精神保健・福祉に関するエビデンスのプラットフォーム構築及び精神科長期入院患者の退院促進後の予後に関する検討のための研究

文献情報

文献番号
201918028A
報告書区分
総括
研究課題名
精神保健・福祉に関するエビデンスのプラットフォーム構築及び精神科長期入院患者の退院促進後の予後に関する検討のための研究
課題番号
19GC1010
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
佐藤 さやか(国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 地域・司法精神医療研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 中西 三春(公益財団法人東京都医学総合研究所)
  • 山口 創生(国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター)
  • 藤井 千代(国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
11,539,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は国内の実践家が効果的な実践を行うための支援として、1)精神保健福祉サービスの効果等についてのエビデンスの収集及び分類、専門的知見を介した信頼性等の評価、2) 国内外の調査・研究等のシステマティックレビュー(SR)の実施、3)1)2)の結果等を容易に入手可能な日本語プラットフォームの構築、を行うことであった。
研究方法
【中西分担】システマティックレビューの最新のレポーティングガイドラインであるPRISMA 声明(2009)に従って、精神科長期入院患者の退院後の予後に関するシステマティックレビューを行った。論文検索について、英文はWeb of science、PsycINFO、CINAHL、MEDLINE、和文は医中誌を用いて行った。【山口分担】今年度はエビデンスセンターのプラットフォームとなるWEBサイトの基礎設計とコンテンツの検討を行った。WEBサイトの基礎設計については、実際にサイトの構築を行う分担研究者板垣とWEBサイトのイメージおよび構造について検討を行った。コンテンツの検討については本研究課題で実施予定の「精神科長期入院患者の退院促進後の予後に関するシステマティックレビュー」に加えて、重症精神障害をもつ人の地域生活支援に関する既存のコンテンツで情報を紹介できるものがないか検討を行った。【藤井分担】国内の実践家が効果的な実践について情報収集するためのWEBページにおいてどのような表現や形式での情報発信が望まれているか探索するため、グループインタビューを実施した。グループインタビューの参加者は精神保健医療福祉のステークホルダーとして当事者、家族、支援者、行政職員、研究者の属性をもつ者、合計35名であった。
結果と考察
【中西分担】論文検索の結果、Web of scienceで2,827編、PsycINFO で1,553編、CINAHLで967編、MEDLINE で3,983編、医中誌で762編の論文がヒットした。重複を除いた9,442編が一次および2次スクリーニングの対象となった。最終的に英文4編、和文2編がシステマティックレビューに組み入れとなった。【山口分担】WEBサイトの基礎設計について、サイト全体はイラストを用いた親しみやすく、シンプルで迷わないデザインとすることを基本とした。β版のトップページ案を作成した。また、エビデンス提示の方法としてEPBの一覧を示す方法に加えて、Clinical questionを一般的なWEBサイトにおけるFAQのような形で示し、そこからさらに閲覧者のもつ疑問にあった質問をクリックしていくと関係するエビデンスにたどり着くというような構造を着想した。コンテンツについては、研究班が実施するシステマティックレビューに加えて、Cochrane libraryから重症精神障害の地域生活支援に関するレビューを選び、これらのPLS和訳をCochrane libraryに掲載し、エビデンスセンターのWEBサイトにリンクする枠組みについて体制を整備した。【藤井分担】エビデンスの提示方法については、すべての属性グループで段階的な情報の提示が希望された。具体的には、タイトルと簡易な抄録に図やイラストを添えたものを最初に示し、より詳しく知りたい閲覧者には詳細を示した別のページに遷移するようなイメージが共有された。属性別の意見として、当事者や家族からはいわゆるエビデンスベイスドな支援プログラムではなく、もっとベーシックな生活/医療支援に関する情報が必要、家族からはそもそも家族自身が支援の対象として認識されていない、という切実な実情について語られた。研究者、実践家からはエビデンスに対して実践者のもつ抵抗感、行政職員からは支援の費用対効果やEBPを実施する際の具体的なプラン提示の必要性について意見が聞かれた。
結論
今年度は初年度であるため、システマティックレビューおよびWEBサイト構築についての下準備が主な活動となった。これと並行して実施したグループインタビューについては、研究班の想像以上に、ステークホルダーが必要とする情報共有がスムーズでない現状が明らかとなった。
次年度は中西分担研究班におけるシステマティックレビューの投稿を行うことに加えて、藤井分担班におけるグループインタビューで得られた意見を山口分担班にフィードバックした上での新たなエビデンスセンターの構築・運用を開始する。また別研究課題で構築されているデータベースとの連携、閲覧者がワンストップで情報を集められるような工夫、エビデンス活用の利点についての発信も検討していきたい。

公開日・更新日

公開日
2020-11-16
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2020-11-16
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201918028Z