指定難病と小児慢性特定疾病に関連した先天性骨系統疾患の適切な診断の実施と医療水準およびQOLの向上をめざした研究

文献情報

文献番号
201911080A
報告書区分
総括
研究課題名
指定難病と小児慢性特定疾病に関連した先天性骨系統疾患の適切な診断の実施と医療水準およびQOLの向上をめざした研究
課題番号
19FC1006
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
澤井 英明(兵庫医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 芳賀 信彦(東京大学 医学部附属病院)
  • 鬼頭 浩史(名古屋大学 大学院)
  • 大薗 惠一(大阪大学 大学院)
  • 窪田 拓生(大阪大学 大学院)
  • 室月 淳(東北大学 大学院)
  • 宮崎 治(国立成育医療研究センター 放射線診療部)
  • 道上 敏美(大阪母子医療センター)
  • 山田 崇弘(京都大学 大学院)
  • 大森 崇(神戸大学 医学部附属病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
11,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
公募課題19FC0201の②を対象疾患とする。先天性骨系統疾患のうち指定難病(指定)や小児慢性特定疾病(小慢)に認定されている疾患として、①タナトフォリック骨異形成症(指定275)、②軟骨無形成症(指定276・小慢)、③低ホスファターゼ症(指定172、小慢)、④骨形成不全症(指定274、小慢)、⑤大理石骨病(指定326・小慢)、⑥2型コラーゲン異常症関連疾患(小慢)などがあり、それぞれ全国共通の診断基準・重症度分類が診断治療指針(指針)として定められている。本政策研究の目的はこれらの疾患に適切な診断が実施されるように医師や医療機関を支援し、その結果として患者が適切な治療を受ける環境を整えてQOLを向上させ、最終的には全体の医療水準を向上させることである。
必要性及び特色:骨系統疾患は診療科横断的な稀少疾患で、骨系統疾患の専門家を網羅した体制が必要である。当研究班は当該骨系統疾患の診断治療指針を担当した研究者を分担者とし、しかも整形外科・小児科・産科・放射線科・臨床遺伝学・遺伝子診断・疫学と関連する全関連診療科を網羅していることが特色である。
研究方法
研究代表者と研究分担者が専門領域を分担しつつ進めている。
結果と考察
1)診断治療指針:
すでに②軟骨無形成症(指定276・小慢)、③低ホスファターゼ症(指定172、小慢)、については学会で承認された診療指針が出来ている。④骨形成不全症(指定274、小慢)、⑤大理石骨病(指定326・小慢)、⑥2型コラーゲン異常症関連疾患(小慢)、①タナトフォリック骨異形成症(指定275)については途上である。
2)疾患レジストリ:AMED難病プラットフォームによる疾患レジストリの構築を開始した。初年度は難病プラットフォームの事務局と疾患レジストリ構築に関して相談を開始する。レジストリの具体的な手順は、AMEDから提供されている、患者レジストリに使用可能な標準研究実施計画書、標準同意説明文書、標準手順書をもとに、骨系統疾患に適切な項目を追加して、実効性のあるシステムを具体的に決定することとし、対象とする骨系統疾患共通の全体のシステムは完成した。
3)循環器系合併症調査:骨形成不全症は循環器系合併症が知られており、脳動脈瘤によるくも膜下出血の発症などは患者の生命にかかわり、QOLを著しく損なう可能性がある。当研究の一環として、脳血管疾患を含む循環器系合併症の実情を調査することとし、計画書の作成と倫理審査や協力施設との契約等を開始した。
4)厚生労働省難病対策課との連携
 問い合わせに対応し、難病制度の適正な実施に協力・連携している。
5)診断治療指針の普及活動、各医療機関への診療支援
すでに全国の地域で中核となる医療機関に対して、骨系統疾患にどの程度まで対応できるかを診療科別に調査しリストアップしてありこれの更新を行っている。
各医療機関からの診断支援に対しても対応している。また専門家の紹介等も行っている。
6)患者からの問い合わせ窓口として機能
患者や家族からの問い合わせに対応している。
7)診断に必要な情報の整備
・遺伝子検査:国際分類2019では記載された骨系統疾患は437遺伝子も知られており、本研究の対象疾患でも新たな原因遺伝子が報告されていて、臨床個人調査票の改定も必要になっている状況がある。精度管理がなされて実施できる体制を、確立することが非常に重要である。すでに、骨系統疾患の遺伝子検査実施施設と疾患・遺伝子リストを作成済であり、これを更新し続けている。
・画像診断:単純X線診断、CT診断(胎児CT含む)が骨系統疾患では非常に重要で、統一した放射線診断の指針を作成している。
・患者の病状調査:従来から骨系統疾患(直近ではタナトフォリック骨異形成症や大理石骨病)の患者の病状調査・患者数調査を実施して論文報告した。研究の進行にともない、患者のQOL向上のために必要となった場合には、特定の疾患で病状調査や患者数の調査を行う。
2型コラーゲン異常症においては、指定難病の認定に必要とされる病状と遺伝子変異のデータの収集を継続している。
結論
指定難病と小児慢性特定疾病の診断と治療の支援を継続する。

公開日・更新日

公開日
2021-05-27
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2021-05-27
更新日
2021-11-29

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201911080Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
14,950,000円
(2)補助金確定額
14,947,000円
差引額 [(1)-(2)]
3,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,279,677円
人件費・謝金 334,982円
旅費 2,146,037円
その他 6,736,707円
間接経費 3,450,000円
合計 14,947,403円

備考

備考
自己資金:403円

公開日・更新日

公開日
2021-05-27
更新日
2021-06-14