文献情報
文献番号
201920008A
報告書区分
総括
研究課題名
HIV感染症の曝露前及び曝露後の予防投薬の提供体制に関する研究
課題番号
H29-エイズ-一般-009
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
水島 大輔(国立研究開発法人国立国際医療研究センター エイズ治療・研究開発センター)
研究分担者(所属機関)
- 谷口 俊文(千葉大学・医学部附属病院)
- 生島 嗣(ぷれいす東京)
- 照屋 勝治( 国立研究開発法人国立国際医療研究センター エイズ治療・研究開発センター )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策政策研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
11,250,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
1. HIV感染症の曝露前予防(PrEP:pre-exposure prophylaxis)の提供体制に関して、我が国での妥当性、実現可能性の評価を目的とし、当院に設立された男性間性交渉者(MSM:men who have sex with men)コホートで、単群介入試験による小規模のpilot studyを施行する。
2.国内でのPrEP導入の参考とするため、海外で先行するPrEPの取り組みの事例を調査し、国内でのPrEPの妥当性、実現可能性を評価する。
3. 日本におけるPrEPおよび非職業従事者の曝露後予防内服(nPEP:non occupational post-exposure prophylaxis)に関する認知度、ニーズを明らかにするために、MSMを対象にインターネットを介した大規模調査を実施する。これによりPrEPおよびnPEPの効果的な提供体制について検討する。
4.HIV患者の診療の均てん化のためには、針刺し等のHIV曝露後の予防内服(PEP)体制が、HIV拠点病院以外の一般医療機関においても整備される必要がある。現時点におけるPEP体制の全国の整備状況を把握して問題点を抽出し、これらの解決法の模索・提言を行うことで、日本でのHIV診療の均てん化を目指す。
2.国内でのPrEP導入の参考とするため、海外で先行するPrEPの取り組みの事例を調査し、国内でのPrEPの妥当性、実現可能性を評価する。
3. 日本におけるPrEPおよび非職業従事者の曝露後予防内服(nPEP:non occupational post-exposure prophylaxis)に関する認知度、ニーズを明らかにするために、MSMを対象にインターネットを介した大規模調査を実施する。これによりPrEPおよびnPEPの効果的な提供体制について検討する。
4.HIV患者の診療の均てん化のためには、針刺し等のHIV曝露後の予防内服(PEP)体制が、HIV拠点病院以外の一般医療機関においても整備される必要がある。現時点におけるPEP体制の全国の整備状況を把握して問題点を抽出し、これらの解決法の模索・提言を行うことで、日本でのHIV診療の均てん化を目指す。
研究方法
1. PrEPのpilot studyでは、対象者に抗HIV薬ツルバダ一日一回一錠のdaily PrEPを実施し、PrEP開始前後のHIV/STI罹患率を評価するために、一群による介入試験を実施する。対象者のリクルートのためにMSMコホート(SH外来)を設立し、PrEP開始前のHIV/STI罹患率を評価しており、令和元年度は、PrEPのpilot studyの組入完了者をフォローし、PrEPの日本における実現可能性を評価する。
2. PrEPの海外の先行事例調査は医療体制が日本と類似している欧米の事例の検証が重要である。欧豪の調査を行い、さらにPrEP先進国である発展途上国に調査を広げていく。令和元年度には、先進国・途上国を対象とし、PrEP提供体制の制度的側面も含めた調査を行う。
3. MSM向けの出会い系アプリ利用者を対象に無記名自記式アンケート調査2018年10-11月に実施し、6,247人が分析の対象となり、集計・分析を進めている。分析結果に関して啓発資材を作成するとともに、情報提供を推進する。
4. アンケート結果を踏まえ、PEP実施体制の現状についてHIV医療体制制班および厚労省へ情報を提供し意見交換を行う。研究班としてHIV医療の全国均てん化を目指したPEP体制に関する具体的提言を行う。
2. PrEPの海外の先行事例調査は医療体制が日本と類似している欧米の事例の検証が重要である。欧豪の調査を行い、さらにPrEP先進国である発展途上国に調査を広げていく。令和元年度には、先進国・途上国を対象とし、PrEP提供体制の制度的側面も含めた調査を行う。
3. MSM向けの出会い系アプリ利用者を対象に無記名自記式アンケート調査2018年10-11月に実施し、6,247人が分析の対象となり、集計・分析を進めている。分析結果に関して啓発資材を作成するとともに、情報提供を推進する。
4. アンケート結果を踏まえ、PEP実施体制の現状についてHIV医療体制制班および厚労省へ情報を提供し意見交換を行う。研究班としてHIV医療の全国均てん化を目指したPEP体制に関する具体的提言を行う。
結果と考察
1.約300名のMSMコホート参加者より、試験適応者124名を選別・組み入れ、PrEPを開始しフォロー中である。研究参加者における、PrEP開始6か月時点での通院継続率は96%、内服遵守率は98%と極めて高く、副作用はほとんどの症例で自制範囲内であり、PrEPの実現可能性は高いと考えられる。また、PrEP研究とは別に、SH外来でジェネリックのツルバダをインターネットで自己購入したPrEP使用者が100名以上に急増していることも明らかになった。2019年10月時点でのSH外来におけるHIV新規感染者数および罹患率は、PrEP使用者で0名、0%/人年、PrEP非使用者で16名、4.22%/人年(p=0.001)だった。非PrEP使用者におけるHIV罹患率は、PrEPの適応と考えられる2%/人年より高く、東京近郊のMSMは、PrEPの必要性が高いリスク集団であるとともに、PrEPの予防効果が極めて高いことが確認された。
2. PrEPを臨床試験も含めて導入している国は75ヶ国(2019年10月現在)であり、ガイドラインでPrEPを明記している国は37ヶ国に及んでいた。令和元年度におけるPrEPの海外先行事例調査の対象先として、アジア、欧州、米国、豪州を訪問した。
3.アンケート調査により、自己判断でPrEPを実施している者もおり、その半数以上がインターネット経由で薬を入手していることが明らかになった。
4. 現行のPEPの準備体制は地域により温度差がありHIV患者の診療を一般化するには十分とは言いがたい。
2. PrEPを臨床試験も含めて導入している国は75ヶ国(2019年10月現在)であり、ガイドラインでPrEPを明記している国は37ヶ国に及んでいた。令和元年度におけるPrEPの海外先行事例調査の対象先として、アジア、欧州、米国、豪州を訪問した。
3.アンケート調査により、自己判断でPrEPを実施している者もおり、その半数以上がインターネット経由で薬を入手していることが明らかになった。
4. 現行のPEPの準備体制は地域により温度差がありHIV患者の診療を一般化するには十分とは言いがたい。
結論
1. 日本のPrEPの妥当性、実現可能性を評価するために、PrEPに関する単試験によるpilot studyの124名のリクルートを完了しフォロー中である。
2. PrEPは海外で加速的に導入されており、日本においても早期導入およびガイドラインの整備が必要である。
3. わが国のMSMコミュニティを対象としたニーズ調査を実施は、今後PrEPの日本導入の検討に必要不可欠である。
4. PEP体制はHIV医療の一般化を目指す上で現状では不十分である。
2. PrEPは海外で加速的に導入されており、日本においても早期導入およびガイドラインの整備が必要である。
3. わが国のMSMコミュニティを対象としたニーズ調査を実施は、今後PrEPの日本導入の検討に必要不可欠である。
4. PEP体制はHIV医療の一般化を目指す上で現状では不十分である。
公開日・更新日
公開日
2021-06-01
更新日
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