自己炎症性疾患とその類縁疾患の全国診療体制整備、重症度分類、診療ガイドライン確立に関する研究

文献情報

文献番号
201911013A
報告書区分
総括
研究課題名
自己炎症性疾患とその類縁疾患の全国診療体制整備、重症度分類、診療ガイドライン確立に関する研究
課題番号
H29-難治等(難)-一般-020
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
西小森 隆太(久留米大学医学部小児科)
研究分担者(所属機関)
  • 平家 俊男(京都大学医学研究科)
  • 八角 高裕(京都大学医学研究科)
  • 高田 英俊(筑波大学医学医療系)
  • 伊藤 秀一(横浜市立大学大学院医学研究科)
  • 大西 秀典(岐阜大学医学部附属病院新生児集中治療部)
  • 井田 弘明(久留米大学医学部)
  • 神戸 直智(関西医科大学医学部)
  • 金澤 伸雄(和歌山県立医科大学医学部)
  • 重村 倫成(信州大学医学部附属病院)
  • 谷内江 昭宏(金沢大学附属病院)
  • 森尾 友宏(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科)
  • 河合 利尚(国立成育医療研究センター生体防御系内科部免疫科学)
  • 武井 修治(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科)
  • 右田 清志(福島県立医科大学医学部)
  • 宮前多佳子(東京女子医科大学膠原病リウマチ痛風センター)
  • 金兼 弘和(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 小児地域成育医療学講座)
  • 野々山 恵章(防衛医科大学小児科学講座)
  • 今井 耕輔(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科)
  • 山田 雅文(北海道大学医学研究院)
  • 笹原 洋二(東北大学大学院医学系研究科)
  • 土居 岳彦(広島大学病院)
  • 盛一 享徳(国立成育医療研究センター 小児慢性特定疾患情報室)
  • 小原 收(公益財団法人かずさDNA研究所 ゲノム事業推進部)
  • 石村 匡崇(九州大学小児科 )
  • 井澤 和司(京都大学医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
自己炎症性疾患は、自然免疫関連遺伝子異常を主たる原因とし、全身炎症や多臓器障害を呈する稀少疾患群である。H26-28年度“自己炎症性疾患とその類縁疾患の診断基準、重症度分類、診療ガイドライン確立に関する研究”班の事業において、自己炎症性疾患診療体制整備、診療ガイドライン作成を行った。同期間内において抗IL-1療法などの新規治療法が保険承認され、今後その長期的な有効性と安全性の再評価が必要となっている。また自己炎症性疾患の新規責任遺伝子が複数同定された。本邦でもその患者が確認され、既存治療に抵抗性で標準的な治療法が確立しておらず生活の質は著しく低下している。さらに自己炎症性疾患の診断には高度な遺伝子解析と専門家診断が必要であるが、対応可能な施設は限られており、地域による偏在が問題となっている。
本研究では前研究班で構築した体制を活用して、残存する問題点に対応し、国民に対する質の高い医療の提供することを目的とする。
研究方法
本研究では1)自己炎症性疾患の診療体制改善、2)新規・既知疾患を含めた患者登録システムの推進、3)診療ガイドライン/フローチャートの新規作成・改定、を行う。
結果と考察
1)自己炎症性疾患の診療体制改善
自己炎症性疾患において重要な位置を占める遺伝子検査体制を確立させ、研究班施設のみならず、より多くの一般病院においても、保険診療による遺伝子検査が行えるようになった。
日本免疫不全・自己炎症学会(JSIAD)と連携して、各病院から保険で行った遺伝子解析の結果報告書において、専門グループ(PIDJ委員)による遺伝子変異の結果解釈を記載する体制を構築した。
前年度に引き続き、JSIADと連携して、ホームページにおいて、医師からの患者相談窓口を開設している。多くの医師からの相談に対してPIDJ委員が中心となって診療のアドバイスを行い、遺伝子変異の解釈に関する質問に対しても回答を行った。専門医の診療が望ましい際には、分担施設を中心に最適な医療機関の紹介を行った。遺伝子解析の精度管理では難波班と連携、遺伝子変異情報の蓄積は小崎班と連携をおこなった。2019年3月国際自己炎症性疾患学会の遺伝子診断ガイドライン作成委員会に参加し作成したガイドラインを、本邦の実情にあわせて改訂するため委員会を立ち上げ、検討を開始した。
2)患者登録システム
難病プラットフォーム事業が開始となった。安全性が高く、長期フォローも可能であるため、本研究班の患者登録も難病プラットフォームへの移行を目指している。これまでの患者登録データも生かすため、患者からの再同意を所得予定である。本登録はJSIADとも連携している。難病プラットフォームを用いた患者登録の研究実施計画書が完成し、東京医科歯科大学における中央倫理審査が完了した(研究課題名:原発性免疫不全症・自己炎症性疾患・早期発症型炎症性腸疾患の遺伝子解析と患者レジストリの構築)。それぞれの施設あるいは中央委託による倫理審査が進んでいる。登録項目も決定した。
患者調査においては、Blau症候群の約50人のデータがまとまり現在論文投稿中である。クリオピリン関連周期熱症候群についても調査が進行中である。CRMOの調査については、倫理申請が終わり調査開始予定となっている。
3)診療ガイドライン/フローチャート
STING異常症、SLC29A3異常症とCOPA異常症、インターロイキンⅠ受容体拮抗分子欠損症、WDR1欠損症, TRNT1欠損症、Majeed症候群、フォスフォリパーゼCγ2関連抗体欠損免疫異常症、ケルビズムの診療フローチャート案を作成した(添付)。また、FMF改訂案を作成した。令和2年2月の班会議で確認が行われ、現在、関連学会における承認依頼準備中である。その後にWEBに公開予定である。
また、WEBの自己炎症性サイトにおいて疾患説明、診療体制の紹介、頻度が高い質問へのQ&Aを掲載することができた。これにより疾患の啓発が進むとともに、最新の情報を患者に届けることができる。
結論
1)自己炎症性疾患の診療体制改善、2)新規・既知疾患を含めた患者登録システムの推進、3)診療ガイドライン/フローチャートに関して、令和元年度もほぼ予定通りに行われた。

