難病患者の総合的支援体制に関する研究

文献情報

文献番号
201911088A
報告書区分
総括
研究課題名
難病患者の総合的支援体制に関する研究
課題番号
H30-難治等(難)-指定-004
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
小森 哲夫(独立行政法人国立病院機構箱根病院 神経筋・難病医療センター)
研究分担者(所属機関)
  • 溝口 功一(独立行政法人国立病院機構 静岡医療センター)
  • 小倉 朗子(公益財団法人東京都医学総合研究所)
  • 川尻洋美(田所洋美)(群馬県難病相談支援センター)
  • 宮地 隆史(独立行政法人国立病院機構 柳井医療センター)
  • 菊池 仁志(医療法人財団華林会 村上華林堂病院)
  • 阿部 達哉(国立病院機構箱根病院)
  • 植木 美乃(名古屋市立大学 医学研究科)
  • 中馬 孝容(滋賀県立総合病院)
  • 小林 庸子(国立精神・神経医療研究センター)
  • 中山 優季(公益財団法人東京都医学総合研究所)
  • 原口 道子(公益財団法人東京都医学総合研究所)
  • 江口 尚(北里大学)
  • 植竹 日奈(独立行政法人国立病院機構 まつもと医療センター)
  • 高橋 祐二(国立精神・神経医療研究センター)
  • 今井 富裕(札幌医科大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
59,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 これまで継続的に実施されてきた難病患者の支援体制に関する研究におけるそれぞれの課題を引き続き充実させて、多職種による質の高い支援を全国均てん化するため、研究課題を(1)難病医療ネットワークの充実、(2)地域支援ネットワークの充実、(3)福祉ネットワークの充実の3つに組み替えて、研究成果が明らかとなることを重視した。加えて、全てを下支えする(4) 難病関連職種の教育研修体制の構築をあげ、今後の難病患者の現実に即した政策に反映されうるものとなることを目的とした。
研究方法
難病医療ネットワークの充実:都道府県難病診療連携拠点病院の状況を都道府県の担当課に一括アンケート調査した(溝口、宮地、阿部)。レスパイト事業の実態調査をした(菊池)。難病患者におけるリハビリテーションの実態をWeb調査(植木)。5都県の介護保険リハビリテーション提供施設へアンケート調査(中馬)。神経難病患者のリハビリテーション利用法の整理・提案(小林)を実施した。地域支援ネットワークの充実:在宅人工呼吸器使用難病患者支援事業の利用状況分析と日本難病看護学会認定難病看護師の業務を解析した(中山)。難病関連職種へのインタビューで介護支援専門員と難病ホームヘルパーへの教育・研修を調査した(原口)。難病保健活動の充実は、自治体への難病対策地域協議会の難病保健活動調査を継続した(小倉)。災害時対策として災害関連シンポジウムを開催した。福祉ネットワークの充実:難病相談支援センターの標準業務調査を継続した(川尻)。難病患者の就労支援として実態をWeb調査を継続実施した(江口)。両立支援モデルの構築を試みた(植竹)。難病関連職種のe-learningによる教育・研修体制構築:分担研究者全員の要望である人材育成を効率的に実施するためe-learningの導入に至る基礎的情報を整理した(今井)。
結果と考察
 難病医療ネットワークの充実:都道府県と通じた難病診療連携拠点病院調査を継続した。都道府県難病診療連携拠点病院内の理解と協力の醸成、難病診療連携コーディネーター業務整理と研修に希望があった。遺伝子検査の院内体制は整っていた。従来制度のレスパイト入院体制維持もあった。多職種連携診療チームの必要性は理解されていた、短期入院の費用が概ね明らかとなり、今後のレスパイト事業継続にヒントを与えた。医療と介護の両制度を使う場合、介護関連施設への情報共有と専門的指導が必要であることがわかった。複雑な制度の神経難病リハビリテーションは、専門的医療機関が地域訓練の繋ぎを意識して患者指導することが重要であった。地域支援ネットワークの充実:在宅人工呼吸器使用難病患者支援事業の利用疾患と利用回数は増加した。難病看護師は増加しているが遺伝子関連カウンセリングと移行期医療への関与に改善点が残った。介護支援専門員と難病ホームヘルパーには、患者情報や医療情報と環境情報の相互理解が重要と考えられ、医療機関内外を跨ぐ多職種を含めた研修が必要であった。難病保健活動は、地域支援ネットワークの中心的課題で、難病対策地域協議会の運営強化と難病保健活動の人材育成が引き続きの課題と思われた。本庁の難病担当保健師が保健所等連絡会を実施する体制が有益と思われた。福祉ネットワークの充実:難病相談支援センターの標準的仕様を提案した。作成した「お役立ちノート」「お役立ちガイド」が難病患者就労支援ツールとして有用との評価を得た。難病患者の就労状況Web調査で難病患者の新規就労・就労継続例の特徴がわかった。就労関係機関との連携と主治医の就労配慮が重要だった。難病関連職種の教育研修体制の構築:人材育成を効率的に実施するためe-learningの導入に至る基礎的情報を整理し、プラットフォームの例を構築した。
結論
 難病医療ネットワークの充実:難病医療提供体制を充実させるため、関連職員に十分な情報提供を継続する必要がある。レスパイト制度の再構築が必要である。難病リハビリテーションは地域との連携に注力が必要である。地域支援ネットワークの充実:多職種の人材育成と保健所機能の人材が肝要となる。福祉ネットワークの充実:難病相談支援センターの業務標準化が急がれる。両立支援は今後も情報を集めること、支援ツールの充実が必要がある。難病関連職種の教育研修体制の構築:関連職種の教育・研修にe-learningが利用できる。

