災害派遣精神医療チーム(DPAT)と地域精神保健システムの連携手法に関する研究

文献情報

文献番号
201918026A
報告書区分
総括
研究課題名
災害派遣精神医療チーム(DPAT)と地域精神保健システムの連携手法に関する研究
課題番号
19GC1008
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
太刀川 弘和(国立大学法人筑波大学 医学医療系臨床医学域 災害・地域精神医学)
研究分担者(所属機関)
  • 渡 路子(日本精神科病院協会 )
  • 丸山 嘉一(日本赤十字社医療センター)
  • 高橋 晶(国立大学法人筑波大学 医学医療系 災害・地域精神医学)
  • 辻本 哲士(滋賀県立精神保健福祉センター)
  • 宇田 英典(公益財団法人 地域医療振興協会 ヘルスプロモーション研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
11,539,000円
研究者交替、所属機関変更
なし

研究報告書(概要版)

研究目的
災害時の急性期以降の精神医療から精神保健への移行におけるDPAT等支援側、自治体側の連携課題を明らかにし、移行を円滑に行うためのプロセス、DPAT等支援団体活動終了後の精神保健体制に関する技術開発を行うことを目的とする。
研究方法
災害フェーズにおけるDPAT・都道府県主管課・精神保健福祉センター・保健所・市町村の役割と課題について整理した。具体的には、1)国内外の研究関連文献の調査を実施し、災害時の精神保健に関する文献レビュー、2)平成30年度および令和元年度の5つの災害(平成30年7月豪雨、北海道胆振東部地震、令和元年8月の前線に伴う大雨、令和元年台風第15号、令和元年台風第19号)で活動したDPAT隊員に対するアンケート調査、3)都道府県、政令指定都市、精神保健福祉センター、保健所、被災市町村を対象に、DPAT等支援団体と連携するうえでの課題、DPAT等支援団体活動終了後の地域精神保健体制のあり方等について尋ねる全国アンケート調査、4)東日本の被災地である宮城県、DPAT等支援団体の活動が実施された被災自治体(熊本県、北海道、広島県、岡山県)、台風15号災害時に医療保健調整本部が設置された千葉県安房健康福祉センターの自治体職員へのインタビュー調査を行った。
結果と考察
DPAT隊員に対する調査からは、最も多い課題は急性期における自治体本部立ち上げであり、特に急性期に自治体がDPAT等支援団体と上手く連携する必要性が確認された。自治体のアンケート調査からは、DPAT等活動支援団体に期待する役割は、主に急性期の精神医療であり、活動終結の判断には医療機関の意向や相談・支援ニーズ、地域保健医療福祉機能の回復が重要であること、その後は保健師等の活動の後方支援があげられていた。支援団体の活動から地域精神保健への移行後の体制については、日頃から地域の精神保健活動の中核である保健所や精神保健福祉センターが対応することが望ましいと考えられた。一方で自治体は、災害時の支援団体との連携に葛藤がある、災害時の公的精神保健機関で対応人員に不足がある、災害精神保健やDPAT等活動支援団体に関する理解、ならびに中長期の精神保健福祉体制の明確な位置づけがないことが課題となっていた。
結論
今年度の活動によって、災害時の自治体の精神保健医療福祉活動の位置づけ、活動体制、各機関の役割、活動内容、活動課題は概ね明確化されたことから、この成果に基づき、次年度は「自治体の災害時精神保健医療福祉マニュアル」作成を行う。ただし、支援組織撤退後の中長期支援の精神保健医療福祉活動の統括体制と活動内容、人的資源は不明確である。この点、次年度研究では明確にし、特に体制整備の点でガイドラインを示す必要があると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2020-11-16
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2024-03-18
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201918026Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
15,000,000円
(2)補助金確定額
13,582,000円
差引額 [(1)-(2)]
1,418,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,730,265円
人件費・謝金 2,557,134円
旅費 2,004,447円
その他 2,829,462円
間接経費 3,461,000円
合計 13,582,308円

備考

備考
コロナ災禍で予定していた出張や会議が不可能となったため。

公開日・更新日

公開日
2024-03-26
更新日
-