ポリオウイルスの病原体バイオリスク管理の標準化等を推進するための研究

文献情報

文献番号
201919006A
報告書区分
総括
研究課題名
ポリオウイルスの病原体バイオリスク管理の標準化等を推進するための研究
課題番号
H29-新興行政-一般-006
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
清水 博之(国立感染症研究所 ウイルス第二部)
研究分担者(所属機関)
  • 棚林 清(国立感染症研究所 バイオセーフティ管理室)
  • 小池 智(公益財団法人東京都医学総合研究所 ゲノム医科学研究分野)
  • 西村 秀一(仙台医療センター 臨床研究部)
  • 佐野 大輔(東北大学大学院 環境科学研究科)
  • 飯田 哲也(大阪大学 微生物病研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
3,520,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
世界ポリオ根絶最終段階では、 ポリオウイルス・バイオリスク管理の徹底が求められており、ポリオウイルス基幹施設(Poliovirus Essential Facility; PEF)において、ポリオウイルス病原体バイオリスク管理に関するWHO行動計画改訂第三版(GAPIII)に示されたバイオリスク管理標準に準じて2型ポリオウイルスを取扱う必要がある。また、ポリオウイルス以外の腸管感染症の検査・研究施設、インフルエンザ等呼吸器感染症の検査・研究施設、環境検体取扱い施設等でも、リスク評価に基づいた検体(糞便、呼吸器、環境)の廃棄・管理が必要とされる。
研究方法
PEF候補施設を対象としたGAPIIIに準じたポリオウイルス・バイオリスク管理体制について検討し、管理体制の評価・検討等、リスク低減に向けた取り組みを介して、国内PEF施設認証のための準備を進めた。2018年5月に、WHOによる感染性ポリオウイルスを含む可能性のある材料を取扱う施設を対象としたガイダンス(PIMガイダンス)が公開されたことから、PIMガイダンスと関連資料の和訳版、および国内調査で使用する調査票案を作成し、ポリオ以外の検査・研究施設を対象とした予備調査を実施した。今年度は、予備調査結果および専門家からのコメント等を反映し、PIM保有施設調査資料を改定し、WHO-PIMガイダンスに基づく施設調査資料の改良を図った。
結果と考察
PEF候補施設を対象としたGAPIIIに準じたポリオウイルス・バイオリスク管理体制について検討し、国内PEF施設認証のための準備を進めた。本研究事業で得られた調査情報や資料を活用し、2019年12月までに、国内PEF候補施設(感染研およびワクチン製造施設) からCP申請が提出された。2020年度以降、具体的なPEF施設認証作業が進められる予定である。2018年5月に、WHOによるPIMガイダンスが公開されたことから、PIM保有施設予備調査および異なる領域の専門家からのコメントを反映し、調査資料の改善と簡略化を図った。調査手順説明資料の改訂を行い、凍結検体の保有が無い施設では簡易調査票で回答完了とすることにより、調査手順を簡略化した。作成した資料を用いて「世界的なポリオ根絶に向けたポリオウイルスに感染する可能性のある検体等の試料の保持状況に関する調査について」(令和元年8月29日付、厚労省事務連絡)による施設調査が行われ、国内調査結果の概要が、国内ポリオ根絶認定委員会(ポリオ根絶会議)年次報告書の一部として報告された。
結論
本研究では、今後も2型ポリオウイルスを使用するPEF候補施設を対象として、GAPIIIに準じたポリオウイルス・バイオリスク管理体制の標準化、リスク低減に向けた取り組みを進めた。PEF施設認証にむけた国内体制整備を進めることが出来た。糞便、咽頭拭い等の臨床検体、下水等の環境検体もバイオリスク管理の対象となることから、ポリオ・エンテロウイルス以外の腸管感染症の検査・研究施設、インフルエンザ等呼吸器感染症の検査・研究施設でもリスク評価に基づいた検体等の廃棄・管理が必要となる。WHO PIMガイダンスを元に作成した国内施設調査資料を活用することにより、厚生労働省健康局結核感染症課による「世界的なポリオ根絶に向けたポリオウイルスに感染する可能性のある検体等の試料の保持状況に関する調査について」に基づいた施設調査が行われ、PIM保有施設調査結果の概要がWHOに報告された。

