プラダー・ウィリ症候群における診療ガイドラインの作成

文献情報

文献番号
201911066A
報告書区分
総括
研究課題名
プラダー・ウィリ症候群における診療ガイドラインの作成
課題番号
H30-難治等(難)-一般-011
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
緒方 勤(国立大学法人浜松医科大学 小児科)
研究分担者(所属機関)
  • 川井 正信(地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪母子医療センター 研究所)
  • 室谷 浩二(地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター 内分泌代謝科)
  • 堀川 玲子(国立研究開発法人国立成育医療研究センター 内分泌代謝科)
  • 村上 信行(獨協医科大学埼玉医療センター 小児科)
  • 井原 裕(獨協医科大学埼玉医療センター こころの診療科)
  • 高橋 裕(国立大学法人神戸大学大学院医学研究科)
  • 鹿島田 健一(国立大学法人東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
  • 石井 智弘(慶應義塾大学医学部小児科)
  • 鏡 雅代(国立研究開発法人国立成育医療研究センター 分子内分泌研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
プラダー・ウィリ症候群(PWS)は、乳児期早期の筋緊張低下、乳児期以降の過食と高度の肥満傾向およびその結果としての糖・脂質代謝異常、性腺機能低下、成長障害、行動異常など、生涯にわたりQOLの低下を招く難病である。本研究の目的は、「プラダー・ウィリ症候群の診療ガイドライン」を作成することである。これにより、PWS患者・家族のQOL改善に貢献する。さらに、プラダー・ウィリ症候群研究班の申請にあたり、評価委員から対象疾患を広げるようにとの指摘があったことを踏まえて、プラダー・ウィリ症候群の類縁性分化疾患としてTurner症候群、McCune-Albright症候群、Bardet-Biedl症候群、IMAGe症候群を対象疾病として取り組んだ。
研究方法
「プラダー・ウィリ症候群の診療ガイドライン」に必要なクリニカルクエスチョンの設定、システマティックレビューの実施、推奨レベルの検討は、項目を分担して行った。トランジションは、文献検索と、日本内分泌学会移行期委員会委員長ならびに日本小児内分泌学会移行期委員として学会承認の指針作成を行った。難病プラットフォームとの連携については難病プラットフォーム事務局ならびに患者会と話し合いを行った。
結果と考察
(1) プラダー・ウィリ症候群の診療ガイドライン:(1) 診療ガイドラインにおけるスコープの確立(主たる対象は、成長、体組成異常、側彎症、糖尿病、高血圧、睡眠時無呼吸、内分泌異常、行動症状、トランジション、遺伝子診断である)、(2) 重要臨床課題ならびにクリニカルクエスチョンの設定、(3) システマティックレビューの実施、(4) 推奨レベルの検討を行った。そして、成長ホルモン効果と遺伝子診断については、ガイドラインとしてまとめており、日本小児内分泌学会ガイドライン委員会に提出予定である。一方、側弯と行動症状については文献が極めて乏しく、さらなる検討やexpert opinionを組み入れてまとめることとした。
トランジション:日本小児内分泌学会移行期委員会と連携し、プラダー・ウィリ症候群患者の年齢別の特性をまとめ、本症候群におけるトランジションの指針を作成した。
(2) 遺伝子診断:プラダー・ウイリ症候群における遺伝子診断の重要性が文献的にも確認された。
(3) 患者会アンケート:平成30年度に実施したアンケートの結果を患者会と検討し、成長ホルモン治療を受けられていない患者の存在などが確認された。これは、ガイドライン作成において重要な参考となる成果である。
(4) 難病プラットフォームとの連携:難病プラットフォーム事務局との個別面談を受け、プラダー・ウィリ症候群患者会に出席し(去年に続いて2回目)、研究経過を説明した。その結果、難病プラットフォーム参加の同意が得られた。
(5) 性分化疾患のガイドライン作成:添付の資料に示すように、プラダー・ウィリ症候群において遂行中であるクリニカルクエスチョンの作成、文献チェック、診断基準の作成、重症度分類、トランジションの在り方の案などの作成を行った。
結論
「プラダー・ウィリ症候群の診療ガイドライン」作成に向けて、トランジション、鑑別診断、患者会アンケート、難病プラットフォームとの連携に取り組んだ。また、性分化疾患においても同様の検討を行った。

公開日・更新日

公開日
2021-05-27
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2021-05-27
更新日
2021-11-29

