文献情報
文献番号
201916015A
報告書区分
総括
研究課題名
健康・医療・介護分野の分野横断的なデータ収集・利活用・解析基盤の構築による介護予防に資するAI等開発についての研究
課題番号
19GA5001
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
国立研究開発法人国立長寿医療研究センター(国立研究開発法人国立長寿医療研究センター)
研究分担者(所属機関)
- 荒井秀典(国立研究開発法人国立長寿医療研究センター)
- 島田裕之(国立研究開発法人国立長寿医療研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学政策研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
255,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
我が国においては、高齢化の進展と生産労働人口の減少に伴い、医療・介護等の需要が伸び続けることが見込まれている。そのため、医療・介護等領域におけるICT・AI等を用いた介護予防サービスを官民が協働して開発し、サービスを効率化していくことが重要である。一方、IoTを用いたデータ収集、蓄積、解析等は、アカデミアや民間企業等が、それぞれ個別の事業等ごとに実施しており、個人の生活の中から得られる情報を活用できる統合的なプラットフォームは存在していない。そのため、ヘルスケアIoT機器等から得られる健康関連データを、その他の健康情報と統合的に解析し、介護予防のためのAI等を開発するデータ基盤を創出し、継続的に国民へ裨益する仕組み作りが必要である。また個人の一貫したデータの解析が必要であり、より網羅的なデータ収集と利活用基盤構築が必要である。
本事業では、健康・医療・介護等分野における統一的なデータ収集・利活用基盤(以下、「データ連携基盤」と記載)を構築し、一貫したデータ解析を可能とすることで、効率的なプログラム開発等を行うことができるプラットフォームを創出する。また蓄積したデータをAI等により解析することで、介護予防に資する個人に最適化されたサービス等を検討する。
本事業では、健康・医療・介護等分野における統一的なデータ収集・利活用基盤(以下、「データ連携基盤」と記載)を構築し、一貫したデータ解析を可能とすることで、効率的なプログラム開発等を行うことができるプラットフォームを創出する。また蓄積したデータをAI等により解析することで、介護予防に資する個人に最適化されたサービス等を検討する。
研究方法
本事業では、腕時計型ウェアラブル端末のGoBe2、基本チェックリスト等Webアプリケーション、歩行測定ツールAYUMI EYEから、連携解析を可能とするデータ連携基盤を構築する。集積されたデータを活用して、介護予防に資するAIサービスの検討および対象者本人へ健康状態をフィードバックするアラートシステムを構築する。また、構築したプラットフォームを複数の通いの場において試行的に運用し、データ収集・利活用基盤としての検証を実施する。
結果と考察
構築したプラットフォームを4都道府県における通いの場で試行的に運用することにより、通いの場を起点とするデータ連携基盤のエントリーシステムを整備することができた。今回の事業では4都道府県のみで実施したが、今後、対象とする地域を広げ、対象者数を増やした上で実証研究を行い、最終的には全国的に運用可能にすることが求められる。
集積したデータを対象者本人に対して健康状態アラートとしてフィードバックすることで、高齢者自身の健康に裨益する仕組みを整備することができた。
競争領域の企業に対して、協調領域データを提供する仕組みが整備された。本事業では基本チェックリストの回答データのみの共有であったが、今後はGoBe2や新たな協調領域データも競争領域へ提供する仕組みを整備し、様々な医療・介護・検討データから、競争領域企業が適切なデータを選択し、効率的かつ効果的な研究開発を可能とするプラットフォームを整備することが必要だと考える。
データ連携基盤に集積したデータを活用し、AIサービスを試行的に検討することができた。本事業では、GoBe2のデータおよび基本チェックリストの既存データを活用し、要介護リスクの予測AIを検討した。今後は、協調領域データを拡充することで、より多様で精緻なAIサービスの開発に資することが期待される。
以上のような成果が得られた一方で、本事業を通じて今後データ連携基盤を運用する上での課題も見つかった。
・今後、収集する対象者数を増加するにあたり、データ連携基盤にPPM(Privacy Policy manager)等の機能を付与することが必要であると考えられる。PPMを活用することで、利用者本人は利用規約やデータの提供範囲等を理解し易くなり、また利用者本人が提供するデータを自らコントロール可能になる。データ連携基盤を社会実装する上で、どのような同意管理の機能が必要か、引き続き検討する必要がある。
・ウェアラブルデバイスからのデータを活用する上で、装着率の低さが課題として挙がった。
集積したデータを対象者本人に対して健康状態アラートとしてフィードバックすることで、高齢者自身の健康に裨益する仕組みを整備することができた。
競争領域の企業に対して、協調領域データを提供する仕組みが整備された。本事業では基本チェックリストの回答データのみの共有であったが、今後はGoBe2や新たな協調領域データも競争領域へ提供する仕組みを整備し、様々な医療・介護・検討データから、競争領域企業が適切なデータを選択し、効率的かつ効果的な研究開発を可能とするプラットフォームを整備することが必要だと考える。
データ連携基盤に集積したデータを活用し、AIサービスを試行的に検討することができた。本事業では、GoBe2のデータおよび基本チェックリストの既存データを活用し、要介護リスクの予測AIを検討した。今後は、協調領域データを拡充することで、より多様で精緻なAIサービスの開発に資することが期待される。
以上のような成果が得られた一方で、本事業を通じて今後データ連携基盤を運用する上での課題も見つかった。
・今後、収集する対象者数を増加するにあたり、データ連携基盤にPPM(Privacy Policy manager)等の機能を付与することが必要であると考えられる。PPMを活用することで、利用者本人は利用規約やデータの提供範囲等を理解し易くなり、また利用者本人が提供するデータを自らコントロール可能になる。データ連携基盤を社会実装する上で、どのような同意管理の機能が必要か、引き続き検討する必要がある。
・ウェアラブルデバイスからのデータを活用する上で、装着率の低さが課題として挙がった。
結論
本事業によって、健康関連データを個人単位で統合的に解析し、介護予防のためのAI等を開発するデータ連携基盤を創出することができた。また、データ連携基盤を活用して、通いの場を起点としてエントリーシステムを構築することができた。
公開日・更新日
公開日
2020-06-08
更新日
-