文献情報
文献番号
201918002A
報告書区分
総括
研究課題名
支援機器の効果的活用や支援手法等に関する情報基盤整備に関する研究
課題番号
H29-身体・知的-一般-001
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
小野 栄一(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所)
研究分担者(所属機関)
- 小崎 慶介(心身障害児総合医療療育センター)
- 山田 英樹(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所)
- 筒井 澄栄(創価大学 文学部)
- 高岡 徹(横浜市総合リハビリテーションセンター)
- 阿久根 徹(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所)
- 中村 隆(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所)
- 井上 剛伸(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
エビデンスに基づく補装具費支給制度等の運用や評価の促進を目指し、児童の補装具利用や、高機能・高額な支援機器の選択・選定、借受け制度のモニタリングに課題を絞り、それらを解決し、実運用にかなう情報基盤としてのデータベースおよびデータ収集方法の確立を目的とする。
目的達成のために、3つの研究目標を設定した。
1)児童の補装具利用実態の把握およびデータベース化2)支援機器の選択・選定データベースの改修による高機能機器利用のエビデンス抽出3)補装具支給情報データベースの構築と借受け制度のモニタリング
目的達成のために、3つの研究目標を設定した。
1)児童の補装具利用実態の把握およびデータベース化2)支援機器の選択・選定データベースの改修による高機能機器利用のエビデンス抽出3)補装具支給情報データベースの構築と借受け制度のモニタリング
研究方法
1)1.児童を対象とした利用実態調査 全国肢体不自由児施設運営協議会理事所属18施設を対象に、平成30年11月から令和元年10月まで児童の補装具支給実態調査を実施した。
2.支援機器利用実態の調査 電動車椅子の操作ログ収集システムとして、設置が簡易なハードウェア構成を提案し、試作システムによる精度評価を行った。
下肢装具の利用状況について、半構造化面接、活動量計を用いた計測により利用状況を収集するプロトコルを作成し、高・低活動児の計測を行った。
2)7つのリハセンターが協働で収集した義肢と下肢装具に関する711件のデータの解析を行った。新たな情報基盤として筋電義手使用者と家族、専門職が集う交流会の設定、筋電義手使用者24名に対し使用実態の調査をおこなった。横浜市にて借受けにより補装具の支給を行った事例6例と、重度障害者用意思伝達装置の支給を行った事例15例の調査を行った。
3)借受け導入後の課題の把握とその対応案等を検討することを目的として、全国を8ブロックに分け、更生相談所に対して補装具費支給制度における借受け制度導入後の状況に関する調査を実施した。補装具支給制度の業務支援のための補装具支給情報データベースプログラムにおいて、ユーザービリティに配慮した改修を行った。
2.支援機器利用実態の調査 電動車椅子の操作ログ収集システムとして、設置が簡易なハードウェア構成を提案し、試作システムによる精度評価を行った。
下肢装具の利用状況について、半構造化面接、活動量計を用いた計測により利用状況を収集するプロトコルを作成し、高・低活動児の計測を行った。
2)7つのリハセンターが協働で収集した義肢と下肢装具に関する711件のデータの解析を行った。新たな情報基盤として筋電義手使用者と家族、専門職が集う交流会の設定、筋電義手使用者24名に対し使用実態の調査をおこなった。横浜市にて借受けにより補装具の支給を行った事例6例と、重度障害者用意思伝達装置の支給を行った事例15例の調査を行った。
3)借受け導入後の課題の把握とその対応案等を検討することを目的として、全国を8ブロックに分け、更生相談所に対して補装具費支給制度における借受け制度導入後の状況に関する調査を実施した。補装具支給制度の業務支援のための補装具支給情報データベースプログラムにおいて、ユーザービリティに配慮した改修を行った。
