文献情報
文献番号
201920014A
報告書区分
総括
研究課題名
MSMにおける予防啓発活動の評価手法の確立及びPDCAサイクル構築のための研究
課題番号
H30-エイズ-一般-006
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
塩野 徳史(大阪青山大学 健康科学部 看護学科)
研究分担者(所属機関)
- 金子 典代(公立大学法人名古屋市立大学 看護学部)
- 健山 正男(国立大学法人琉球大学大学院医学系研究科 感染病態制御学講座分子病態感染症学分野)
- 松岡 佐織(国立感染症研究所 エイズ研究センター)
- 山本 政弘(独立行政法人国立病院機構九州医療センター AIDS/HIV総合治療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策政策研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
12,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
日本ではCBO(Community based organization)・医療者・疫学研究者等による協働のもと予防啓発が進められ、先行研究ではMSM(Men who have sex with men)のコンドーム使用行動は20%促進され、より感染リスクの高い層への啓発も進められているが、地方地域では都市部と比べ格差がある。日本全体では予防啓発活動基盤は脆弱で予防規範は未成熟であり、CBOは疲弊している。今後の活動にはスマートフォン普及によるゲイツーリズム活性化や外国籍MSMもふまえることが重要であり、オールジャパンでの取り組みが効果的な手法と考えられ、その体制を整備していく必要がある。
研究方法
初年度に引き続き、現在展開されている予防啓発活動を整理し、実態の把握方法と評価の体制を整備し、2回の意見交換の機会を設定した。その中で①社会疫学的見地からの評価 ②CBOによる相互間の評価 ③相談支援者・HIV陽性当事者からみた予防介入の効果評価 ④予防行動に関する量的データ収集および包括的分析からの評価 ⑤日本のMSMにおけるHIV感染動向の把握と予防啓発活動の評価 ⑥医療者による新規患者・診療動向からの評価を試行した。
結果と考察
研究1ではモニター登録者を対象とした質問紙調査を実施し、PrEP経験別に分析を進めた。PrEPを現在利用している人でも情報について知っていると回答している人は45.8%であり、服用したいと回答している人でも16.6%と知っている人の割合は低く、今後予防啓発にPrEPの情報を含めていく必要があることが示唆される。
また研究2でコミュニティセンターが果たしてきた機能の評価の基礎資料が得られ、コミュニティセンターの報告書等に還元された。新たな知識(研究1)や日本全体の予防啓発活動の認知(研究2)については先行研究ではほとんど把握されておらず重要な基礎資料が得られると考える。研究4では流入が増加している外国人MSMの予防行動の実態を把握し、今後の展開を検討するために試行的に調査を実施した。日本での性行動は日本のMSMと同程度行われている一方で、日本におけるHIV検査の情報が浸透しておらず、検査機会が少ない状況であることが示唆された。
研究3、研究5の結果を通して日本の疫学的なHIV感染の動向を評価し、照らし合わせたうえで、研究6で医療職者からみえる現場の状況は、CBOにとって直接的なメッセージとなり、MSMにおける予防啓発活動の評価手法の一助となり、ハイリスク層におけるセクシュアルヘルスの向上につながることが期待できる。
また研究2でコミュニティセンターが果たしてきた機能の評価の基礎資料が得られ、コミュニティセンターの報告書等に還元された。新たな知識(研究1)や日本全体の予防啓発活動の認知(研究2)については先行研究ではほとんど把握されておらず重要な基礎資料が得られると考える。研究4では流入が増加している外国人MSMの予防行動の実態を把握し、今後の展開を検討するために試行的に調査を実施した。日本での性行動は日本のMSMと同程度行われている一方で、日本におけるHIV検査の情報が浸透しておらず、検査機会が少ない状況であることが示唆された。
研究3、研究5の結果を通して日本の疫学的なHIV感染の動向を評価し、照らし合わせたうえで、研究6で医療職者からみえる現場の状況は、CBOにとって直接的なメッセージとなり、MSMにおける予防啓発活動の評価手法の一助となり、ハイリスク層におけるセクシュアルヘルスの向上につながることが期待できる。
結論
次年度は、各成果を軸に、予防啓発活動の方向性を検討する。
公開日・更新日
公開日
2021-06-01
更新日
-