発達障害診療専門拠点機関の機能の整備と安定的な運営ガイドラインの作成のための研究

文献情報

文献番号
201918003A
報告書区分
総括
研究課題
発達障害診療専門拠点機関の機能の整備と安定的な運営ガイドラインの作成のための研究
課題番号
H30-身体・知的-一般-001
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
加藤 進昌(公益財団法人 神経研究所 研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 太田 晴久(昭和大学 発達障害医療研究所)
  • 齊藤 卓弥(北海道大学 医学研究院児童思春期精神医学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
8,462,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
発達障害が社会に認知されるとともに、行政への相談や医療機関への受診者が急増している一方、対応できる人材の不足と包括的な医療システムの未整備が喫緊の課題となっている。過去の厚労科研で提言された「各地域の実状に合わせた医療システム」を実装するために、本研究では児童・思春期の拠点機関を北海道大学、成人期の拠点機関を神経研究所附属晴和病院、拠点統括を昭和大学発達障害医療研究所としてモデルを構築し、全国化を見据えた運営ガイドラインの作成を目的とする。
研究方法
晴和病院では、2018年度に実施した「グループホームにおける発達障害事例の実数および実態の調査」についての解析を行った。協力許可のあった施設にヒアリング調査を実施し内容検討を行った。発達障害専門外来全例のカルテ調査を実施し、引きこもりの実態と思春期から成人期への移行例について調査を行った。
北海道大学では、医療福祉教育関係者に対する匿名のアンケート調査を実施し、また札幌におけるコンシェルジュ事業への課題・問題点課題点について聞き取り調査を行い札幌モデルの一般化についての検討に必要な情報収集を行った。また、児童思春期の発達障害医療を中心に行っている医療機関に聞き取り調査を行った。
昭和大学では、2018年度において実施したアンケート調査の結果を基にして、プログラムの拡充、児童思春期から成人期への診療移行の検討、成人期発達障害診療専門拠点ガイドラインの作成を行った。
結果と考察
晴和病院では、グループホーム調査を行い、医療機関との連携の重要性が確認された。晴和病院に東京都拠点モデルを構築し、相談(家族・法律など)受付機能とともに、デイケアと一体化したグループホームの設置を目指す。また、引きこもりの実態についてカルテ調査をし、発達障害との関連の強さを確認した。さらに、発達障害者に対する支援を広げるために、プログラムの拡充を図った。
北海道大学では、コンシェルジュ事業の課題を明らかにするため聞き取り調査、アンケート調査を実施した。発達障害拠点機関には中核病院に各医療機関・福祉事業所の活動内容や機関の特色などのデータベース化・電子化とその情報を地域と共有できるシステム化を望む声が聞かれた。また、拠点機関とかかりつけ医の機能分離が必要であり、拠点機関の役割として、1)ネットワークを構築し、研修会を企画するなどして、発達障害の啓発やかかりつけ医の対応力向上、2)自己記入式の予診票を充実し、各種スケールなど多くの情報のシステムの共有化、3)データベースを用いて情報共有することで効率化と診療支援が拠点病院に求められる機能であった。
昭和大学では、1)発達障害支援研究会の学会化と研修会や出張講義を通して、発達障害診療の可能な医療機関を増やし、モデルの全国化を図った。2)各地域および機関の状況に対応するために、発達障害専門プログラムを補完する付加的プログラムを作成した。3)児童思春期から成人期への診療移行についての検討会議を行った。4)成人期発達障害診療専門拠点に関するガイドラインを作成した。
結論
発達障害が社会に認知されるとともに、福祉・行政への相談や医療機関への受診者が急増している一方で、対応できる人材の不足と包括的な医療システムの未整備が喫緊の課題となっている。すでに認知症や依存症では拠点機関を中心とした支援体制が構築されているが、発達障害に関しては未整備である。
本研究によってまとめることができた「成人期発達障害診療専門拠点に関するガイドライン」は、地域支援拠点のあるべき姿を提示し、具体的なモデル事業の内容も例示することによって、今後全国で整備されていく発達障害地域拠点の指針となるものである。拠点数が増えていくことによって、現在社会問題化している診察待ち時間の長期化、ひきこもり問題に対応できることが期待される。そういった拠点の存在は、地域で発達障害診療を実践する人材の育成にもつながるはずである。
晴和病院を東京都の成人発達障害者診療拠点モデルにする構想は、この研究成果を基礎にして、いよいよ2020年度から東京都事業として動き出すことが決定した。晴和病院を東京都全体の拠点として徐々に数か所の地域拠点を指定してネットワークを構築すること、小児期の拠点を都立多摩小児総合医療センターに置いて成人との連携ネットワークを実現するというものである。晴和病院は数年後の「成人発達障害者支援センター」(仮称)を目指して、新築工事が開始される。この間は小石川東京病院で診療機能は継続されるが、同院は都立大塚病院や日本自閉症協会と至近の距離にある。大塚病院は都の小児医療拠点であり、児童精神科の外来があるが入院機能はもっていない。児童と成人の橋渡し医療を改めて展開する基盤ができたと期待している。

