文献情報
文献番号
201911059A
報告書区分
総括
研究課題名
ホルモン受容機構異常に関する調査研究
課題番号
H30-難治等(難)-一般-004
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
赤水 尚史(和歌山県立医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
- 山田 正信(群馬大学 大学院医学系研究科)
- 大薗 惠一 (大阪大学 大学院医学系研究科)
- 福本 誠二(徳島大学 先端酵素学研究所)
- 井上 大輔(帝京大学ちば総合医療センター 第三内科)
- 片桐 秀樹(東北大学 大学院医学系研究科)
- 小川 渉(神戸大学 大学院医学研究科)
- 谷澤 幸生(山口大学 大学院医学系研究科)
- 海老原 健(自治医科大学 医学部)
- 三宅 吉博(愛媛大学 大学院医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
8,462,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
ホルモン受容機構異常に起因する 甲状腺クリーゼ、甲状腺ホルモン不応症、ビタミンD抵抗性低リン血症性くる病・骨軟化症、偽性副甲状腺機能低下症とその関連疾患である副甲状腺機能低下症、低カルシウム血症性疾患、インスリン作用障害糖尿病(インスリン抵抗症)、ウォルフラム症候群、脂肪萎縮症、などの疾患は、患者実態について不明な点が多く残されている。そのため、診療指針も未確立である。本研究の目的は、これらの疾患の全国調査を行い、新たな診断基準を策定することであり、その成果を関連団体のホームページ公開や報告会を通じて、国民や非専門医への周知・啓発を目指す。
研究方法
上記の8疾患について、関連学会と連携し、全国疫学調査を実施する。加えて、海外を含む最新の知見をもとにして、疾患の実態を把握した上で、診断基準・治療指針を策定する。本調査研究は、各施設の倫理委員会の承認を経た後に行う。また、ヒトゲノム・遺伝子解析を伴う研究は関係する法令の規定に従い研究を遂行する。
甲状腺クリーゼ診療ガイドラインの有効性評価、および、同疾患の予後に影響を及ぼす要因を解明するため、多施設前向きレジストリ研究を行う。データ管理システムとしてREDCapを利用し、症例登録を実施する。追跡機関は半年、研究期間は2年で500例を目標症例数とする。データ解析の後、診療ガイドラインの改訂を行う。また、甲状腺ホルモン不応症診療ガイドラインを策定に向けて、文献の収集及び解析、その後推奨度判定や文章策定を行って学会承認を得る。その後、甲状腺ホルモン不応症患者レジストリ構築を行い、その後解析を行う。ビタミン抵抗性くる病・骨軟化症、副甲状腺機能低下症、低Ca 血症性疾患については、全国アンケート調査を実施し、診療実態の把握を目指す。解析結果から、診断基準の妥当性など現状の問題点を明らかにし、それぞれのガイドライン策定を目指す。
インスリン抵抗症については、同疾患患者を継続診療している施設から、治療薬の有効性や安全性に関する情報を中心に詳細な臨床情報を収集する。その情報と文献から収集した情報とを併せて分析し、診療ガイドラインを作成する。難病登録されたWolfram症候群患者のデータにより本疾患の実態を再調査すし、診断基準・診療指針をBrush-upする。脂肪萎縮症については、脂肪萎縮症治療薬メトレレプチンの全例調査や難病助成の登録制度と連携し、レジストリを立ち上げ、データ収集を行う。更に、診療ガイドライン、診断基準の策定を進める。
甲状腺クリーゼ診療ガイドラインの有効性評価、および、同疾患の予後に影響を及ぼす要因を解明するため、多施設前向きレジストリ研究を行う。データ管理システムとしてREDCapを利用し、症例登録を実施する。追跡機関は半年、研究期間は2年で500例を目標症例数とする。データ解析の後、診療ガイドラインの改訂を行う。また、甲状腺ホルモン不応症診療ガイドラインを策定に向けて、文献の収集及び解析、その後推奨度判定や文章策定を行って学会承認を得る。その後、甲状腺ホルモン不応症患者レジストリ構築を行い、その後解析を行う。ビタミン抵抗性くる病・骨軟化症、副甲状腺機能低下症、低Ca 血症性疾患については、全国アンケート調査を実施し、診療実態の把握を目指す。解析結果から、診断基準の妥当性など現状の問題点を明らかにし、それぞれのガイドライン策定を目指す。