結果と考察
1)上記期間中では、4594件、研究全期間(平成29年11月から令和元年10月)では15施設より9400件の報告があった。6歳と17歳に支給のピークが見ら、総合支援法が61%、健康保険が33%を占めた。支給された補装具は、下肢装具、車いす、座位保持装置、体幹装具が大部分を占めていた。借受け制度を利用した支給事例はなかった。利用ログ収集システムについて既存技術の調査を実施し、収集すべきパラメータを確認した。また、慣性センサを組み合わせた操作ログ収集システムを構築し、約1度の推定誤差を実現できること、車体傾斜補正の有用性を確認できた。 下肢装具の利用状況収集では、活動量計を用いた歩数・活動量の計測により、装具に負荷がかかる典型的な生活場面として、高活動児では、登校時、外遊び、教室移動、屋内活動等が考えられることが示唆された。
2)対象者の障害分類は脳損傷(30%)と脳性麻痺(17%)が多く、次いで下肢切断(13%)であった。処方された義肢装具の8割は下肢装具で、次いで靴型装具、足装具であった。新たな情報基盤として筋電義手使用者と家族、専門職が集う交流会を設定すると共に、筋電義手使用者24名の実態調査を行い、使用状況をデータ化した。 借受けによる支給はすべてが上肢装具であった。意思伝達装置では、新たに基準に加わった視線検出式が入力方式として最多であり、有用性が確認できた。
3)補装具の借受け制度は、補装具製作事業者、メーカー、販売店にとっては、解決すべき課題が多々あり、その方策が見いだせていないのが現状であることがわかった。支給情報管理機能の改修を行い「補装具費支給情報システム」を完成させ、希望する自治体や厚生相談所の方々の利便性を考慮し、プログラム配布サイトの開設となった。
2)対象者の障害分類は脳損傷(30%)と脳性麻痺(17%)が多く、次いで下肢切断(13%)であった。処方された義肢装具の8割は下肢装具で、次いで靴型装具、足装具であった。新たな情報基盤として筋電義手使用者と家族、専門職が集う交流会を設定すると共に、筋電義手使用者24名の実態調査を行い、使用状況をデータ化した。 借受けによる支給はすべてが上肢装具であった。意思伝達装置では、新たに基準に加わった視線検出式が入力方式として最多であり、有用性が確認できた。
3)補装具の借受け制度は、補装具製作事業者、メーカー、販売店にとっては、解決すべき課題が多々あり、その方策が見いだせていないのが現状であることがわかった。支給情報管理機能の改修を行い「補装具費支給情報システム」を完成させ、希望する自治体や厚生相談所の方々の利便性を考慮し、プログラム配布サイトの開設となった。
結論
1)児童特有の補装具利用状況を把握することが出来、今後の制度の改定、設計、データベース化に向けた有益な情報を得ることができた。電動車いす利用ログシステムとして、設置が簡易なハードウェア構成を提案し、操作状況を確認できることを示した。下肢装具については、活動量計を用いた計測により、高・低活動児で計測を行って、低負担、低干渉に利用状況を収集する方法を提案した。
2)リハセンター7施設協働による同時実態調査を行った。711名のデータ解析結果からその実態が明らかとなった。高機能義肢については当事者を含む情報共有の場が実態把握に有効であった。
3)借受け制度は、導入後間もない状況であり利用例も乏しいことから、継続的な調査を行い、課題の把握とその対応案等を検討する必要性があることがわかった。「補装具費支給情報システムプログラム」は、都道府県・自治体の比較検討など汎用性の高い分析が可能となっているものの、ネットワーク接続や情報労政に対して、より慎重な対応で臨む自治体が多く、法令改正などの手続きが必要であることがわかった。
2)リハセンター7施設協働による同時実態調査を行った。711名のデータ解析結果からその実態が明らかとなった。高機能義肢については当事者を含む情報共有の場が実態把握に有効であった。
3)借受け制度は、導入後間もない状況であり利用例も乏しいことから、継続的な調査を行い、課題の把握とその対応案等を検討する必要性があることがわかった。「補装具費支給情報システムプログラム」は、都道府県・自治体の比較検討など汎用性の高い分析が可能となっているものの、ネットワーク接続や情報労政に対して、より慎重な対応で臨む自治体が多く、法令改正などの手続きが必要であることがわかった。
公開日・更新日
公開日
2020-11-16
更新日
-