精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築に向けた障害福祉サービス等の推進に資する研究

文献情報

文献番号
201918027A
報告書区分
総括
研究課題名
精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築に向けた障害福祉サービス等の推進に資する研究
課題番号
19GC1009
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
吉田 光爾(東洋大学 ライフデザイン学部生活支援学科)
研究分担者(所属機関)
  • 立森 久照(国立精神・神経医療研究センター・ トランスレーショナル・メディカルセンター 情報管理・解析部 生物統計解析室)
  • 山口 創生(精神保健研究所 地域・司法精神医療研究部・精神保健サービス評価研究室)
  • 田村 綾子(聖学院大学・ 心理福祉学部心理福祉学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
11,880,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
障害者総合支援法(旧自立支援法)では計画相談支援の枠組みが導入され、精神障害者もそのサービス対象となり、ケアマネジメントおよび障害福祉サービス利用支援の枠組みが導入されている。しかし我が国の研究では、現行制度下で計画相談によるケアマネジメント利用者にどのような影響がもたらされているか、またいかなる対象者によりよいアウトカムが発生しているかは明確になっていない。

そこで本研究では計画相談支援により障害福祉サービスを利用した精神障害者が、①実際にいかなる障害福祉サービスを利用しその結果どのようなアウトカム(精神科病院への入院日数・社会機能等)の状況にあるか、②よいアウトカムを出している利用者と困難な事例の間にはサービス提供状況や地域環境要因にいかなる違いがあるかを検討し、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築に向けた障害福祉サービス等の活用についてエビデンスに基づいた提言を行おうとするものである。
研究方法
本研究では、障害者総合支援法の計画相談支援利用者(精神障害)に対する振り返りによるケースコントロール研究を行う。調査自体は2020年度に行うことを計画し、この計画をより妥当なものとするため、本年度の研究では3つの分担研究班をたて、以下の課題について研究を行った。

1)地域環境データを利用した地域特性とアウトカムの関連の検討
 本分担研究では研究計画2-3年度において、別途公開されているReMHRADのデータを用いてアウトカムに対する地域環境の影響を検討する。本年度は本研究の基盤となる調査設計の上で、サンプルサイズに関する検討を行うこととした。

2)評価尺度及び障害福祉サービス利用状況に関する分析
本分担研究では令和2年度から行われる本調査について、障害福井サービスの利用状況に関する分析を行う。本年度はそれらを明らかにするため、先行研究を参照し、必要な調査項目を検討することを目的とした。

3)計画相談支援における相談支援専門員の役割と課題
 本研究では、研究計画から得られる結果を考察するために、計画相談支援における相談支援専門員の役割と課題について文献的検討を行うことを目的とした。
結果と考察
1)必要なサンプルサイズの計算:過去の研究から必要サンプルサイズを計算することに着手した。分担研究者の立森らを中心とした検討により、福祉サービス利用あり群/なし群において入院日数状況に差がある状況を、統計的検出力0.8で把握できる必要サンプルサイズ数を、およそ各群100(合計200)であるとした。

2)調査バッテリーの作成:必要な調査項目を明らかにするため、山口らを中心として先行研究を検討し、調査に必要なテストバッテリーを構築した。これらの調査業務をWeb上で行うために、テストバッテリーをWeb上の画面に落とし込むための様式を検討した。

3)文献検討:文献検討からは、相談支援事業所が継続サービス支援やモニタリングにおけるニーズ
把握と計画変更を含む利用支援、社会資源の把握や支援チームの調整及びサービス管理責任者等の関係者との連携などが求められることと、一方で、力不足や業務を兼任し多忙なために十分な時間をかけたかかわりができないなどの課題があることが分かった。

4)令和2年度調査体制の設計:上記の検討結果をもとに、調査デザインを検討し、全体の体制を構築した。また精神障害領域におけるサービス等利用計画の作成・支援の状況が比較的良好な相談支援事業所について、研究協力者の協力をもとに情報を得、来年度に調査対象となる推薦事業者として連絡を取り具体的なリストを作成した。
結論
本年度は分担研究1およぶ分担研究2より、本調査に必要な情報が整理され、研究デザインが決定された。必ずしも巨大なサンプルサイズが必要でないことなどが明らかになったことから、実行可能な研究デザインが明らかになっていったと考える。調査体制のもと、推薦された相談支援事業所を招聘し、相談支援に関する情報交換及び調査概要を説明・協力を依頼する説明会を、2020年3月に東京で行う予定であったが、コロナウイルスの拡大に伴い、本説明会は延期された。現在、令和2年度の調査実施に向けて、実現可能な調査体制を検討中である。

公開日・更新日

公開日
2020-11-16
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2020-11-16
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201918027Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
14,994,000円
(2)補助金確定額
13,209,141円
差引額 [(1)-(2)]
1,784,859円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,055,156円
人件費・謝金 1,215,614円
旅費 266,632円
その他 6,557,739円
間接経費 3,114,000円
合計 13,209,141円

備考

備考
本研究では年度末に(2020年3月14日)に、全国より研究協力者によって推薦された障害者総合支援法における相談支援事業所を招聘して、研究説明会をとり行う予定であった。しかしコロナウイルスの拡大に伴い、本説明会は延期せざるを得ず、本来計上する予定であった本件に関する交通費・謝金などが使用されないままとなった。なお、今後研究説明会は別途2020年度に実施する予定である。

公開日・更新日

公開日
2024-03-26
更新日
-