文献情報
文献番号
201918021A
報告書区分
総括
研究課題名
障害児支援のサービスの質の向上のための外部評価の実施とその検証のための研究
課題番号
19GC1003
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
内山 登紀夫(大正大学 心理社会学部 臨床心理学科)
研究分担者(所属機関)
- 松葉佐 正(熊本大学 医学部付属病院 非常勤診療医師)
- 安達 潤(北海道大学 教育学研究院 教授)
- 堀江 まゆみ(白梅学園大学 子ども学部 教授)
- 齊藤 真善(北海道教育大学 札幌校 准教授)
- 宇野 洋太(大正大学 カウンセリング研究所 研究員)
- 稲田 尚子(帝京大学 文学部 講師)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
11,500,000円
研究者交替、所属機関変更
所属機関の異動
研究分担者 宇野洋太
旧 国立精神神経医療研究センター →新 大正大学カウンセリング研究所 研究員
令和元年8月1日~
研究報告書(概要版)
研究目的
我々は2017~18年度「障害児支援のサービスの質を向上させるための第三者評価方法の開発に関する研究」において障害児支援事業所に対し、新たな第三者による外部評価の評価項目を作成し、評価者養成プログラムを開発してきた。同プログラムの妥当性を検証し、またそのプログラムによって養成された評価者による外部評価および専門的フォーローを実施し、その有効性を検証することを目的とする。
研究方法
全国で100カ所程度の事業所で外部評価を実施する。外部評価を受けた事業所の職員へのアンケートを実施し、ニーズとの適合性や有効性を検討する。家族支援に関する項目については、同意の得られた家族に質問紙調査を実施する。先行研究を踏まえ、これまで開発された外部評価項目および評価者養成プログラムの妥当性の検討、外部評価と専門的フォローを実施しその有効性の検討を行う。
結果と考察
1.外部評価の概要と評価者養成講座の試行:先行研究をもとに、新たに評価者からのフィードバックを得て必要な改変を行なった。新たに評価者養成プログラムを作成し、(1)到達目標、(2)受講対象者の要件、(3)実施時間、(4)研修内容の選択、(5)研修の効果測定の方法、(6)受講後のフォローアップの方法ついて検討した。評価者養成講座は所期の目標をある程度達成したことが確認された。
2.障害児支援事業所の外部評価:放課後等デイサービス事業37、児童発達支援事業32、保育所等訪問支援事業11、居宅型訪問発達支援事業0、入所施設(医療)2、入所施設(福祉)2の事業所を対象に外部評価を実施し検討した結果、適切にサービスの質を段階評価できることが明らかとなった。また総合評価(S,A,B,C,Dの5段階評価)別に事業所の現状と課題を検討した。支援の効果に関する継続的かつ数量的な評価、利用児のアセスメントスキル、その結果に基づく支援目標の設定、障害特性に応じた個別的な対応が課題であると示唆された。
3.児童発達支援事業所の現状と今後の課題:(1)「アセスメントと目標設定」(2)「支援目標を達成するための具体的な支援」(3)「支援の成果と利用者の満足度」(4)「全体のまとめと助言」から、評価を分けるものは、「妥当なアセスメントを実施しているか否か」であり、一方で共通していたのが「保護者対応、利用児への関わりが共感的である」という点であった。
4.放課後等デイサービス事業所の現状と今後の課題:支援の課題を提示とサービス向上のための提案を行った。(1)個別支援計画の客観性が乏しいこと、(2)活動内容が偏っており、発達支援に資する包括的なプログラムの提供を行う事業所が少ないこと、(3)保護者への情報提供や支援は、運営上の問題により取り組む事業所が少ない、という課題があった。
5.今後の外部評価実施に向けての事業所ヒアリング(保育所等訪問支援事業および盲ろう難聴児支援事業所):保育所等訪問支援事業および盲ろう難聴児支援事業所を対象にヒアリングを行った。「適切な経験のある支援者」として、発達や障害特性の理解と専門性を十分理解し、調整やコンサルテーション能力をもつこと、また盲ろう項目については、評価項目及び着眼点について妥当性や気づきについて、「生活支援を可視化すること」等含める必要性が確認された。
