計画相談支援等におけるモニタリング実施標準期間の改定に伴う効果検証についての研究

文献情報

文献番号
201918022A
報告書区分
総括
研究課題名
計画相談支援等におけるモニタリング実施標準期間の改定に伴う効果検証についての研究
課題番号
19GC1004
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
石山 麗子(国際医療福祉大学大学院 医療福祉経営専攻)
研究分担者(所属機関)
  • 田村 和宏(立命館大学 産業社会学部)
  • 曽根 直樹(日本社会事業大学 福祉マネジメント学研究科)
  • 高木 憲司(和洋女子大学 家政学部家政福祉学科)
  • 坂田 佳美(国際医療福祉大学病院 医療福祉経営専攻)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
11,530,000円
研究者交替、所属機関変更
なし。

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究の目的は、2018年度障害福祉サービス等報酬改定の一つである、計画相談支援等におけるモニタリング実施標準期間の高まりによる効果の検証を行い、次期報酬改定の参考データとし、その検討に寄与することである。2019年度~2年の研究である。2019年度は、相談支援専門員、サービス管理責任者及び児童発達管理責任者の各立場から見た報酬改定後のモニタリング実施状況の実態を捉えること、加えてそれらの結果を踏まえ、2020年度に実施する量的研究(相談支援事業所を対象とした全国調査)のアンケート調査票作成を作成することを目的とする。
研究方法
 モニタリング実施の効果検証は、モニタリング実施頻度の変化が計画相談支援等(ケアマネジメント)の質を高めたのかが問われる。そこで2019年度は、研究1として計画相談支援等(ケアマネジメント)の質の指標に関する先行研究の確認を行う。しかし研究1では、それは見当たらなかった。そこで計画相談支援等(ケアマネジメント)の質の評価指標の生成を目的に、研究2ではフォーカスグループインタビュー(以下「FGI]という)を実施した(研究協力者7名:障害領域4名、児童領域1名、高齢領域1名、行政2名)。
 研究3では、研究2の結果を基盤としつつ、相談支援専門員、サービス管理責任者、児童発達管理責任者からみた報酬改定後のモニタリング実施の実態を明らかにすることを目的に半構造化インタビューを実施した(16名)。
 研究4は、研究2及び3の結果を踏まえ、2020年度に実施する全国の相談支援事業所(調査対象:管理者・相談支援専門員)を対象とするアンケート調査票を作成する。
 研究1~研究4は一連であることから一括研究として実施した。
結果と考察
 研究1において文献レビューは4つの方法、(1)電子ジャーナルCiNii Articleによるキーワード検索、(2)行政の助成事業や研究機関が行う調査結果の報告書の検索、(3)厚生労働省の社会保障審議会等、政府の公開会議の資料、(4)著書検索にて実施したが、計画相談支援等(ケアマネジメント)質の評価指標はみあたらなかった.
 本研究を進めるにあたり必要となる計画相談支援等(ケアマネジメント)の質の評価指標を生成する目的で実施した研究2.FGIでは、コアカテゴリーは3つ「計画相談支援の基盤を成すもの」(7項目)、「一連の過程を通じた支援」(4項目)、「質の指標と関連事項」(7項目)が生成された。但し、「計画相談支援(ケアマネジメント)の質の評価指標」は、本研究結果をもって一般化できるものではなく、あくまで本研究における暫定版としての取り扱いとした。
 研究3の3職種に対する半構造化インタビューでは、職種ごとに分析し、共通点や類似点を確認した。モニタリング実施頻度の高まりによる効果として、利用者、事業所との信頼関係の強化、従前のモニタリングの多くは事後報告の受領であったが、報酬改定後は将来予測に基づく予防的関与に至っていた。また「定期モニタリング」のほか、必要に迫られ支給決定対象外で行う「随時モニタリング」、いわば「柔軟性のあるモニタリング」が展開されていた。サービス事業所からみた相談支援専門員が行う質の高いモニタリングとは、利用者の個別性と状況に応じた対応と捉え、これを相談支援専門員に求めていた。柔軟性のあるモニタリングの必要性がある一方で、政策としての公平性や適切性を保つ観点から、柔軟性のあるモニタリング実施の適否判断の基準は、今後の課題となると考える。
 ただし16名のインタビューから算出されたデータに基づく分析であり、全国の一般的な姿を現しているとはいえず、2020年度に実施する全国調査と合わせて判断する必要がある。
 2019年度研究2及び3の結果を踏まえ、2020年度実施予定の量的調査(全国の相談支援事業所を対象とする質問紙表を(1事業所票、②相談支援専門員票、③利用者情報票)を作成した。
結論
 モニタリング実施頻度の高まりによる効果として、利用者、事業所との信頼関係の強化、従前のモニタリングの多くは事後報告の受領であったが、報酬改定後は将来予測に基づく予防的関与に至っていた。また「定期モニタリング」のほか、必要に迫られ支給決定対象外で行う「随時モニタリング」、いわば「柔軟性のあるモニタリング」が展開されていた。
 サービス事業所からみた相談支援専門員が行う質の高いモニタリングとは、利用者の個別性と状況に応じた対応と捉え、これを相談支援専門員に求めていた。一方で政策として柔軟性のあるモニタリングを取り入れる場合には、公平性や適切性の判断が課題となると考える。

公開日・更新日

公開日
2020-11-16
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2023-05-30
更新日
2023-07-14

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201918022Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
14,989,000円
(2)補助金確定額
14,989,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 900,000円
人件費・謝金 2,205,600円
旅費 4,387,300円
その他 4,046,100円
間接経費 3,459,000円
合計 14,998,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2023-05-30
更新日
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