文献情報
文献番号
201918001A
報告書区分
総括
研究課題名
視機能障害認定のあり方に関する研究
課題番号
H30-感覚器-指定-001
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
山本 修一(千葉大学大学院医学研究院眼科学)
研究分担者(所属機関)
- 池田 康博(宮崎大学)
- 石川 浩太郎(国立障害者リハビリテーションセンター)
- 恩田 秀寿(昭和大学)
- 加藤 聡(東京大学)
- 仲泊 聡(理化学研究所)
- 平塚 義宗(順天堂大学)
- 藤田 京子(愛知医科大学)
- 松本 長太(近畿大学)
- 山上 明子(井上眼科病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
11,060,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
身体障害者福祉法における視覚障害の認定は視力及び視野の状態により、1から6級の基準が定められており、等級認定については、日常生活の困難度との関連が合理的であることが求められるが、以前の認定基準は、両眼の視力の和により等級が定められていたことなど、現実の日常生活の困難度と乖離する部分があったため平成29年に、視覚障害の認定基準に関する検討会が設置された。平成28年8月に日本眼科学会および日本眼科医会でとりまとめられた「視覚障害認定基準の改定に関するとりまとめ報告書」において示された方向性に基づいて新たな基準の検討がされ視力については良い方の眼の視力を基準とした等級認定基準に変更され、視野については中心視野のみの障害の評価などについて変更されたが、改定で用いられたlogMAR視力に基づく検討による等級の線引きは日常生活の困難さの感覚と等級基準との関連について、当事者の理解が得にくい部分があり、米国で使用されているFVSの使用を検討すべきではないかとの議論があり、更に、片目失明者や眼瞼痙攣、羞明等、現基準では障害認定されないが、視機能に問題がある患者についても、認定につなげていくべきかどうか検討すべきとされた。本研究では、視機能全般について医学的に合理的な説明が可能で、当事者の生活上の困難度とも乖離のない客観的な新しい認定基準の検討のための基礎資料を作成することを目的とし、以下のテーマで研究の実施。
1.海外の視覚障害に対する福祉制度の調査
2.Functional Vision Score (FVS)に関する国内・海外の文献調査
3.種々の原因による視機能障害者におけるADLの検討
1.海外の視覚障害に対する福祉制度の調査
2.Functional Vision Score (FVS)に関する国内・海外の文献調査
3.種々の原因による視機能障害者におけるADLの検討
研究方法
テーマ1および2は初年度で研究は概ね終了しており、テーマ3のアンケート調査の結果によって追加の調査を検討する。
テーマ3:前年度に整理した調査項目は、調査員による情報バイアスを避けることが最重要と思われ、外部CROにアンケート調査を依頼し、千葉大学において実施シミュレーションを行って、調査のプロトコルを確定する。
テーマ3:前年度に整理した調査項目は、調査員による情報バイアスを避けることが最重要と思われ、外部CROにアンケート調査を依頼し、千葉大学において実施シミュレーションを行って、調査のプロトコルを確定する。
結果と考察
テーマ3に関して、千葉大学においてシミュレーションを重ね、調査プロトコルを確定した上で、全3施設で倫理委員会の審査を受けた。倫理委員会では、調査項目によっては心的ストレスを与え、PTSDが発症するリスクが指摘され、最終的にはストレス検査に当たらずと結論されたが、厚生労働省事業でもあることから、モニタリングを実施することとなった。令和2年2月初旬から、全ての調査施設において、個人情報保護を徹底しつつ同一の調査員によるアンケート調査を開始したが、新型コロナウイルスによる影響があり、3月以降は中断した。さらに片眼失明者に対するADL調査を行うにあたり、本邦における片眼失明者数などの実態調査が皆無であることから、疫学調査実施の必要性が議論され、令和2年度に参加施設において小規模な後ろ向き調査を行い、基礎データを収集することとなった。なお、テーマ1「海外の視覚障害に対する福祉制度の調査」およびテーマ2「Functional Vision Score (FVS)に関する国内・海外の文献調査」での調査の拡大、有用性の再評価に関しては、テーマ3の倫理審査・調査の進捗が遅れ、フィードバック情報がなかったため、本年度での実施ができていない。全ての施設において同一の調査員によるアンケート調査を行うことにより、調査員による情報バイアスを避けることができると考えられる。調査項目によっては心的ストレスを与える危険性が倫理委員会で指摘されており、今後も慎重なモニタリングが必要と考えられる。
新型コロナウイルスの感染拡大による令和2年3月以降は調査中断を余儀なくされたが、状況に応じて速やかに調査が再開できるよう、調査方法の再検討も必要と考えられる。
新型コロナウイルスの感染拡大による令和2年3月以降は調査中断を余儀なくされたが、状況に応じて速やかに調査が再開できるよう、調査方法の再検討も必要と考えられる。
結論
アンケート調査による「視覚障害ADL調査」を開始したが、新型コロナウイルスの感染拡大により中断を余儀なくされた。また片眼失明者に関する小規模な疫学調査を行うことになった。
公開日・更新日
公開日
2020-11-16
更新日
-