6.入所施設における現状と課題:入所している重症心身障害児をモデルに、サービスの質の向上のための課題と提案について考察した。日常生活上、利用者の不安を和らげ、自由意思を尊重して発達を促すことが、支援の中心であるべきと思われる。日常的な医療ケアのもとに適切な支援を行うことは今後の課題である。
7.障害児支援事業所の外部評価の妥当性(事業所対象アンケート):外部評価外部評価実施後58事業所にWebアンケートを実施した結果、受審について評価は高く自己評価を実施も満足感を得ていた。専門家助言によりサービスの質を改善できるとの意見が多く、障害児支援サービスの質の向上につながると示唆された。
8.障害児支援事業所の外部評価の妥当性(評価者対象アンケート):評価者からみた評価者養成講座および外部評価に関して検討した結果、考案された一連の外部評価モデルが、事業所と利用者の双方にとって有用、有益であり、実施のプロセスも現実的であることが示された。
2.障害児支援事業所の外部評価:放課後等デイサービス事業37、児童発達支援事業32、保育所等訪問支援事業11、居宅型訪問発達支援事業0、入所施設(医療)2、入所施設(福祉)2の事業所を対象に外部評価を実施し検討した結果、適切にサービスの質を段階評価できることが明らかとなった。また総合評価(S,A,B,C,Dの5段階評価)別に事業所の現状と課題を検討した。支援の効果に関する継続的かつ数量的な評価、利用児のアセスメントスキル、その結果に基づく支援目標の設定、障害特性に応じた個別的な対応が課題であると示唆された。
3.児童発達支援事業所の現状と今後の課題:(1)「アセスメントと目標設定」(2)「支援目標を達成するための具体的な支援」(3)「支援の成果と利用者の満足度」(4)「全体のまとめと助言」から、評価を分けるものは、「妥当なアセスメントを実施しているか否か」であり、一方で共通していたのが「保護者対応、利用児への関わりが共感的である」という点であった。
4.放課後等デイサービス事業所の現状と今後の課題:支援の課題を提示とサービス向上のための提案を行った。(1)個別支援計画の客観性が乏しいこと、(2)活動内容が偏っており、発達支援に資する包括的なプログラムの提供を行う事業所が少ないこと、(3)保護者への情報提供や支援は、運営上の問題により取り組む事業所が少ない、という課題があった。
5.今後の外部評価実施に向けての事業所ヒアリング(保育所等訪問支援事業および盲ろう難聴児支援事業所):保育所等訪問支援事業および盲ろう難聴児支援事業所を対象にヒアリングを行った。「適切な経験のある支援者」として、発達や障害特性の理解と専門性を十分理解し、調整やコンサルテーション能力をもつこと、また盲ろう項目については、評価項目及び着眼点について妥当性や気づきについて、「生活支援を可視化すること」等含める必要性が確認された。
6.入所施設における現状と課題:入所している重症心身障害児をモデルに、サービスの質の向上のための課題と提案について考察した。日常生活上、利用者の不安を和らげ、自由意思を尊重して発達を促すことが、支援の中心であるべきと思われる。日常的な医療ケアのもとに適切な支援を行うことは今後の課題である。
7.障害児支援事業所の外部評価の妥当性(事業所対象アンケート):外部評価外部評価実施後58事業所にWebアンケートを実施した結果、受審について評価は高く自己評価を実施も満足感を得ていた。専門家助言によりサービスの質を改善できるとの意見が多く、障害児支援サービスの質の向上につながると示唆された。
8.障害児支援事業所の外部評価の妥当性(評価者対象アンケート):評価者からみた評価者養成講座および外部評価に関して検討した結果、考案された一連の外部評価モデルが、事業所と利用者の双方にとって有用、有益であり、実施のプロセスも現実的であることが示された。
結論
本研究班で構築した外部評価項目、外部評価マニュアル、評価者養成講座カリキュラムへの事業者、評価者、保護者の評価は高く障害児福祉サービスの質の向上に役立てることが可能であり、外部評価の有効性が明らかになった。今後は、現場で実施できるための方法を検討することが必要である。
公開日・更新日
公開日
2021-07-13
更新日
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