網膜脈絡膜・視神経萎縮症に関する調査研究

文献情報

文献番号
201911040A
報告書区分
総括
研究課題名
網膜脈絡膜・視神経萎縮症に関する調査研究
課題番号
H29-難治等(難)-一般-047
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
山下 英俊(山形大学 医学部眼科)
研究分担者(所属機関)
  • 東 範行(国立成育医療研究センター・ 眼科・視覚科学研究室)
  • 飯田 知弘(東京女子医科大学・ 医学部)
  • 大野 京子(東京医科歯科大学・ 大学院医歯学総合研究科)
  • 小椋 祐一郎(名古屋市立大学・ 大学院医学研究科)
  • 近藤 峰生(三重大学・ 医学系研究科)
  • 坂本 泰二(鹿児島大学・学術研究院医歯学域医学部系)
  • 園田 康平(九州大学・ 大学院医学研究院)
  • 高橋 寛二(関西医科大学・ 医学部)
  • 高橋 政代(理化学研究所・ 生命機能科学研究センター)
  • 辻川 明孝(京都大学・ 医学研究科)
  • 寺崎 浩子(名古屋大学・ 大学院医学系研究科)
  • 村上 晶(順天堂大学・ 医学部)
  • 森實 祐基(岡山大学・ 大学院医歯薬学総合研究科)
  • 山本 修一(千葉大学・ 大学院医学研究院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
6,486,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
希少難治性眼疾患の診断基準や診療ガイドラインの策定、診断基準に基づく疫学調査による現状の把握を行う。また、難治性眼疾患の多くは視覚身体障害の原因疾患と関連があるため、視覚身体障害の認定状況の全国調査を行い、難治性眼疾患患者に対する福祉行政の現状を把握する。
研究方法
研究分担者を、疾病や疫学調査の対象によって8の担当グループに分け、各グループにおいて、診療ガイドラインの策定や患者数調査、自治体へのアンケート調査を行った。診療ガイドラインの草案は、他のグループに属する研究分担者や、各疾患を研究対象とする専門学会による評価を受けた。
(倫理面への配慮)
診断基準策定と個人情報の特定されないアンケート調査であるので、倫理的問題は生じない。
結果と考察
網膜色素変性症の患者レジストリは順調に登録が進んでおり、令和元年12月時点で1765例の患者登録が済んでいる。今後は難病プラットホームとの合流の方向で準備を進める。また、遺伝子検査に関してはがんゲノムで実施されている「遺伝子パネル検査」と同様の方法で、2年後の保険収載を目指す。家族性滲出性硝子体網膜症は、患者数全国調査を行い、ほぼ全数に近い95%の回答を得た。患者数1303人、そのうち視力不良は21.4%であり、指定難病認定の議論に資するデータと考えられた。黄斑ジストロフィ、急性帯状潜在性網膜外層症は診療ガイドラインを作成し(日本網膜硝子体学会・日本眼科学会承認済)、患者数全国調査を行っているところである。全国視覚身体障害原因認定状況調査は、平成26年-28年の調査結果を論文化したのに引き続き、都道府県別に解析したものを論文化する予定である。平成30年に改変された視覚障害認定基準に基づいた全国調査を行っているところである。強度近視性脈絡膜萎縮は、日本近視学会にて診療ガイドラインの承認を得た。指定難病としての要件を満たすか全国調査を行い、通常の近視と区別した疾患群として確立できるかを目標としていく。特発性傍中心窩毛細血管拡張症は、黄斑部毛細血管拡張症2型(type2)のガイドライン(案)を作成した。萎縮型加齢黄斑変性は、患者数の明確化と重症度別の頻度の調査を継続して行う。
 診療ガイドラインの策定によって、施設間による診断のばらつきが小さくなり、患者の見落としが減るなど、医療の標準化が進み、医療の質が向上することが期待される。また、有病率調査や視覚身体障害認定状況の全国調査の結果は有効な医療福祉資源配分につながるといえる。
結論
本研究で策定した診療ガイドラインおよび疫学データは日本眼科学会を通じて広く全国の眼科医に周知される。それにより難治性眼疾患に対する診療の標準化が進むことが期待される。また、わが国の希少難治性眼疾患に対する理解、疾病予防の啓発が進むことが期待される。

公開日・更新日

公開日
2021-05-27
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2021-05-27
更新日
2021-11-29

