文献情報
文献番号
201913005A
報告書区分
総括
研究課題名
アレルギー拠点病院ネットワークを利用した成人アレルギー難治/診断困難患者の診療・研究システム構築に関する研究
課題番号
19FE1002
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
谷口 正実(独立行政法人国立病院機構相模原病院 臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
- 福冨 友馬(独立行政法人国立病院機構相模原病院 臨床研究センター)
- 関谷 潔史(独立行政法人国立病院機構相模原病院 アレルギー・呼吸器科)
- 上出 庸介(独立行政法人国立病院機構相模原病院 呼吸器内科)
- 渡井 健太郎(独立行政法人国立病院機構相模原病院 アレルギー科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫・アレルギー疾患政策研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
5,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
背景:
アレルギー疾患対策基本法において地方拠点病院整備が進められているが、実効性のある診療システムの構築はできていない。特に成人アレルギー領域において、特に以下の6病態がエビデンスや経験不足で専門施設でも対応が不十分である。
1)長引く咳嗽の初期対応~難治例の治療
2)NSAIDs不耐症含めた薬剤アレルギーの正確な診断と対応
3)成人食物アレルギーの正確な診断と対応
4)特殊な難治性喘息病態(EGPA、重症真菌喘息、アスピリン喘息などの特殊病型)
5)増加する高齢者喘息
6)花粉・ダニアレルギー寛解のための適切なアレルゲン免疫療法(AIT)
目的:
1)-6)の病態に関して、診療・研究システムの構築を行うこと
アレルギー疾患対策基本法において地方拠点病院整備が進められているが、実効性のある診療システムの構築はできていない。特に成人アレルギー領域において、特に以下の6病態がエビデンスや経験不足で専門施設でも対応が不十分である。
1)長引く咳嗽の初期対応~難治例の治療
2)NSAIDs不耐症含めた薬剤アレルギーの正確な診断と対応
3)成人食物アレルギーの正確な診断と対応
4)特殊な難治性喘息病態(EGPA、重症真菌喘息、アスピリン喘息などの特殊病型)
5)増加する高齢者喘息
6)花粉・ダニアレルギー寛解のための適切なアレルゲン免疫療法(AIT)
目的:
1)-6)の病態に関して、診療・研究システムの構築を行うこと
研究方法
1)-6)の病態に関して、診療・研究システムの構築を行った。
結果と考察
結果:
1)長引く咳嗽の初期対応~難治例の治療:
・NHOネットワーク研究で行っている長引く咳嗽に関するレジストリ研究と診療アルゴリズム検証研究の前半が終了し、2019年度に後半部分の介入研究が開始されて現在遂行中である。
2)NSAIDs不耐症含めた薬剤アレルギーの正確な診断と対応
・アスピリン喘息(AERD)に関する国際診療の手引きを完成し公表した。
・アスピリン喘息に関する国内外の文献や資料を300文献以上収集し、国内版のより詳細な診療手引きを作成中。
・Omalizumab(抗IgE抗体、ゾレア®)のAERDに対する効果をRCTで証明した(Hayashi et al. AJRCCM 2020)
・NSAIDs不耐症、AERD、および薬剤アレルギーに関する資料や文献を国内外から収集した。さらに国立病院機構相模原病院にて過去に経験された薬剤アレルギー患者の実態調査をカルテベースで開始した。
3)成人食物アレルギーの正確な診断と対応
・成人食物アレルギーの各臨床亜型ごとに国内外の文献を収集した。
・医師向け書籍「臨床現場で直面する疑問に答える 成人食物アレルギー Q and A」を執筆し、2019年12月に日本医事新報社より出版した。
4)特殊な難治性喘息病態(EGPA、重症真菌喘息、アスピリン喘息などの特殊病型
・EGPA、AMED針谷班において、EGPAガイドラインが企画され、その作成を寄与した。
