発汗異常を伴う稀少難治療性疾患の治療指針作成、疫学調査の研究

文献情報

文献番号
201911083A
報告書区分
総括
研究課題名
発汗異常を伴う稀少難治療性疾患の治療指針作成、疫学調査の研究
課題番号
19FC1009
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
横関 博雄(国立大学法人 東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 皮膚科学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 並木 剛(国立大学法人 東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 皮膚科学分野 )
  • 佐藤貴浩(防衛医科大学校 医学科 皮膚科学講座)
  • 室田浩之(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科)
  • 渡邉大輔(愛知医科大学 大学院医学研究科)
  • 中里良彦(埼玉医科大学  脳神経内科)
  • 朝比奈正人(医療法人同和会 神経研究所)
  • 岩瀬 敏(愛知医科大学 大学院医学研究科)
  • 下村 裕(山口大学 大学院医学系研究科)
  • 新関寛徳(国立成育医療研究センター 皮膚科)
  • 野村尚史(京都大学 大学院医学研究科)
  • 吉田和恵(国立成育医療研究センター 皮膚科)
  • 久松理一(杏林大学 医学部)
  • 芳賀信彦(東京大学 医学部附属病院)
  • 久保田雅也(国立成育医療研究センター 神経内科)
  • 藤本智子(田中智子)(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
7,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
発汗異常を伴う稀少難治性疾患には無汗症、多汗症を伴う肥厚性皮膚骨膜症などがある。無汗症は先天性と後天性に分類され先天性無汗症には無汗(低汗)性外胚葉形成不全症、先天性無痛汗症(指定難病130)などがある。
本研究ではまず無汗外胚葉形成不全症の診断基準重症度基準、分類、生活指導など治療指針を作成した。さらに本邦における全国的な疫学調査を継続して施行し無汗外胚葉形成不全症の発症頻度を明らかにするとともにレジストリを作成して適切な治療法の確立を目指す。
先天性無痛無汗症は遺伝性感覚・自律神経ニューロパチー(HSAN)に属する疾患で、このうち4型を先天性無痛無汗症と呼ばれており今後、診断基準、重症度などガイドライン作成を策定する必要がある。
特発性後天性全身性無汗症(AIGA) (指定難病163)は現在、診療ガイドラインが改定(自律神経)されさらに、英文のガイドラインも策定された。この疾患は指定難病となっているが治療に苦慮する疾患である。AIGAの発症頻度、発症因子、悪化因子、ステロイドパルス療法の有用性を検討して重症度基準、エビデンスに基づいた治療法を確立する
肥厚性皮膚骨膜症(指定難病165)の診療ガイドラインの策定(2019年度)を行う。
研究方法
(1)特発性後天性全身性無汗症(AIGA)の疫学調査、診療ガイドライン改訂
(2)無(低)汗性外胚葉形成不全症の疫学調査、診療ガイドライン作成、アレルギー疾患合併の疫学解析
(3)先天性無痛無汗症の疫学調査、診療ガイドライン改正
(4)肥厚性皮膚骨膜症の診療ガイドライン策定、疫学調査
結果と考察
(1)特発性後天性全身性無汗症(AIGA)
・ステロイドパルスが有効であった症例は発症1年以内の症例は86%であったが、発症後時間が経過するにつれて有効率が減少した。
(2)無(低)汗性外胚葉形成不全症
・26例中14例(54%)でアトピー性皮膚炎を合併し、11例(42%)で気管支喘息を合併していた。12例(54%)にアレルギー症状が認められた。9例(64%)で花粉アレルギー、4例(12%)で食物アレルギー(大豆、キウイとピーナッツ)を伴っていた。
(3)先天性無痛無汗症
・総合的な診療・ケアのための指針(第2版)の内容及び執筆分担者を決定した。また、患者家族会との議論では、患者が救急で医療機関にかかった場合等に、本疾患の経験のない医療従事者がWeb上で参照できるものが要望され、これに配慮した構成を検討することになった。
(4)肥厚性皮膚骨膜症
・小腸潰瘍症患者通院施設27施設(患者63名分の調査票63件)へ本研究調査実施の依頼と調査票を送付し、平成31年4月末を締め切りとして61例(96.8%)から調査票を回収できた。
結論
AIGA157例の検討では、ステロイドパルス療法が有効であった例は発症から1年以内では86%であり、発症から治療開始までの期間が短いほうがステロイドパルス療法の有効性が高い傾向があった。
無(低)汗性外胚葉形成不全症患者の遺伝子解析、皮膚症状の解析、合併症の解析を試みた。興味深いことに26例中14例(54%)でアトピー性皮膚炎を合併し、11例(42%)で気管支喘息を合併していた。先天性無痛無汗症に関しては、先天性無痛症および無痛無汗症に対する総合的な診療・ケアのための指針(第2版)を平成30年11月に発行した。 肥厚性皮膚骨膜症患者の全国調査の一環として、非特性異性多発性小腸潰瘍症(小腸潰瘍症)患者の本症の合併頻度を調査した。小腸潰瘍症患者61例の男女比は、1:1.6であった。3主徴をはじめ皮膚外症状の頻度では明らかに男性有意であり女性に少なかった。3主徴全てを有する患者は11例であった。3主徴では明らかにばち指が早く10代であったが、他は平均で40歳以降であった。小腸潰瘍症平均は26歳であり、皮膚肥厚より早かった。

公開日・更新日

公開日
2021-05-27
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2021-05-27
更新日
2021-11-29

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201911083Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
9,100,000円
(2)補助金確定額
9,100,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 951,426円
人件費・謝金 4,551,672円
旅費 789,025円
その他 707,877円
間接経費 2,100,000円
合計 9,100,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2021-05-27
更新日
2021-06-14