公開日・更新日

公開日
2020-07-02
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2020-07-02
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
201911088B
報告書区分
総合
研究課題名
難病患者の総合的支援体制に関する研究
課題番号
H30-難治等(難)-指定-004
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
小森 哲夫(独立行政法人国立病院機構箱根病院 神経筋・難病医療センター)
研究分担者(所属機関)
  • 溝口 功一(独立行政法人国立病院機構 静岡医療センター)
  • 小倉 朗子(公益財団法人東京都医学総合研究所)
  • 川尻洋美(田所洋美)(群馬県難病相談支援センター)
  • 宮地 隆史(独立行政法人国立病院機構 柳井医療センター)
  • 菊池 仁志(医療法人財団華林会 村上華林堂病院)
  • 阿部 達哉(国立病院機構箱根病院)
  • 植木 美乃(名古屋市立大学 医学部研究科)
  • 中馬 孝容(滋賀県立総合病院)
  • 小林 庸子(国立精神・神経医療研究センター)
  • 中山 優季(公益財団法人東京都医学総合研究所)
  • 原口 道子(公益財団法人東京都医学総合研究所)
  • 江口 尚(北里大学)
  • 植竹 日奈(独立行政法人国立病院機構 まつもと医療センター)
  • 高橋 祐二(国立精神・神経医療研究センター)
  • 今井 富裕(札幌医科大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究者交替、所属機関変更
研究分担者 森 臨太郎→平成30年11月25日より研究協力者へ交替

研究報告書(概要版)