インスリン抵抗症については、同疾患患者を継続診療している施設から、治療薬の有効性や安全性に関する情報を中心に詳細な臨床情報を収集する。その情報と文献から収集した情報とを併せて分析し、診療ガイドラインを作成する。難病登録されたWolfram症候群患者のデータにより本疾患の実態を再調査すし、診断基準・診療指針をBrush-upする。脂肪萎縮症については、脂肪萎縮症治療薬メトレレプチンの全例調査や難病助成の登録制度と連携し、レジストリを立ち上げ、データ収集を行う。更に、診療ガイドライン、診断基準の策定を進める。
結果と考察
甲状腺クリーゼ
前向きコホート試験開始し、令和元年年度末の時点で、甲状腺クリーゼ患者54名の情報が登録されている。
甲状腺ホルモン不応症
甲状腺ホルモン不応症の治療ガイドラインの策定に向け、推奨文原案策定が終了した。
ビタミン抵抗性くる病・骨軟化症、副甲状腺機能低下症、低Ca 血症性疾患
全国アンケート調査の結果から、推定患者数は副甲状腺機能低下症2,304名(95%信頼区間1,189名~3,419名)、偽性副甲状腺機能低下症1,484名(1,143名~1,825名)と推計された。二次調査から、特発生副甲状腺機能低下症の平均発症年齢は37.9歳であることがわかった。
インスリン抵抗症
B型インスリン抵抗症の実態調査から、この疾患は、低血糖の合併や自己免疫疾患の併存が高いこと、性差を認めないこと、地域の偏在を認めないこと、60歳代に発症年齢のピークがあることなど、診断基準の改定につながる基盤となるデータが蓄積された。また、インスリン抵抗症を疑うカットオフ値は、空腹時インスリン値30μl/mlであることが判った。
Wolfram症候群
Wolfram症候群の診断基準を満たすが、糖尿病と視神経萎縮の他に、免疫不全、低身長等の非典型徴候を合併する症例を解析し、WFS1以外の遺伝子異常(NBAS遺伝子変異)を同定した。
脂肪萎縮症
全身性脂肪萎縮症小児症例におけるレプチン治療の長期効果を解析した。原因不明の部分性脂肪萎縮症を対象に遺伝子変異検索を実施し、新しい遺伝子変異を見出した。
前向きコホート試験開始し、令和元年年度末の時点で、甲状腺クリーゼ患者54名の情報が登録されている。
甲状腺ホルモン不応症
甲状腺ホルモン不応症の治療ガイドラインの策定に向け、推奨文原案策定が終了した。
ビタミン抵抗性くる病・骨軟化症、副甲状腺機能低下症、低Ca 血症性疾患
全国アンケート調査の結果から、推定患者数は副甲状腺機能低下症2,304名(95%信頼区間1,189名~3,419名)、偽性副甲状腺機能低下症1,484名(1,143名~1,825名)と推計された。二次調査から、特発生副甲状腺機能低下症の平均発症年齢は37.9歳であることがわかった。
インスリン抵抗症
B型インスリン抵抗症の実態調査から、この疾患は、低血糖の合併や自己免疫疾患の併存が高いこと、性差を認めないこと、地域の偏在を認めないこと、60歳代に発症年齢のピークがあることなど、診断基準の改定につながる基盤となるデータが蓄積された。また、インスリン抵抗症を疑うカットオフ値は、空腹時インスリン値30μl/mlであることが判った。
Wolfram症候群
Wolfram症候群の診断基準を満たすが、糖尿病と視神経萎縮の他に、免疫不全、低身長等の非典型徴候を合併する症例を解析し、WFS1以外の遺伝子異常(NBAS遺伝子変異)を同定した。
脂肪萎縮症
全身性脂肪萎縮症小児症例におけるレプチン治療の長期効果を解析した。原因不明の部分性脂肪萎縮症を対象に遺伝子変異検索を実施し、新しい遺伝子変異を見出した。
結論
甲状腺部会、副甲状腺部会、糖尿病部会の3部会が、疾患の病態を解明および疾患の診断基準や治療指針の策定を目指している諸疾患について、関連学会と連携して実態把握、診断基準・重症度分類・治療指針を作成が着実に進行している。また、これまでに策定した診断基準・治療指針に基づいて、甲状腺クリーゼの他施設前向きレジストリ研究を継続している。
公開日・更新日
公開日
2021-05-27
更新日
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