文献情報
文献番号
201911050A
報告書区分
総括
研究課題名
先天性および若年性の視覚聴覚二重障害に対する一体的診療体制に関する研究
課題番号
H29-難治等(難)-一般-056
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
松永 達雄(独立行政法人国立病院機構東京医療センター 臨床研究センター 聴覚・平衡感覚研究部)
研究分担者(所属機関)
- 角田 和繁(独立行政法人国立病院機構東京医療センター 臨床研究センター 視覚研究部)
- 藤波 芳(独立行政法人 国立病院機構 東京医療センター 臨床研究センター 視覚研究部 視覚生理学研究室)
- 加我 君孝(独立行政法人国立病院機構東京医療センター 臨床研究センター)
- 和佐野 浩一郎(国立病院機構 東京医療センター 臨床研究センター 聴覚・平衡覚研究部)
- 山澤 一樹(独立行政法人国立病院機構東京医療センター 臨床遺伝センタ ー/小児科)
- 榎本 千江子(国立病院機構 東京医療センター 臨床研究センター)
- 前田 晃秀(独立行政法人国立病院機構東京医療センター・臨床研究センター 聴覚・平衡覚研究部)
- 廣田 栄子(国立大学法人 筑波大学 人間系)
- 守本 倫子(国立研究開発法人成育医療研究センター 感覚器・形態外科部 耳鼻咽喉科)
- 仁科 幸子(蓮江 幸子)(国立成育医療研究センター 感覚器・形態外科部眼科 視覚科学研究室)
- 久保田 雅也(国立研究開発法人国立成育医療研究センター 神経内科)
- 仲野 敦子(千葉県こども病院 医療局 診療部)
- 有本 友季子(千葉県こども病院 医療局診療部 耳鼻咽喉科)
- 齋藤 麻美子(千葉県こども病院 医療局診療部 眼科)
- 高木 明(静岡県立総合病院)
- 後藤 美和子(福岡市立こども病院 眼科)
- 土橋 奈々(九州大学病院 耳鼻咽喉・頭頸部外科)
- 高野 賢一(札幌医科大学 医学部 耳鼻咽喉科学講座)
- 森 秀夫(大阪市立総合医療センター 眼科)
- 星 祐子(独立行政法人国立特別支援教育総合研究所 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
9,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究の対象は、先天性および若年性(40歳未満で発症)の視覚聴覚二重障害(盲ろう)の原因となる難病である。本難病では、コミュニケーション、情報の入手、移動が極めて困難となる。本難病患者に対する早期診断、早期介入で、教育と社会参加を促進する必要性は高い。我々はこれまで本障害の疫学研究、臨床診断と病態解明を進めてきた。本研究では、本難病を一体的に診療する体制の構築を目的とする。
研究方法
a.患者の実態調査
全国50機関を対象施設として調査票を発送した。参加各施設における査結果を収集した。
b.教育、福祉、生活の実態把握
研究分担者の廣田栄子、星祐子、前田晃秀と研究協力者の高橋信行が、患者の福祉・教育・生活の全国調査を行った。
c.診療マニュアル策定
第IV章疾患と診療を作成し、本研究班Webサイトから公開した。
d.医療情報公開
本難病の医療情報Webサイトに、アンケート調査結果、診療マニュアルの追加などにより内容を拡張した。
e.データベースへの協力
臨床ゲノム情報統合データベース、難病プラットフォームで視覚聴覚二重障害の難病レジストリへ、個人情報、臨床情報、ゲノム情報を登録した。
f.一体的診療体制のモデル確立と検証
東京医療センター、各拠点施設で耳鼻咽喉科、眼科・神経科の医師の参加を得て、一体的診療を開始し患者の診療内容の検証を進めた。
g.患者会・学会等との連携
東京医療センターを中心とした医療機関、患者会、患者支援団体、教育機関、学会および他の研究班と連携を進めた。
h.遺伝子検査体制構築
本研究対象の主たる難病の遺伝子検査を衛生検査所で実施できる体制を整備し、保健所に届けを出して、検査を開始した。
i.公開講座実施
大阪市で市民公開講座を開催した。
j.国際研究体制構築
原因遺伝子の変異について国際判定ルールを共同で策定した。
全国50機関を対象施設として調査票を発送した。参加各施設における査結果を収集した。
b.教育、福祉、生活の実態把握
研究分担者の廣田栄子、星祐子、前田晃秀と研究協力者の高橋信行が、患者の福祉・教育・生活の全国調査を行った。
c.診療マニュアル策定
第IV章疾患と診療を作成し、本研究班Webサイトから公開した。
d.医療情報公開
本難病の医療情報Webサイトに、アンケート調査結果、診療マニュアルの追加などにより内容を拡張した。
e.データベースへの協力
臨床ゲノム情報統合データベース、難病プラットフォームで視覚聴覚二重障害の難病レジストリへ、個人情報、臨床情報、ゲノム情報を登録した。
f.一体的診療体制のモデル確立と検証
東京医療センター、各拠点施設で耳鼻咽喉科、眼科・神経科の医師の参加を得て、一体的診療を開始し患者の診療内容の検証を進めた。
g.患者会・学会等との連携
東京医療センターを中心とした医療機関、患者会、患者支援団体、教育機関、学会および他の研究班と連携を進めた。
h.遺伝子検査体制構築
本研究対象の主たる難病の遺伝子検査を衛生検査所で実施できる体制を整備し、保健所に届けを出して、検査を開始した。