研究目的
 難病患者の支援体制に関する研究におけるそれぞれの課題を引き続き充実させて、多職種による質の高い支援を全国均てん化するため、研究課題を(1)難病医療ネットワークの充実、(2)地域支援ネットワークの充実、(3)福祉ネットワークの充実 (4) 難病関連職種の教育研修体制の構築で研究を実施し、患者の現実が反映される難病施策策定に資することを目的とした。
研究方法
 難病医療ネットワークの充実:都道府県難病診療連携拠点病院の状況を都道府県の担当課に一括アンケート調査した(溝口、宮地、阿部)。レスパイト事業の実態調査をした(菊池)。難病患者におけるリハビリテーションの実態をWeb調査(植木)。5都県の介護保険リハビリテーション提供施設へアンケート調査(中馬)。神経難病患者のリハビリテーション利用法の整理・提案(小林)を実施した。地域支援ネットワークの充実:在宅人工呼吸器使用難病患者支援事業の利用状況分析と日本難病看護学会認定難病看護師の業務を解析した(中山)。難病関連職種へのインタビューで介護支援専門員と難病ホームヘルパーへの教育・研修を調査した(原口)。難病保健活動の充実は、自治体への難病対策地域協議会の難病保健活動調査を継続した(小倉)。災害時対策として災害関連シンポジウムを開催した。福祉ネットワークの充実:難病相談支援センターの標準業務調査を継続した(川尻)。難病患者の就労支援として実態をWeb調査を継続実施した(江口)。両立支援モデルの構築を試みた(植竹)。難病患者生活実態調査のまとめ:医療費助成経過期間終了後の調査を実施した(中山)。Webページの作成と利用:研究班 Webページで、成果物利用状況を調査した(小森)。難病関連職種のe-learningによる教育・研修体制構築:分担研究者全員の要望である人材育成を効率的に実施するためe-learningの導入に至る基礎的情報を整理した(今井)。
結果と考察
 難病医療ネットワークの充実:都道府県と通じた難病診療連携拠点病院調査を継続した。拠点病院内の理解と協力の醸成、難病診療連携コーディネーター業務整理と研修に課題があった。多職種連携診療チームの必要性は理解されていた。短期入院の費用が概ね明らかとなり、今後のレスパイト事業継続にヒントを与えた。リハビリテーションは医療と介護の両制度を使う場合、介護関連施設への情報共有と専門的指導が必要であることがわかった。専門的医療機関が地域リハ訓練の繋ぎをすることが重要であった。地域支援ネットワークの充実:在宅人工呼吸器使用難病患者支援事業の利用疾患と利用回数は増加した。難病看護師は増加しているが遺伝子カウンセリングと移行期医療への関与に課題があった。介護支援専門員と難病ホームヘルパーは、医療機関内外を跨ぐ多職種を含めた研修が必要であった。難病保健活動は、地域支援ネットワークの中心的課題で、難病対策地域協議会の運営強化と難病保健活動の人材育成が引き続きの課題と思われた。本庁の難病担当保健師が保健所等連絡会を実施する体制が有益と思われた。福祉ネットワークの充実:難病相談支援センターの標準的仕様を提案した。作成した「お役立ちノート」「お役立ちガイド」が難病患者就労支援ツールとして有用との評価を得た。難病患者の就労状況Web調査で難病患者の新規就労・就労継続例の特徴がわかった。就労関係機関との連携と主治医の就労配慮が重要だった。難病患者生活実態調査のまとめ:経過期間終了に伴う通院頻度低下は、ADLと病状の維持改善が影響するという結果であった。病状による支援の必要性に違いがあり、個人の病状に見合う支援法再考が重要だった。Webページの作成と利用:成果物のダウンロードは、約1800件であった。難病関連職種の教育研修体制の構築:人材育成を効率的に実施するためe-learningの導入に至る基礎的情報を整理し、プラットフォームの例を構築した。
結論
 難病医療ネットワークの充実:難病医療提供体制を充実させるため、関連職員に十分な情報提供を継続する必要がある。レスパイト制度の再構築が必要である。難病リハビリテーションは地域との連携に注力が必要である。地域支援ネットワークの充実:多職種の人材育成と保健所機能の人材が肝要となる。福祉ネットワークの充実:難病相談支援センターの業務標準化が急がれる。両立支援は今後も情報を集めること、支援ツールの充実が必要がある。難病患者生活実態調査のまとめ:現在の医療費助成などは公平性の観点で妥当と思われる。Webページの作成と利用:今後も充実させることが肝心である難病関連職種の教育研修体制の構築:関連職種の教育・研修にe-learningが利用できる。

公開日・更新日

公開日
2020-07-02
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2020-07-02
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201911088C

収支報告書

文献番号
201911088Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
76,700,000円
(2)補助金確定額
76,700,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,016,579円
人件費・謝金 9,092,236円
旅費 12,376,650円
その他 35,516,841円
間接経費 17,700,000円
合計 76,702,306円

備考

備考
振込手数料等予想以上の支出があったため、研究代表者小森哲夫が差額分を負担した。

公開日・更新日

公開日
2021-01-29
更新日
-