医療計画、障害福祉計画の効果的なモニタリング体制の構築のための研究

文献情報

文献番号
201918037A
報告書区分
総括
研究課題名
医療計画、障害福祉計画の効果的なモニタリング体制の構築のための研究
課題番号
19GC2004
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
山之内 芳雄(国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 精神医療政策研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 臼杵 理人(国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 精神医療政策研究部)
  • 吉田 光爾(東洋大学 ライフデザイン学部)
  • 米田 博(大阪医科大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
44,616,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究班では地域包括ケアシステムの構築に関する指標等について改めて議論と検討を行い、患者の重症度や行動制限に関するデータの補完についても対応すべく、5つの分担班で研究を行った。
研究方法
A班:第6期障害福祉計画の成果目標指標について班会議等で議論を行った。630調査の改訂については、昨年の630調査の調査票をベースに項目の追加・修正、システムの改良等を行った。B班:現在の医療計画指標例の課題については検討の重点課題を踏まえつつ、班会議による議論を複数回行った。C班:平成28~30年度「精神障害者の地域生活支援を推進する政策研究」で開発されたReMHRADに関する研究成果を活用しつつ、分担研究者と協議の上、より視覚的に把握しやすいデータベースシステムを構築した。D班:令和元年11月末より、全国の精神病床をもつ医療機関1,625施設を対象に調査協力依頼し「精神病床における隔離・身体的拘束に関する実態調査」を行った。E班:重症度の「定義」自体の見直しを行い、重症度指標の前提と方向性の確認を行った。その上で精神科重症度指標の「項目」と「指標内容」に関する具体的な案を練った。

結果と考察
【結果】A班:第6期障害福祉計画においての成果目標案の一つとして「精神障害者の精神病床から退院後1年以内の地域における平均生活日数」の考え方を班会議の中で提案した。また、630調査の改訂は昨年を上回る回答を得、一定の質を担保しながら集計から公表まで一層の迅速化を図った。
B班:他医療計画や地域医療構想との整合性は考慮しつつも、精神疾患特有の現状を鑑みながら「第7次医療計画中間見直しにおける目標」と「第8次医療計画に向けての目標」に分けて議論を行い、提案を行った。C班:これまでの研究成果を活用しつつ、より洗練された形での「見える」化システムの開発を目的としReMHRADを開発した。D班:サンプル数が少なかったため、平成21年が関係する分析については参考値となった。身体的拘束での該当要件の1/4以上が「その他」であったこと、開放観察されていると思われる事例が、深夜0時でも全体の1割弱みられ、正午では少なくとも1/4以上が該当する状況であることが推察された。隔離・身体的拘束の指示期間においては、該当する患者の1/2以上は1週間未満であるが、1か月以上の患者も1割以上いることも明らかとなった。E班:一般病棟における重症度・医療・看護必要度をふまえた上で精神科独自の重症度指標案の策定に取り組んだ。結果、「重症度」を統合的に考えることには限界があり、あくまで適切な医療資源の分配の立場に立った指標案が作成された。
【考察】A班:「精神障害者の精神病床から退院後1年以内の地域における平均生活日数」の考え方は、包括的かつ継続的な地域生活支援連携体制整備を今後も計画的に推進するという観点から必要であると考えられる。630調査については、Excelマクロシステムを導入したことによりデータクリーニングと集計作業の時間が大幅に短縮され、一定の成果があったと考える。B班:第7次医療計画中間見直しにおいては実際には活用が困難な指標の修正・削除を行うことができた。第8次医療計画に向けた概ねの方向性については各指標例をコモンディジーズ、専門医療、政策的な医療の3分野に分けて検討することができたと考える。C班:ReMHRADは630調査とより連携を高め、さらに精度の高いマップとなったが、今後はさらに提示されたデータが具体的にどのように地方自治の医療計画や障害福祉計画の立案・臨床実践に活用されていくのか、という具体的な活用の事例づくりが必要であると考える。D班:過去のデータを遡って増加要因を明らかにするという目的で行われた本調査デザインの制約は大きかったが、患者属性のみならず該当要件・期間を総合的に調査できた初めての調査でもあった。E班:精神科重症度に関しては、一般科の重症度・医療・看護必要度が精神科領域でも利活用できるのか、そして人的コストを反映した医療行為とは何なのか、それらの指標案は恣意性が低く客観性が担保されているのか、ということについて検討を重ね、指標案を作成するに至った。



結論
本研究班において精神医療の外形を俯瞰できるデータに、医療内容を表現できるデータを補完することにより、モニタリング可能な精神医療にも対応した地域包括ケアシステム構築に資することを目的とした研究を行ってきた。また精神病床における行動制限や重症度指標の開発にも取り組んだ。いずれの研究課題においても、繰り返し研究協力者や各分野の有識者、ステークホルダ-と議論を重ね、指標案の提案や調査の実施を行うことができた。一方で、さらに検討を重ねる必要がある課題も示された。今後、本研究班で議論された内容がさらに検討・実証されていくことが望まれる

公開日・更新日

公開日
2020-11-16
更新日
2021-01-28

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2021-02-22
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201918037Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
58,000,000円
(2)補助金確定額
57,777,000円
差引額 [(1)-(2)]
223,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 40,973円
人件費・謝金 11,616,836円
旅費 2,151,861円
その他 30,584,092円
間接経費 13,384,000円
合計 57,777,762円

備考

備考
差額762円は自己負担

公開日・更新日

公開日
2024-03-26
更新日
-