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
201911040B
報告書区分
総合
研究課題名
網膜脈絡膜・視神経萎縮症に関する調査研究
課題番号
H29-難治等(難)-一般-047
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
山下 英俊(山形大学 医学部眼科)
研究分担者(所属機関)
  • 東 範行(国立成育医療研究センター・ 眼科・視覚科学研究室)
  • 飯田 知弘(東京女子医科大学・ 医学部)
  • 大野 京子(東京医科歯科大学・ 大学院医歯学総合研究科)
  • 小椋 祐一郎(名古屋市立大学・ 大学院医学研究科)
  • 近藤 峰生(三重大学・ 医学系研究科)
  • 坂本 泰二(鹿児島大学・学術研究院医歯学域医学部系)
  • 園田 康平(九州大学・ 大学院医学研究院)
  • 高橋 寛二(関西医科大学・ 医学部)
  • 高橋 政代(理化学研究所・ 生命機能科学研究センター)
  • 辻川 明孝(京都大学・ 医学研究科)
  • 寺崎 浩子(名古屋大学・ 大学院医学系研究科)
  • 村上 晶(順天堂大学・ 医学部)
  • 森實 祐基(岡山大学・ 大学院医歯薬学総合研究科)
  • 山本 修一(千葉大学・ 大学院医学研究院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
希少難治性眼疾患の診断基準や診療ガイドラインの策定、診断基準に基づく疫学調査による現状の把握を行う。また、難治性眼疾患の多くは視覚身体障害の原因疾患と関連があるため、視覚身体障害の認定状況の全国調査を行い、難治性眼疾患患者に対する福祉行政の現状を把握する。
研究方法
研究分担者を、疾病や疫学調査の対象によって8の担当グループに分け、各グループにおいて、診療ガイドラインの策定や患者数調査、自治体へのアンケート調査を行った。診療ガイドラインの草案は、他のグループに属する研究分担者や、各疾患を研究対象とする専門学会による評価を受けた。
(倫理面への配慮)
診断基準策定と個人情報の特定されないアンケート調査であるので、倫理的問題は生じない。
結果と考察
(1) 萎縮型加齢黄班変性
推定患者数から難しいと考えられるため、指定難病の申請は目指さない方向とする。現在まで分析できた萎縮型加齢黄班変性の日本人データを論文化する。網膜脈絡膜・視神経萎縮症に関する調査研究班としての研究は継続していく。

(2)網膜色素変性症
患者レジストリは順調に登録が進んでおり、令和元年12月時点で1765例の患者登録が済んでいる。今後は難病プラットホームとの合流の方向で準備を進める。また、遺伝子検査に関してはがんゲノムで実施されている「遺伝子パネル検査」と同様の方法で、2年後の保険収載を目指す。

(3)黄斑ジストロフィ
診療ガイドラインを作成し(日本網膜硝子体学会・日本眼科学会承認済)、患者数全国調査を開始した。

(4)強度近視性脈絡膜萎縮
日本近視学会にて診療ガイドライン(Kyoko Ohno-Matsui, et al.International Photographic Classification and Grading System for Myopic Maculopathy. Am J Ophthalmol.2015,877-883.)の承認を得た。指定難病としての要件を満たすか全国調査を行い、通常の近視と区別した疾患群として確立できるかを目標としていく。

(5)家族性滲出性硝子体網膜症
診療ガイドラインをもとに、患者数全国調査を行い、ほぼ全数に近い95%の回答を得た。患者数1303人、そのうち視力不良は21.4%であり、指定難病認定の議論に資するデータと考えられた。

(6)特発性傍中心窩毛細血管拡張症
黄斑部毛細血管拡張症2型(type2)のガイドライン(案)を作成した。名称については議論の上、「特発性」を除き「黄斑部毛細血管拡張症2型:Macular telangiectasia;MacTel」を軸にして世界の動向をみながら決定し作成する。画像に関しては、疾患症例数が少ないため、特に網膜下新生血管の画像提供を班員に呼びかけ典型例を示したガイドラインを作成する。

(7)急性帯状潜在性網膜外層症
診療ガイドラインを作成し(日本網膜硝子体学会・日本眼科学会承認済)、患者数全国調査を開始した。

(8) 網膜色素線条症
すでに皮膚科を中心に弾力線維性仮性黄色腫として指定難病に指定済みとなっているため、1年目の時点で、本研究班として眼科のみの診療ガイドラインの作成は行わないことになった。

(9)全国視覚身体障害原因認定状況調査
平成26年-28年の調査結果を論文化したのに引き続き、都道府県別に解析したものを論文化する予定である。平成30年に改変された視覚障害認定基準に基づいた全国調査を行っている。

診療ガイドラインの策定によって、施設間による診断のばらつきが小さくなり、患者の見落としが減るなど、医療の標準化が進み、医療の質が向上することが期待される。また、有病率調査や視覚身体障害認定状況の全国調査の結果は有効な医療福祉資源配分につながるといえる。
結論
本研究で策定した診療ガイドラインおよび疫学データは日本眼科学会を通じて広く全国の眼科医に周知される。それにより難治性眼疾患に対する診療の標準化が進むことが期待される。また、わが国の希少難治性眼疾患に対する理解、疾病予防の啓発が進むことが期待される。

公開日・更新日

公開日
2021-05-27
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2021-05-27
更新日
2021-11-15

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201911040C

収支報告書

文献番号
201911040Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
8,431,000円
(2)補助金確定額
8,431,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 4,861,769円
人件費・謝金 0円
旅費 325,568円
その他 1,300,210円
間接経費 1,945,000円
合計 8,432,547円

備考

備考
自己負担金:1547円

公開日・更新日

公開日
2021-05-27
更新日
2021-06-14