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
201911066B
報告書区分
総合
研究課題名
プラダー・ウィリ症候群における診療ガイドラインの作成
課題番号
H30-難治等(難)-一般-011
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
緒方 勤(国立大学法人浜松医科大学 小児科)
研究分担者(所属機関)
  • 川井 正信(地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪母子医療センター 研究所)
  • 室谷 浩二(地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター 内分泌代謝科)
  • 堀川 玲子(国立研究開発法人国立成育医療研究センター 内分泌代謝科)
  • 村上 信行(獨協医科大学埼玉医療センター 小児科)
  • 井原 裕(獨協医科大学埼玉医療センター こころの診療科)
  • 高橋 裕(国立大学法人神戸大学大学院医学研究科)
  • 鹿島田 健一(国立大学法人東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
  • 石井 智弘(慶應義塾大学医学部 小児科)
  • 鏡 雅代(国立研究開発法人国立成育医療研究センター 分子内分泌研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
プラダー・ウィリ症候群(PWS)は、乳児期早期の筋緊張低下、乳児期以降の過食と高度の肥満傾向およびその結果としての糖・脂質代謝異常、性腺機能低下、成長障害、行動異常など、生涯にわたりQOLの低下を招く難病である。本研究の目的は、「プラダー・ウィリ症候群の診療ガイドライン」を「Minds:診療ガイドライン作成の手引き2014」に準拠して作成することである。これにより、PWS患者・家族のQOL改善に貢献する。
さらに、プラダー・ウィリ症候群研究班の申請にあたり、評価委員から対象疾患を広げるようにとの指摘があったことを踏まえて、プラダー・ウィリ症候群の類縁性分化疾患としてTurner症候群、McCune-Albright症候群、Bardet-Biedl症候群、多嚢胞性卵巣症候群、IMAGe症候群を対象疾病として取り組んだ。
研究方法
「プラダー・ウィリ症候群の診療ガイドライン」に必要なクリニカルクエスチョンの設定、システマティックレビューの実施、推奨レベルの検討は、項目を分担して行った。トランジションは、文献検索と、日本内分泌学会移行期委員会委員長ならびに日本小児内分泌学会移行期委員として学会承認の指針作成を行った。難病プラットフォームとの連携:難病プラットフォーム事務局ならびに患者会と話し合いを行った。
結果と考察
プラダー・ウィリ症候群の診療ガイドライン:以下の項目について推奨度・エビデンスレベルを決定した。
<プラダー・ウイリ症候群>プラダー・ウイリ症候群の遺伝学的解析はなされるべきか?遺伝子診断の精度は十分に担保されるか?プラダー・ウイリ症候群の遺伝子診断を実施すべき臨床所見は存在するか?成長ホルモン(GH)治療は有用か?食事療法は体重管理に有効か?運動療法は体重管理に有効か?小児PWS患者においてGH治療は体組成改善に貢献するか?GH治療の早期開始は体組成改善に有効か?GH治療は身長に拘らず行うべきか?GH治療は成人年齢でも行うべきか?成人にも低量投与して体組成を改善することこそPWS児を育てる親の希望につながるのではないか?体組成が改善することのメリットは?GH治療で体組成が改善した。終了後は元に戻ってしまうか?性腺機能低下の原因は何であるか?性別による違いがあるか?性腺機能低下の治療をどうすべきか?男性の場合、女性の場合(a)性ホルモン治療の必要性、有効性、メリット・デメリットについて(b)性ホルモン治療を行わずに性腺機能低下を放置した場合、どうなるのか?性ホルモン治療は思春期における性的行動に影響するか?性別による違いがあるか?問題行動が頻発した場合に治療継続をどうすべきか?PWSは性腺刺激ホルモン以外の下垂体ホルモン分泌低下を伴うか?甲状腺ホルモンの補充は必要か?側湾症発症の原因は何か?側湾症予測可能か?側湾症の治療介入のあり方はどうあるべきか?GH治療は側湾症にどのような影響を与えるか?側弯症の進行を防ぐ目的でのコルセット装着は有効か?コルセット装着のストレスと手術、それぞれの益・害の判断法は?
骨密度は低下しているか?側湾症と骨密度の関連は?行動障害に対して向精神薬(抗精神病薬、抗うつ薬、気分安定薬)は推奨されるか?精神病性障害に対して向精神薬(抗精神病薬、抗うつ薬、気分安定薬)は推奨されるか?癇癪・反復儀式的行動に対して向精神薬(抗精神病薬、抗うつ薬、気分安定薬)は推奨されるか?皮膚ピッキングに対して向精神薬(抗精神病薬、抗うつ薬、気分安定薬)は推奨されるか?
また、トランジションのありかたを日本小児内分泌学会で作成し、日本内分泌学会からも承認を得た。
<ターナー症候群>
GH治療開始の適切な時期はいつか?極低用量エストロゲン治療は推奨されるか?経皮エストロゲン製剤は、経口エストロゲン製剤と比較し推奨されるか?TSにおいて妊孕性保存のために凍結卵子保存は推奨されるか?
<McCune-Albright症候群>
43のClinical Questionを設定し、文献検索を行った。ほぼ全ての項目で十分な解析がなされた。
<IMAGe症候群>
17のClinical Questionを設定し、文献検索を行った。ほぼ全ての項目で十分な解析がなされた。
結論
「プラダー・ウィリ症候群の診療ガイドライン」作成に向けて、トランジション、鑑別診断、患者会アンケート、難病プラットフォームとの連携に取り組んだ。また、性分化疾患においても同様の検討を行った。

公開日・更新日

公開日
2021-05-27
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2021-05-27
更新日
2021-11-29

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201911066C

収支報告書

文献番号
201911066Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
5,200,000円
(2)補助金確定額
5,200,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,338,444円
人件費・謝金 604,336円
旅費 544,154円
その他 515,869円
間接経費 1,200,000円
合計 5,202,803円

備考

備考
自己資金 2803円

公開日・更新日

公開日
2021-05-27
更新日
2021-06-14