・AMED浅野班においてANPMの診療の手引きが企画され、その作成に寄与し、2019年度に発行された(医学書院)。
・EGPAとABPAに関する国内外の最新の文献や資料の収集を行った。
・実際に診断や治療が困難で紹介されたEGPA,真菌関連重症喘息に関して、国立病院機構相模原病院自験例を基に、具体的な対応を、Q&A方式で作成を開始した。
5)増加する高齢者喘息
・国立病院機構相模原病院における高齢者喘息患者のレジストリ研究を開始した。
6)花粉・ダニアレルギー寛解のための適切なアレルゲン免疫療法(AIT)
・診療マニュアル素案が完成し、ブラッシュアップ中である。
考察:
■本研究で作成されるマニュアルは、今後のガイドラインの基点となる可能性がある
■花粉やダニアレルギーに対する正しいアレルゲン免疫療法が全国に広まり、日本人の花粉症の根治やアレルギー自然史の改善に大いに役立つ
■「長引く咳」と「花粉アレルギー」に対しての適切な医療が普及することから、難治疾患ではないものの、国内で最も高頻度の患者群が改善し、社会的にも大きなインパクトを有する
■レジストリ研究により、日本人難治アレルギー、高齢者喘息の実態が明らかとなる
■以上の結果により、患者救済はもちろん、医療経済的にも大きな効果が望める。
1)長引く咳嗽の初期対応~難治例の治療:
・NHOネットワーク研究で行っている長引く咳嗽に関するレジストリ研究と診療アルゴリズム検証研究の前半が終了し、2019年度に後半部分の介入研究が開始されて現在遂行中である。
2)NSAIDs不耐症含めた薬剤アレルギーの正確な診断と対応
・アスピリン喘息(AERD)に関する国際診療の手引きを完成し公表した。
・アスピリン喘息に関する国内外の文献や資料を300文献以上収集し、国内版のより詳細な診療手引きを作成中。
・Omalizumab(抗IgE抗体、ゾレア®)のAERDに対する効果をRCTで証明した(Hayashi et al. AJRCCM 2020)
・NSAIDs不耐症、AERD、および薬剤アレルギーに関する資料や文献を国内外から収集した。さらに国立病院機構相模原病院にて過去に経験された薬剤アレルギー患者の実態調査をカルテベースで開始した。
3)成人食物アレルギーの正確な診断と対応
・成人食物アレルギーの各臨床亜型ごとに国内外の文献を収集した。
・医師向け書籍「臨床現場で直面する疑問に答える 成人食物アレルギー Q and A」を執筆し、2019年12月に日本医事新報社より出版した。
4)特殊な難治性喘息病態(EGPA、重症真菌喘息、アスピリン喘息などの特殊病型
・EGPA、AMED針谷班において、EGPAガイドラインが企画され、その作成を寄与した。
・AMED浅野班においてANPMの診療の手引きが企画され、その作成に寄与し、2019年度に発行された(医学書院)。
・EGPAとABPAに関する国内外の最新の文献や資料の収集を行った。
・実際に診断や治療が困難で紹介されたEGPA,真菌関連重症喘息に関して、国立病院機構相模原病院自験例を基に、具体的な対応を、Q&A方式で作成を開始した。
5)増加する高齢者喘息
・国立病院機構相模原病院における高齢者喘息患者のレジストリ研究を開始した。
6)花粉・ダニアレルギー寛解のための適切なアレルゲン免疫療法(AIT)
・診療マニュアル素案が完成し、ブラッシュアップ中である。
考察:
■本研究で作成されるマニュアルは、今後のガイドラインの基点となる可能性がある
■花粉やダニアレルギーに対する正しいアレルゲン免疫療法が全国に広まり、日本人の花粉症の根治やアレルギー自然史の改善に大いに役立つ
■「長引く咳」と「花粉アレルギー」に対しての適切な医療が普及することから、難治疾患ではないものの、国内で最も高頻度の患者群が改善し、社会的にも大きなインパクトを有する
■レジストリ研究により、日本人難治アレルギー、高齢者喘息の実態が明らかとなる
■以上の結果により、患者救済はもちろん、医療経済的にも大きな効果が望める。
結論
エビデンスが不足している6つの病態に対する診療・研究システムの構築を行った。本研究によって作成されるマニュアルやQ and Aは、今後のガイドライン作成の基点となる可能性がある。
公開日・更新日
公開日
2020-10-12
更新日
-