公開日・更新日

公開日
2020-11-16
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2020-11-16
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
201918003B
報告書区分
総合
研究課題
発達障害診療専門拠点機関の機能の整備と安定的な運営ガイドラインの作成のための研究
課題番号
H30-身体・知的-一般-001
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
加藤 進昌(公益財団法人 神経研究所 研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 太田 晴久(昭和大学 発達障害医療研究所)
  • 齊藤 卓弥(北海道大学 医学研究院児童思春期精神医学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
発達障害が社会に認知されるとともに、行政への相談や医療機関への受診者が急増している一方、対応できる人材の不足と包括的な医療システムの未整備が喫緊の課題となっている。過去の厚労科研で提言された「各地域の実状に合わせた医療システム」を実装するために、本研究では児童・思春期の拠点機関を北海道大学、成人期の拠点機関を神経研究所附属晴和病院、拠点統括を昭和大学発達障害医療研究所としてモデルを構築し、全国化を見据えた運営ガイドラインの作成を目的とする。
研究方法
晴和病院では、「グループホームにおける発達障害事例の実数および実態の調査」についての解析を行った。ヒアリング調査を実施し内容検討を行った。発達障害専門外来全例のカルテ調査を実施し、引きこもりの実態と思春期から成人期への移行例について調査を行った。
北海道大学では、アンケート調査を実施し、コンシェルジュ事業への課題・問題点について聞き取り調査を行い、札幌モデルの一般化についての検討に必要な情報収集を行った。児童思春期の発達障害医療を中心に行っている医療機関に聞き取り調査を行った。
昭和大学では、アンケート調査の結果を基にして、プログラムの拡充、児童思春期から成人期への診療移行の検討、成人期発達障害診療専門拠点ガイドラインの作成を行った。
結果と考察
晴和病院では、グループホーム調査を行い、医療機関との連携の重要性が確認された。晴和病院に東京都拠点モデルを構築し、相談(家族・法律など)受付機能とともに、デイケアと一体化したグループホームの設置を目指す。また、引きこもりの実態についてカルテ調査をし、発達障害との関連の強さを確認した。発達障害者に対する支援を広げるためにプログラムの拡充を図った。
北海道大学では、コンシェルジュ事業の課題を明らかにするため聞き取り調査、アンケート調査を実施した。発達障害拠点機関には中核病院に各医療機関・福祉事業所の活動内容や機関の特色などのデータベース化・電子化とその情報を地域と共有できるシステム化を望む声が聞かれた。また、拠点機関とかかりつけ医の機能分離が必要であり、拠点機関の役割として、1)ネットワークを構築し研修会を企画するなどして発達障害の啓発やかかりつけ医の対応力向上、2)自己記入式の予診票を充実し各種スケールなど多くの情報のシステムの共有化、3)データベースを用いて情報共有することで効率化と診療支援が拠点病院に求められる機能であった。
昭和大学では、1)発達障害支援研究会の学会化と研修会や出張講義を通して発達障害診療の可能な医療機関を増やし、モデルの全国化を図った。2)各地域および機関の状況に対応するために、発達障害専門プログラムを補完する付加的プログラムを作成した。3)児童思春期から成人期への診療移行についての検討会議を行った。4)成人期発達障害診療専門拠点に関するガイドラインを作成した。 「心と社会」誌の「発達障害支援の現状と今後の方向性をめぐって」特集号にてガイドラインをはじめとする上記の取組みを全国での先進例も含めて報告した(日本精神衛生会発行、第179巻1号、2020年3月刊行)。
結論
発達障害が社会に認知されるとともに、福祉・行政への相談や医療機関への受診者が急増している一方で、対応できる人材の不足と包括的な医療システムの未整備が喫緊の課題となっている。すでに認知症や依存症では拠点機関を中心とした支援体制が構築されているが、発達障害に関しては未整備である。
本研究によってまとめることができた「成人期発達障害診療専門拠点に関するガイドライン」は、地域支援拠点のあるべき姿を提示し、具体的なモデル事業の内容も例示することによって、今後全国で整備されていく発達障害地域拠点の指針となるものである。拠点数が増えていくことによって、現在社会問題化している診察待ち時間の長期化、ひきこもり問題に対応できることが期待される。そういった拠点の存在は、地域で発達障害診療を実践する人材の育成にもつながるはずである。
晴和病院を東京都の成人発達障害者診療拠点モデルにする構想は、この研究成果を基礎にして、いよいよ2020年度から東京都事業として動き出すことが決定した。晴和病院を東京都全体の拠点として徐々に数か所の地域拠点を指定してネットワークを構築すること、小児期の拠点を都立多摩小児総合医療センターに置いて成人との連携ネットワークを実現するというものである。晴和病院は数年後の「成人発達障害者支援センター」(仮称)を目指して、新築工事が開始される。この間は小石川東京病院で診療機能は継続されるが、同院は都立大塚病院や日本自閉症協会と至近の距離にある。大塚病院は都の小児医療拠点であり、児童精神科の外来があるが入院機能はもっていない。児童と成人の橋渡し医療を改めて展開する基盤ができたと期待している。

