免疫アレルギー疾患対策に関する研究基盤の構築

文献情報

文献番号
201913009A
報告書区分
総括
研究課題名
免疫アレルギー疾患対策に関する研究基盤の構築
課題番号
H30-免疫-指定-003
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
玉利 真由美(東京慈恵会医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 松本 健治(国立研究開発法人 国立成育医療研究センター・免疫アレルギー・感染研究部)
  • 海老澤 元宏(国立病院機構相模原病院 臨床研究センター)
  • 藤枝 重治(国立大学法人 福井大学 医学部学術研究院医学系部門)
  • 天谷 雅行(慶応義塾大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫・アレルギー疾患政策研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
5,462,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
免疫アレルギー疾患に対して、安心して生活できる社会を構築するため、免疫アレルギー疾患研究10か年戦略が平成31年年1月に示された。本研究班は免疫アレルギー疾患の効果的で有意義な研究を推進するため、我が国の免疫アレルギー分野における研究状況や国際情勢を正確に把握し、研究戦略の策定及び情報展開へ貢献するとともに、研究戦略の実装状況を随時確認していくことを目的とする。
研究方法
令和元年9月30日第1回班会議、令和元年12月10日第2回班会議及びミーティングにおいて本戦略の各アクションプランについての研究体制の構築、本戦略の評価方法の討議を行なった。アレルギー疾患の現状把握のため、NDBデータベースで検討する項目について討議し、データ集計を行なった。論文掲載状況について、PubMedのデータベースより、平成27年1月より令和元年12月までの5年間、免疫アレルギー領域の主要8雑誌に著者の所属先としてJapanと記載のある論文数を集計した。さらに医薬品医療機器総合機構の審査、薬事分科会の審議・報告を経て、厚生労働大臣によって新たに承認された免疫アレルギー領域の薬剤の集計の承認情報より、平成27年より令和元年度の間に承認された免疫アレルギー領域の新規承認医薬品についてまとめた。本研究戦略を実装するため、学会の枠を超えて若手研究者を中心とした次世代タスクフォースを結成した。
結果と考察
本研究戦略の内容について日本語総説論文を執筆し、日本アレルギー学会誌「アレルギー」2020年69巻(1)23-33に掲載された。
また本戦略の内容を広く世界の研究者に周知し、国際連携研究を推進するため、本戦略の報告書の英語化を行った。日本アレルギー学会の英文誌「Allergology International」にSecondary publicationとして投稿した(Strategic Outlook toward 2030: Japan’s Research for Allergy and Immunology)(in press)。アレルギー疾患の全体数を把握する疫学調査として、NDB等データベースを活用した疫学研究を行なっている研究者と共同研究を行い、本班会議にてアレルギー領域の疾患定義を討議し、平成29年のNDBデータベースよりデータの抽出を行なった。NDBを活用して罹患状況、診療状況の現状を把握することは今後の研究戦略、政策研究の方針を策定する上で重要と思われる。国際雑誌に掲載された論文数の集計を行なった結果、免疫分野の論文数が横ばい、もしくは一部減少傾向にあるのに対し、アレルギー分野では近年論文数が増加傾向にある雑誌が多かった。新規に承認された医薬品の集計では、令和元年度は、16分野全126件の承認のうち実に1/5に近い24件が免疫アレルギー領域の薬剤であり、うち12の生物学的製剤の承認があった。本研究戦略を実装するため、学会の枠を超えて関連する7つの学会より推薦を受けた計11名の若手研究者を中心とした次世代タスクフォースを結成した。この次世代タスクフォースが中心となり令和2年の第69回日本アレルギー学会学術大会(JSA/WAO Joint Congress 2020)等において、若手研究者のためのシンポジウムを行うこととなり、現在準備を進めている。本研究戦略の実装に向け、次世代タスクフォースの活動について情報発信を行うため、ホームページ(https://www.engage-tf.jp)を作成した。
結論
免疫アレルギー疾患研究10か年戦略2030~「見える化」による安心社会の醸成~の内容について、「アレルギー」に総説として発表した。世界へ向けた情報発信として、日本語総説の内容を英語化し、Allergology Internationalに投稿した。本年度は平成29年のNDBデータベースよりアドレナリン自己注射製剤の処方状況や気管支喘息における生物学的製剤の使用状況、気管支喘息における慢性管理の状況、スギ花粉症におけるアレルゲン免疫療法の実施状況、ダニアレルギーにおけるアレルゲン免疫療法の実施状況、花粉症に対して侵襲的治療の実施状況、食物アレルギー診療における負荷試験の実施状況、食物アレルギー診療における外来栄養食事指導の実施状況の情報の取得を行なった。これらの情報はアレルギーの現状把握に貴重な情報となる。今後、これらについて検討を行い、論文として報告するとともに、将来的に取り組むべき研究課題や戦略の見直しに反映させていく。また今後の本研究戦略の実装に向け、関連する7つの学会より推薦を受けた計11名のメンバーによる次世代タスクフォースENGAGEが結成された。ENGAGEが中心となり、ホームページにおける情報提供をはじめ、国際連携を推進していく。

公開日・更新日

公開日
2020-10-12
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2020-10-12
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201913009Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
11,100,000円
(2)補助金確定額
11,063,000円
差引額 [(1)-(2)]
37,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,193,337円
人件費・謝金 407,143円
旅費 2,703,650円
その他 5,121,216円
間接経費 1,638,000円
合計 11,063,346円

備考

備考
次世代タスクフォースを結成し、名称をEmpowering Next Generation Allergist/immunologist toward Global Excellence Task Force (ENGAGE)とした。令和2年3月にENGAGEのロゴを作成し、ホームページ ENGAGE-TF toward 2030 https://www.engage-tf.jpを作成したが予算よりも安価に作成できたため。

公開日・更新日

公開日
2023-05-08
更新日
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