公開日・更新日

公開日
2022-01-05
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2022-01-05
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
201919006B
報告書区分
総合
研究課題名
ポリオウイルスの病原体バイオリスク管理の標準化等を推進するための研究
課題番号
H29-新興行政-一般-006
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
清水 博之(国立感染症研究所 ウイルス第二部)
研究分担者(所属機関)
  • 棚林 清(国立感染症研究所 バイオセーフティ管理室)
  • 小池 智(公益財団法人東京都医学総合研究所 ゲノム医科学研究分野)
  • 西村 秀一(仙台医療センター 臨床研究部)
  • 佐野 大輔(東北大学大学院 環境科学研究科)
  • 飯田 哲也(大阪大学 微生物病研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
世界ポリオ根絶最終段階では、ポリオウイルス取扱い施設から地域社会へのポリオウイルス再侵入のリスクを最小限とするためのポリオウイルスの安全な取扱いと封じ込めの徹底が求められている。そのため、WHOは、ポリオウイルス病原体バイオリスク管理に関する世界的行動計画改訂第三版(GAPIII)を公開し、ワクチン株を含む2型ポリオウイルス感染性材料管理の厳格化を求めている。ポリオウイルス基幹施設(Poliovirus Essential Facility; PEF)では、GAPIIIに示されたバイオリスク管理標準に基づいてポリオウイルスを取扱う必要がある。PEF以外では、2型ポリオウイルス感染性材料の廃棄が必要とされ、糞便、咽頭拭い等の臨床検体、下水等の環境検体もバイオリスク管理の対象となることから、ポリオ・エンテロウイルス以外の腸管感染症の検査・研究施設、インフルエンザ等呼吸器感染症の検査・研究施設でもリスク評価に基づいた検体等の廃棄・管理が必要となる。GAPIIIで求められているポリオウイルス管理体制整備の推進に資する以下の研究を行った。
研究方法
PEF候補施設を対象として、GAPIIIに準じたポリオウイルス・バイオリスク管理体制の評価・検討および標準化等、リスク低減に向けた取り組みを介して、施設認証の準備を進めた。2018年5月に、WHOによる感染性ポリオウイルスを含む可能性のある材料を取扱う施設を対象としたガイダンス(PIMガイダンス)が公開されたことから、PIMガイダンスと関連資料の和訳版、および国内調査で使用する調査票案を作成し、ポリオ以外の検査・研究施設を対象とした予備調査を実施した。予備調査結果および専門家からのコメントを反映することにより、PIM保有施設調査資料を改定した。
結果と考察
国内PEF候補施設におけるポリオウイルス・バイオリスク管理体制について検討し、国内PEF施設認証のための準備を進めた。2019年12月までに、国内候補施設からPEF施設認証申請(CP)が提出された。2020年度以降、PEF施設認証作業が進められる予定である。PIM保有施設予備調査結果および専門家からのコメントを反映し、WHO-PIMガイダンスに基づく施設調査資料の改良を図った。作成した資料を用いて「世界的なポリオ根絶に向けたポリオウイルスに感染する可能性のある検体等の試料の保持状況に関する調査について」(令和元年8月29日付、厚労省事務連絡)による施設調査が行われ、調査結果の概要はWHO年次報告書に反映された。対象検体を保有する可能性の比較的高い施設を中心とした調査となったが、今後は、より広汎な施設を対象とした網羅的調査のための調査手法の検討が必要となる。2019-2020年には、2型ワクチン由来ポリオウイルスによるポリオ流行が、アフリカ諸国で拡大し、WHO西太平洋地域でも、2型ワクチン由来ポリオウイルスによる大規模なポリオ流行が発生した。そのため、これらの国で採取された検体については廃棄を含めたバイオリスク管理体制の見直しが必要となる。
結論
今後も2型ポリオウイルスを使用するPEF候補施設では、GAPIIIに示されたバイオリスク管理標準に準じてポリオウイルスを取扱う必要がある。本研究では、今後も2型ポリオウイルスを使用するPEF候補施設を対象として、GAPIIIに準じたポリオウイルス・バイオリスク管理体制の標準化、リスク低減に向けた取り組みを進めた。国内PEF施設認証のための準備を進め、その結果、2019年12月までに、すべての国内PEF候補施設からCP申請が提出された。
糞便、咽頭拭い等の臨床検体、下水等の環境検体もバイオリスク管理の対象となることから、今後、ポリオ・エンテロウイルス以外の腸管感染症の検査・研究施設、インフルエンザ等呼吸器感染症の検査・研究施設でもリスク評価に基づいた検体等の廃棄・管理が必要となる。広範な領域の施設を対象としたPIM保有施設予備調査の結果、多くの調査対象施設から有用なコメントを得ることが出来た。予備調査結果および異なる領域の専門家からのコメントを反映し、調査資料の改善と簡略化を図った。作成した資料を用いて、厚生労働省健康局結核感染症課による「世界的なポリオ根絶に向けたポリオウイルスに感染する可能性のある検体等の試料の保持状況に関する調査について」に基づいた施設調査が実施され、国内PIM保有施設調査の概要がWHOに報告された。

公開日・更新日

公開日
2022-01-05
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2022-01-05
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201919006C

収支報告書

文献番号
201919006Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
3,520,000円
(2)補助金確定額
3,505,000円
差引額 [(1)-(2)]
15,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,704,238円
人件費・謝金 0円
旅費 604,275円
その他 196,638円
間接経費 0円
合計 3,505,151円

備考

備考
自己資金151円

公開日・更新日

公開日
2022-01-05
更新日
-