公開日・更新日

公開日
2020-11-16
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2020-11-16
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201918003C

成果

専門的・学術的観点からの成果
成人発達障害者に特化したデイケアを中心とする診療基盤の構築は、昭和大学附属烏山病院がわが国で最初の試みであり、それを全国に汎化させる試みは学術的価値が高い。これまでの実績も世界的に見ても最大規模といえる。
臨床的観点からの成果
児童精神科の診療拠点モデルを北海道大学と札幌市の連携で構築した。成人発達障害者の東京都診療拠点モデルを晴和病院に構築した。全国にデイケアを核とした診療拠点を汎化させるために発達障害者支援学会を設立し、第7回大会を名古屋で開催、333名の参加者を得た。全国化とデイケアの質の担保のために昭和大学発達障害医療研究所が中心となって研究会を開催した。
ガイドライン等の開発
成人期発達障害診療専門拠点に求められる機能と質の担保のためにガイドラインを作成した。また、ガイドラインの副読冊子というべき内容を「心と社会」誌の「発達障害支援の現状と今後の方向性をめぐって」特集号にて、ガイドラインの内容紹介と全国での先進例を含めて報告した(公益財団法人日本精神衛生会発行、第179巻1号、2020年3月)。
その他行政的観点からの成果
昭和大学発達障害医療研究所が開発した成人の自閉症スペクトラムを対象とするショートケアプログラム(全20回)は2018年の診療報酬改訂で、加算の対象になった。診療報酬が全体に縮小傾向にある中で、当プログラムが当事者の生活支援に有効であると認められたことは大きな成果と考えられる。
その他のインパクト
2018-2020年の研究期間での英文原著は22件、邦文論文(2件の一般書刊行を含む)は40件、公開シンポジウムを含む講演、学会発表などの総計は113件であった。

発表件数

原著論文(和文)
8件
原著論文(英文等)
22件
その他論文(和文)
32件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
106件
学会発表(国際学会等)
7件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2020-11-25
更新日
-

収支報告書

文献番号
201918003Z