筋ジストロフィーの標準的医療普及のための調査研究

文献情報

文献番号
201911060A
報告書区分
総括
研究課題名
筋ジストロフィーの標準的医療普及のための調査研究
課題番号
H30-難治等(難)-一般-005
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
松村 剛(独立行政法人国立病院機構 刀根山病院 神経内科)
研究分担者(所属機関)
  • 青木 正志(東北大学大学院 神経内科)
  • 石垣 景子(東京女子医科大学 小児科)
  • 石崎 雅俊(国立病院機構熊本再春医療センタ 脳神経内科)
  • 尾方 克久(国立病院機構東埼玉病院 臨床研究部)
  • 久留 聡(国立病院機構鈴鹿病院 脳神経内科)
  • 小牧 宏文(国立精神・神経医療研究センター トランスレーショナル・メディカルセンター)
  • 砂田 芳秀(川崎医科大学 神経内科)
  • 高田 博仁(国立病院機構青森病院 脳神経内科)
  • 高橋 正紀(大阪大学大学院 医学系研究科保健学専攻機能診断科学講座)
  • 谷口 雅彦(聖マリア病院 外科)
  • 中島 孝(国立病院機構新潟病院 脳神経内科)
  • 中村 昭則(国立病院機構まつもと医療センター 脳神経内科)
  • 西野 一三(国立精神・神経医療研究センター・神経研究所 疾病研究第一部)
  • 橋本 大哉(国立病院機構名古屋医療センター 臨床研究センター統計解析室)
  • 花山 耕三(川崎医科大学 リハビリテーション科)
  • 松浦 徹(自治医科大学 神経内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
専門医療機関、臨床研究ネットワーク、患者登録、研究班、学会・研究会と連携し、標準的医療と円滑な移行医療を実践するために必要な調査・研究、アウトリーチ活動を行う。
研究方法
①ガイドライン作成支援・連携:「筋強直性ジストロフィー診療ガイドライン」の発刊前調査として、患者・専門医を対象に筋強直性ジストロフィーの実態調査を実施する。デュシェンヌ型筋ジストロフィーで、患者・専門医・遺伝専門医を対象にガイドライン後調査を実施する。
②診断能力向上:肢帯型・先天性・筋強直性ジストロフィーの診断手順を作成する。
③介護者・変異保有者の健康管理改善:介護者健康管理の改善・ジストロフィン変異保有女性の発症リスク解明を目的に介護者健康問題調査を実施する。
④ロボットスーツHALの長期治療成績データ収集:神経変性疾患班(中島班)と協力し、筋疾患・沖縄型筋萎縮症における長期成績評価を行う。
⑤患者登録の効率的運用と活用:患者登録を推進、登録を活用した調査活動を行う。登録システムの効率的運用の工夫を関連班と連携して行い、成人型筋ジストロフィーの登録体制構築を図る。
⑥医療支援・アウトリーチ活動:ホームページ充実・相談窓口開設、関連職種セミナー、市民公開講座、学会・活動等を行う。
結果と考察
①ガイドライン作成支援・連携:
a.筋強直性ジストロフィー専門医対象ガイドライン前アンケート
神経内科・小児神経専門医を対象に実施(有効回答1360件)。運動機能や心臓障害、呼吸不全、嚥下障害に比べ全身合併症への関心は低いこと、即日実施可能な検査・評価の実施頻度は高い一方手間のかかる検査・評価の実施率は低いこと、診療経験や施設により合併症への関心や検査の実施頻度、呼吸器導入の困難さの感じ方に違いがあることなどが分かった。
b.筋強直性ジストロフィー患者対象ガイドライン前アンケート
有効回答342件について解析。9割の患者が疲労を訴え、成人患者の1/3が離職しその半分は病気が原因であった。専門医を受診していない患者も多く、人工呼吸療法を勧められても実施しない患者が多いこと、診断前に不妊治療を受けている者が多いことなどが明らかとなった。
d.デュシェンヌ型筋ジストロフィー専門医対象ガイドライン後アンケート
神経内科・小児神経専門医を対象に実施(有効回答1377件)、2014年のガイドライン前調査と比較検討した。ステロイド治療やリハビリテーション、脊椎変形評価などでガイドラインの推奨する方向への変化が見られた。
e.デュシェンヌ型筋ジストロフィー患者対象ガイドライン後アンケート
登録患者を対象に実施(有効回答358件)、ガイドライン前調査と比較検討した。標準的医療の普及状況に改善が見られた。
f.デュシェンヌ型筋ジストロフィー遺伝専門医対象ガイドライン後アンケート
臨床遺伝専門医を対象に実施(有効回答418件)、ガイドライン前調査と比較検討した。6割の遺伝専門医はガイドラインを参考にしており、キャリアへの対応に変化が見られた。
②病型診断を進めるための手引き作成
「筋ジストロフィーの病型診断を進めるための手引き」を作成。日本神経学会及び日本小児神経学会の承認を得て学会及び研究班ホームページ等で公開した。
③介護者健康問題調査
2017年度に公表した介護者向け検診推奨項目を受検した介護者を対象に健康問題についての調査を実施中。
④ロボットスーツHALの長期治療成績データ収集
プロトコル作成とEDC作成を実施し、倫理申請の上データ収集を開始した。沖縄型については調査を実施中。
⑤患者登録効率的運用と活用
患者登録を推進。2020年2月末時点でジストロフィノパチー1920名、筋強直性ジストロフィー976名、先天性筋疾患56名が登録、調査研究にも活用している。新しい登録システムを用い、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー、眼咽頭型筋ジストロフィーの登録準備を進めた。
⑥医療支援・アウトリーチ活動
研究班ホームページ(mdcst.jp)に医師向けページ(doctors.mdcst.jp)を追加した。2020年3月にはCOVID-19への注意事項を掲載した。市民公開セミナー、関連職種セミナー、リハビリテーションセミナー(ベーシックコース)を実施。コミュニケーション支援をテーマにハンズオンセミナーを実施した。筋ジストロフィーのCNS障害研究会を開催した。臨床機能評価をテーマとしたリハビリテーションセミナー(アドバンスコース)を計画したが、台風19号、COVID-19の影響で中止。
結論
幅広い領域で関係機関と協力した活動を行い、研究成果は学会や論文、Webにて公表しており、地域を単位とした筋ジストロフィーの標準的医療提供体制の構築が促進されることが期待される。

公開日・更新日

公開日
2021-05-27
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201911060Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
17,000,000円
(2)補助金確定額
17,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 5,569,299円
人件費・謝金 1,703,165円
旅費 2,330,988円
その他 5,470,507円
間接経費 2,000,000円
合計 17,073,959円

備考

備考
自己資金 73,957円、利息 2円

公開日・更新日

公開日
2021-05-27
更新日
2021-06-14