことは、非常に困難である。製作したCD-ROMの有用性、効率性をはか
る便法を次年度に検討したい。文献を質的に評価するために、"文献分類法"を考案した
。分類項目は、研究の種類(疫学方法論によるものとレビュー文献によるもの)、雑誌の
種類(質を区別するもの)、食事摂取量の評価方法(妥当性・再現性検討の有無を含む)
等である。がんを除く生活習慣病の自然史を"因果の綾"(Web of causation)に基づい
て整理し、evidence modelと命名した。当該文献が、自然史のどの箇所を検討したもので
あるかを明示するもので、有用性の高いものであると考えられる。
結論
所要量の策定、生活習慣病の1次予防のための栄養素等最適摂取量設定のために、
膨大な文献を系統的にレビューするためには、本年度に構築したデータ・ベースを次年
度以降さらに改善していかなければならない。すなわち、有用性の高いものにしていかな
ければならない。

公開日・更新日

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