難病領域における検体検査の精度管理体制の整備に資する研究

文献情報

文献番号
201911073A
報告書区分
総括
研究課題名
難病領域における検体検査の精度管理体制の整備に資する研究
課題番号
H30-難治等(難)-一般-018
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
難波 栄二(国立大学法人鳥取大学 研究推進機構)
研究分担者(所属機関)
  • 小原 收(かずさDNA研究所 ゲノム事業推進部)
  • 堤 正好(株式会社エスアールエル 営業本部マーケティング部)
  • 宮地 勇人(東海大学 医学部基盤診療学系臨床検査学)
  • 中山 智祥(日本大学 医学部病態病理学系臨床検査医学分野)
  • 古庄 知己(信州大学 学術研究院医学系(医学部附属病院/遺伝子医療研究センター))
  • 要 匡(国立成育医療研究センター ゲノム医療研究部)
  • 原田 直樹(京都大学 iPS細胞研究所)
  • 足立 香織(国立大学法人鳥取大学 研究推進機構)
  • 佐藤 万仁(国立成育医療研究センター ゲノム医療研究部)
  • 奥山 虎之(国立成育医療研究センター 臨床検査部)
  • 後藤 雄一(国立精神・神経医療研究センター メディカル・ゲノムセンター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究班は難病領域の遺伝学的検査(以下「検査」)に関する品質・精度確保を検討し、その検査体制の充実を図りゲノム医療の推進に貢献することを目的としている。
研究方法
研究2年目となる本年度は、難病班等へのWebアンケートを実施し、登録衛生検査所、医療機関、研究などにおける「検査」の状況を調査した。「検査」の品質・精度確保に関して、外部精度管理について検討を行うともに、米国、英国の施設の実地調査なども行った。保険収載の拡充を図るため、指定難病の診断基準にある「検査」の妥当性を検討した。令和2年度診療報酬改定にて保険収載された難病領域の「検査」の提供体制の充実を図り、この情報をホームページに掲載した。さらに難病領域の「検査」の実施施設の情報を提供する検索サイトの構築も行った。
結果と考察
1. 難病の「検査」は現状では研究室での実施が多いが、品質・精度確保に限界があり、診療目的の「検査」では医療機関、衛生検査所での実施体制の充実を図ることが必要である。2. 研究と診療の「検査」を切り分ける必要があるが、未診断疾患イニシアチブ(IRUD)のように診断とも密接に関係する研究では、研究結果を診療に活かすための体制(確認検査など)が必要である。3. 衛生検査所での難病の「検査」は、NGS技術の実績をもつ、かずさDNA研究所で拡充が図られているが、他の衛生検査所とも連携したバランスのとれた体制が望まれる。4. 衛生検査所での「検査」を拡充するためには、検査結果の対応などで専門家との連携、ならびに検査コストの実情に即した保険点数の増額が必要になる。5. 大学病院などの医療機関は難病の専門家との連携がとりやすく、柔軟に「検査」の体制を構築できるメリットがあるが、日本ではこの体制を拡充するには限界がある。6. 信州大学の例のように、機関内に衛生検査所の寄付講座を設定するなどの新たな取り組みが注目される。7. できるだけ多くの「検査」を衛生検査所に集約したとしても、対応できない特殊検査への対応は別途必要になる。8. 特殊検査への対応の一つとして、品質・精度確保のための要員や費用の面でハードルは高いが、研究室が衛生検査所登録する方法がある。9. ナショナルセンターが組織的に衛生検査所登録を行い、特殊検査などに対応することも検討することが必要である。10. ゲノム医療に対するISO15189の検討が行われているが、日本では難病「検査」の品質・精度確保のための外部精度管理サーベイを提供・評価できる組織が脆弱であり、欧米のGenQA、CAP、CDCなどの充実した組織を参考に検討を進める必要がある。11. 外部精度管理サーベイを提供し、その結果を評価する組織を設置する候補として、難病の研究や診療の拠点となっているナショナルセンターがある。12. 疾患の種類が非常に多いために、「難病」の外部精度管理についてはCAPサーベイでもそのすべてはカバーできず、「検査」ごとの標準品または汎用性ある方法についての検討が必要である。13. 指定難病の診断基準にある「検査」の妥当性について検討し、令和2年度診療報酬改定では診断基準に必須の52疾患(72項目)が新たに保険収載され、その「検査」実施体制を整備した。14. それぞれの難病班で作成された診断基準において、その「検査」の扱いが保険収載に影響しており、また小児慢性特定疾病の「検査」は制度上保険収載のハードルが高く、これらの課題は厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会などで検討が必要と考えられる。15. 難病「検査」の情報に関するWeb検索システムを構築し、ホームページ上に公開した(http://www.kentaikensa.jp/search/)。今後の方向性として、難病の「検査」の多くの課題を解決できる可能性がある「難病領域の遺伝学的検査体制の整備(案)(医療実装に向けて)」の構想を作成し、その検査の品質要件の設定について検討した。
結論
本年度は、医療機関、衛生検査所、研究における「検査」の詳細な調査を行い、その現状と課題を把握した。「検査」の品質・精度確保について外国の先進例の情報を得るとともに、日本における外部精度管理などの課題を把握した。また、指定難病の診断基準に掲載されている「検査」について検討し、保険収載の「検査」の提供体制を充実させ、その検索サイトなど情報提供のWebサイトを充実させた。今後の方向性として「難病領域の遺伝学的検査体制の整備(案)(医療実装に向けて)」を検討した。研究3年目(最終年度)はさらに実態調査を進め、検査体制の充実とその品質・精度確保の検討を進め、提言をまとめる予定である。

公開日・更新日

公開日
2021-05-27
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2021-05-27
更新日
2021-11-29

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201911073Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
19,500,000円
(2)補助金確定額
18,742,000円
差引額 [(1)-(2)]
758,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 3,037,464円
人件費・謝金 20,076円
旅費 6,451,214円
その他 4,733,960円
間接経費 4,500,000円
合計 18,742,714円

備考

備考
補助金確定額との差額714円は自己負担

公開日・更新日

公開日
2021-06-14
更新日
-