認知症に関する血液・髄液バイオマーカーの適正使用のための研究

文献情報

文献番号
201917011A
報告書区分
総括
研究課題名
認知症に関する血液・髄液バイオマーカーの適正使用のための研究
課題番号
19GB1004
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
池内 健(国立大学法人新潟大学 脳研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 山田正仁(国立大学法人金沢大学 医薬保健研究域医学系)
  • 田中稔久(国立大学法人大阪大学 大学院医学系研究科)
  • 小原知之(国立大学法人九州大学 医学研究院)
  • 井原涼子(国立大学法人東京大学 医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 認知症政策研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
2,300,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
先端計測技術の進歩に従い,認知症に関する血液・脳脊髄液バイオマーカーの開発が進んでいる。脳内病理変化を反映するバイオマーカー変化は,アルツハイマー型認知症の米国国立老化研究所-アルツハイマー病協会(NIA/AA)改訂診断基準(2011年)やInternational Working Group (IWG)-2基準に組み入れられており,バイオマーカー検査を適切に実施することは認知症診療において極めて重要である。アルツハイマー型認知症の脳脊髄液中ではアミロイドβ42が低下し,総タウ,リン酸化タウが上昇することが明らかにされている。本邦では,脳脊髄液中リン酸化タウの測定がアルツハイマー型認知症の補助診断として保険収載されおり,主に鑑別診断を目的として実臨床に応用されている。このような背景をもとに,バイオマーカーの適正使用のあり方を検討することを研究の目的とする。
研究方法
認知症に関する血液・脳脊髄液バイオマーカーの適性使用のあり方について検討するため,資料を収集の上,分析を行う。関連学会(日本認知症学会,日本神経学会,日本老年精神医学会)と連携し,国際的なガイドラインとの整合性をとりながら,資料のとりまとめを行う。
結果と考察
バイオマーカーの種類と測定意義,本邦での実施状況について調査した。現状では,認知症診断を目的に,脳脊髄液中Aβ42,総タウ,リン酸化タウの測定が実臨床レベルで活用されていた。次に,バイオマーカー測定方法の実施状況を調査した。体外診断薬としての承認を受けている測定法は,ELISAによるリン酸化タウ(フェノスカラーPTAU)および総タウ(フェノスカラーHTAU)の測定であった。医療機関の研究室レベルでは,ELISA,蛍光ビーズ発色法,電気化学発光法などが用いられていたが,これらの測定方法は体外診断薬の承認を受けておらず品質管理が必要と思われた。海外では,全自動型のバイオマーカー測定機(Elecsys,LumiPulse)を用いたバイオマーカー測定が急速に広がっており,欧州や米国では体外診断薬としての承認申請の準備が進んでいる状況である。免疫沈降と質量分析装置を組み合わせて方法による血液中の存在するAβ分子種の定量値が,脳内アミロイド蓄積と高い相関を示すことが報告されており,体外診断薬の承認に向けたPET相関を検証する前向き研究が進行している。
結論
血液・脳脊髄液バイオマーカーの適性使用のために国内外のエビデンスを収集・分析することで,臨床現場における認知症バイオマーカーの効率的な活用が促進される。バイオマーカーの適正な活用は,認知症の正確な病型診断や早期診断に寄与することから,認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)の7つの柱の中で,「認知症容態に応じた適時・適切な医療・介護等の提供」「若年性認知症施策の強化」「認知症の予防法,診断法,治療法,リハビリテーションモデル,介護モデル等の研究開発及びその成果の普及の推進」に貢献することが期待される。

公開日・更新日

公開日
2020-08-11
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2020-08-11
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201917011Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
2,990,000円
(2)補助金確定額
2,990,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,917,237円
人件費・謝金 0円
旅費 216,200円
その他 166,563円
間接経費 690,000円
合計 2,990,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2020-11-17
更新日
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