i.公開講座実施
大阪市で市民公開講座を開催した。
j.国際研究体制構築
原因遺伝子の変異について国際判定ルールを共同で策定した。
結果と考察
a.患者の実態調査
視覚障害、聴覚障害ともに大部分の症例の発症年齢が先天性、就学前、小学生と小児期で有り、新生児から学童期にかけての社会的、福祉的、医療的なサポートの拡充が重要であることがあると考えられた。
視覚聴覚二重障害の原因となる疾患は多岐にわたる難病・希少疾患であることが明らかとなるとともに、多系統に渡る様々な合併症を持つことが明らかとなり、一体的医療体制の拡充の重要性が改めて浮き彫りになる結果であった。
b.教育、福祉、生活の実態把握
教育、福祉、患者の立場からの実態を把握できたことで、今後の対策を立てることが可能となった。
c.診療マニュアル策定
診療マニュアルの作成、公開によって、標準的治療の普及が可能となった。これにより早期診断・治療が進み、患者のQOLと社会参加の向上にもつながると考えられる。
d.医療情報公開
本難病に対する医療情報の公開により本医療の普及が促進されたことで、患者のQOL向上が期待される。
e.データベースへの協力
臨床ゲノム情報統合データベースおよび難病プラットフォームへの登録が進み、今後これらのデータベース情報の検討によって、科学的根拠に基づいた診療ガイドライン等の作成、更新が可能となる。
f.一体的診療体制のモデル確立と検証
拠点医療施設において実際の診療に即した視覚聴覚二重障害に対する一体的な医療体制が確立したことで、全国的な普及の第一歩が実現した。
g.患者会・学会等との連携
関連する学会との連携により、本難病の診療に関わる医師への情報公開が効果的に行うことができたこと、そして視覚聴覚二重障害の患者に対する医療情報の窓口とインターネット上のポータルサイトを設けたことで、診療へのアクセスと、地域における拠点医療施設、一般医療施設、教育施設、福祉施設などの連携が促進すると考えられる。
h.遺伝子検査体制構築
遺伝学的検査体制を実装できたことにより、未診断症例の減少と早期診断が可能となると考えられる。保健検査としての運用も可能となっており、多くの患者の診療に広く活用できる。
i.公開講座実施
このような市民に対する啓蒙を進めていくことで、患者団体・教育・医療機関・一般市民の相互理解・連携を深めることができると期待された。
j.国際研究体制構築
共同研究作業の中で本難病の医療に関する情報交換、意見交換によって、本難病に対する先進的医療を導入できた。
視覚障害、聴覚障害ともに大部分の症例の発症年齢が先天性、就学前、小学生と小児期で有り、新生児から学童期にかけての社会的、福祉的、医療的なサポートの拡充が重要であることがあると考えられた。
視覚聴覚二重障害の原因となる疾患は多岐にわたる難病・希少疾患であることが明らかとなるとともに、多系統に渡る様々な合併症を持つことが明らかとなり、一体的医療体制の拡充の重要性が改めて浮き彫りになる結果であった。
b.教育、福祉、生活の実態把握
教育、福祉、患者の立場からの実態を把握できたことで、今後の対策を立てることが可能となった。
c.診療マニュアル策定
診療マニュアルの作成、公開によって、標準的治療の普及が可能となった。これにより早期診断・治療が進み、患者のQOLと社会参加の向上にもつながると考えられる。
d.医療情報公開
本難病に対する医療情報の公開により本医療の普及が促進されたことで、患者のQOL向上が期待される。
e.データベースへの協力
臨床ゲノム情報統合データベースおよび難病プラットフォームへの登録が進み、今後これらのデータベース情報の検討によって、科学的根拠に基づいた診療ガイドライン等の作成、更新が可能となる。
f.一体的診療体制のモデル確立と検証
拠点医療施設において実際の診療に即した視覚聴覚二重障害に対する一体的な医療体制が確立したことで、全国的な普及の第一歩が実現した。
g.患者会・学会等との連携
関連する学会との連携により、本難病の診療に関わる医師への情報公開が効果的に行うことができたこと、そして視覚聴覚二重障害の患者に対する医療情報の窓口とインターネット上のポータルサイトを設けたことで、診療へのアクセスと、地域における拠点医療施設、一般医療施設、教育施設、福祉施設などの連携が促進すると考えられる。
h.遺伝子検査体制構築
遺伝学的検査体制を実装できたことにより、未診断症例の減少と早期診断が可能となると考えられる。保健検査としての運用も可能となっており、多くの患者の診療に広く活用できる。
i.公開講座実施
このような市民に対する啓蒙を進めていくことで、患者団体・教育・医療機関・一般市民の相互理解・連携を深めることができると期待された。
j.国際研究体制構築
共同研究作業の中で本難病の医療に関する情報交換、意見交換によって、本難病に対する先進的医療を導入できた。
結論
本難病を一体的に診療する体制の構築を目的として、患者の実態把握、診療マニュアル策定、一体的診療モデルの確立、関連団体との連携、遺伝子診断の導入、情報の普及、国際的研究展開を実施した。その結果、適正な診療体制の配置、標準的な医療の確立と普及、一体的診療の有効性と課題の解明、初期診療の道筋、早期診断、先進的医療の導入の成果を得た。
公開日・更新日
公開日
2021-05-27
更新日
2021-07-01