アレルギー疾患の患者および養育者の就労・就学支援を推進するための研究

文献情報

文献番号
201913003A
報告書区分
総括
研究課題名
アレルギー疾患の患者および養育者の就労・就学支援を推進するための研究
課題番号
H30-免疫-一般-001
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
加藤 則人(京都府公立大学法人京都府立医科大学 大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 益田 浩司(京都府公立大学法人京都府立医科大学 大学院医学研究科)
  • 峠岡 理沙(京都府公立大学法人京都府立医科大学 大学院医学研究科)
  • 安田 誠(京都府公立大学法人京都府立医科大学 大学院医学研究科)
  • 土屋 邦彦(京都府公立大学法人京都府立医科大学 大学院医学研究科)
  • 金子 美子(京都府公立大学法人京都府立医科大学 大学院医学研究科)
  • 小田 良(京都府公立大学法人京都府立医科大学 大学院医学研究科)
  • 内山 和彦(京都府公立大学法人京都府立医科大学 大学院医学研究科)
  • 上原 里程(京都府公立大学法人京都府立医科大学 大学院医学研究科)
  • 堤 明純(北里大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫・アレルギー疾患政策研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
4,590,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、小児・成人のアトピー性皮膚炎、気管支喘息、食物アレルギー、アレルギー性鼻炎などのアレルギー疾患および成人の関節リウマチが、患者および養育者の就労・就学におよぼす影響の現状を調査し、その支援体制を提案し、普及させることである。
アレルギー疾患や関節リウマチの患者やその家族は、疾患の症状により夜間の睡眠障害も含め不規則に生活が障害されるほか、発作や症状悪化への不安、作業や学校での活動上の制限など、就労や就学に支障が生じていると考えられるが、その実態は明らかでない。また、通院などの加療も就労や就学に影響があると考えられる。したがって、アレルギー疾患・関節リウマチの患者や養育者が、疾患と就労・就学を両立させることを支援するには、患者と養育者、教育関係者、職場関係者、医療者への調査により就労・就学への影響の実態を明らかにした上で、就労・就学支援のためのマニュアル、連携資材、ホームページなどを作成することが重要である。あわせて、アレルギー疾患・関節リウマチの診療ガイドラインに基づいた治療やセルフコントロールの方法の普及も必須である。そこで、2年目の今年度は、アレルギー疾患・関節リウマチの患者と養育者に記述的質問票と労働・勉学障害率質問票調査を行い、疾患やその治療が就労・就学におよぼす影響の現状、通院状況、治療内容などの現状を把握することを目的とする。
研究方法
各地域の病院と診療所に通院中の患者や養育者、京都府職員を対象に、アレルギー・リウマチ疾患の患者と養育者に記述的質問票と労働・勉学障害率質問票を行い、疾患やその治療が就労・就学におよぼす影響の現状、通院状況、治療内容などを調査する。
また、養護教諭など教育関係者、産業医、医療者への半構造化インタビューを行う。
結果と考察
アレルギー疾患やリウマチ疾患の患者の労働生産性低下、就職や就労における患者や養育者が抱える問題、治療の現状、職場や学校での配慮が必要な事項、医師から職場や学校に提供すべき情報など、有益な情報が多数得られた。また、アレルギー疾患や関節リウマチの患者や養育者への就労や就学への影響があるにもかかわらず、その支援策が十分でないことがうかがわれた。特に、重症のアトピー性皮膚炎や接触皮膚炎の患者では、就労に影響する頻度が高く、また仕事あるいは学校のために通院が制限された結果症状が悪化するのが15~20%程度みられ、改善すべき問題であると思われた。また、2項目以上の食物に対するアレルギーを有する患児の養育者においては、就労への影響が特に多いことから、特に配慮が必要と考えられた。
 産業医からは、仕事内容とアレルギーの関連について正確な情報、および具体的な対応策を望む意見が多かったが、すべての医療機関でアレルギー検査をできるわけではなく、検査できる内容にも限りがあることの周知も必要であると思われた。一方で、患者本人の訴えばかりをくみ取って職場の実情や一般的な対応が可能な範囲を超えた就業制限を記載したものや具体的な原因物質が特定されてないことが問題点としてあげられていた。対応する医師にも専門的な知識と経験が必要と考えられるため、アレルギー・リウマチ専門医で、適切なな問診や検査をおこない、診断書を作成することが望ましいと思われた。リウマチ疾患に関しては、近年生物学的製剤を中心とした新しい治療薬の普及とともに治療成績が改善しているが、学校や職場などの現場ではいまだに不治の病で関節の変形が止まらない病気であるなど理解が乏しいと思われているといった意見があった。学校や職場に対する、リウマチ疾患の周知が重要であると思われた。患者数が少ないこともあるが、学校や職場に患者がいる場合は、就労・就学支援のため教育関係者、職場、産業医、医療者の緊密で効率的な連携が必須と考えられた。
結論
 本年度は、アレルギー疾患や関節リウマチの患者や養育者への就労・就学への影響に関する質問票調査や学校関係者、産業医、専門医への半構造化インタビューなどから、アレルギー疾患やリウマチ疾患の患者の労働生産性低下、就職や就労における患者や養育者が抱える問題、治療の現状、職場や学校での配慮が必要な事項、医師から職場や学校に提供すべき情報など、有益な情報が多数得られた。今後、これらの情報を生かして、問題点を解消する連携資材やマニュアル、ホームページ作成を進める。

公開日・更新日

公開日
2020-05-25
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201913003Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
5,966,000円
(2)補助金確定額
4,936,987円
差引額 [(1)-(2)]
1,029,013円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 810,847円
人件費・謝金 239,899円
旅費 720,522円
その他 1,789,719円
間接経費 1,376,000円
合計 4,936,987円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2020-05-26
更新日
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