公開日・更新日

公開日
2021-07-01
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2021-07-01
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
201911013B
報告書区分
総合
研究課題名
自己炎症性疾患とその類縁疾患の全国診療体制整備、重症度分類、診療ガイドライン確立に関する研究
課題番号
H29-難治等(難)-一般-020
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
西小森 隆太(久留米大学医学部小児科)
研究分担者(所属機関)
  • 平家 俊男(京都大学医学研究科)
  • 八角 高裕(京都大学医学研究科)
  • 高田 英俊(筑波大学医学医療系)
  • 伊藤 秀一(横浜市立大学大学院医学研究科)
  • 大西 秀典(岐阜大学医学部附属病院新生児集中治療部)
  • 井田 弘明(久留米大学医学部)
  • 神戸 直智(関西医科大学医学部)
  • 金澤 伸雄(和歌山県立医科大学医学部)
  • 重村 倫成(信州大学医学部附属病院)
  • 谷内江 昭宏(金沢大学附属病院)
  • 森尾 友宏(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科)
  • 河合 利尚(国立成育医療研究センター生体防御系内科部免疫科学)
  • 武井 修治(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科)
  • 右田 清志(福島県立医科大学医学部)
  • 宮前多佳子(東京女子医科大学膠原病リウマチ痛風センター)
  • 金兼 弘和(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 小児地域成育医療学講座)
  • 野々山 恵章(防衛医科大学小児科学講座)
  • 今井 耕輔(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科)
  • 山田 雅文(北海道大学医学研究院)
  • 笹原 洋二(東北大学大学院医学系研究科)
  • 土居 岳彦(広島大学病院)
  • 盛一 享徳(国立成育医療研究センター小児慢性特定疾患情報室)
  • 小原 收(公益財団法人かずさDNA研究所ゲノム事業推進部)
  • 石村 匡崇(九州大学小児科 )
  • 井澤 和司(京都大学医学研究科)
  • 上松 一永(信州大学医学研究科)
  • 小林 正夫(国立大学法人広島大学大学院医歯薬保健学研究科)
  • 森 臨太郎(国立研究開発法人国立成育医療研究センター政策科学研究部)
  • 有賀 正(北海道大学大学院医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
自己炎症性疾患は、自然免疫関連遺伝子異常を主たる原因とし、全身炎症や多臓器障害を呈する稀少疾患群である。H26-28年度“自己炎症性疾患とその類縁疾患の診断基準、重症度分類、診療ガイドライン確立に関する研究”班の事業により、自己炎症性疾患診療体制整備、診療ガイドライン作成などを行った。この期間内において抗IL-1製剤などの新規治療法が保険承認され、今後その長期的な有効性と安全性の再評価が必要となっている。また自己炎症性疾患の新規責任遺伝子が確認され、既存治療に抵抗性で標準的な治療法が確立しておらず生活の質は著しく低下している。さらに自己炎症性疾患の診断には高度な遺伝子解析と専門家診断が必要であるが、対応可能な施設は限られており、地域による偏在が問題となっている。本研究においてはこれらの問題を解決することを目的とする。
研究方法
本研究では1)自己炎症性疾患の診療体制改善、2)新規・既知疾患を含めた患者登録システムの推進、3)診療ガイドライン/フローチャートの新規作成・改定、を行う。
結果と考察
1)自己炎症性疾患の診療体制改善
保険による遺伝子検査体制を確立し、実際の運用を行った。また、日本免疫不全・自己炎症学会と連携し、専門グループにより遺伝子変異の結果解釈を記載する体制を構築した。同時に同学会ホームページ内において症例相談サイトを立ち上げ、多くの症例相談に対する助言を行った。専門医の診療が望ましい際には、分担施設を中心に最適な医療機関の紹介を行った。これによって広く自己炎症性疾患の相談を受け付け、適切な助言を行い医療水準の向上に貢献した。遺伝子解析の精度管理では難波班と連携、遺伝子変異情報の蓄積は小崎班と連携をおこなった。2019年3月に行われた国際自己炎症性疾患学会の遺伝子診断ガイドライン作成委員会に参加、同委員会で作成したガイドラインを、本邦の実情にあわせて改訂するため委員会を立ち上げ、検討を開始した。
2)患者登録システム
患者登録においては、難病プラットフォームとの連携を開始した。東京医科歯科大学における中央倫理審査が終了し、それぞれの施設あるいは中央委託による倫理審査が進んでいる。全国から集約したBlau症候群の臨床症状や治療反応性を詳細に検討し、現在論文投稿中である。また、クリオピリン関連周期熱症候群においても同様の集積を行い、本邦において約90人の患者が確認され、現在患者情報を収集中である。
3)診療ガイドライン/フローチャートの作成、改訂
多数の新規自己炎症性疾患に対して診療フローチャートの作成を行った。新規自己炎症性疾患:エカルディ・グティエール症候群、HOIL1欠損症、HOIP欠損症、OTULIN異常症、NLRC4異常症、ADA2欠損症、A20ハプロ不全性、STING異常症、SLC29A3異常症、COPA異常症、インターロイキンⅠ受容体拮抗分子欠損症、WDR1欠損症, TRNT1欠損症、Majeed症候群、フォスフォリパーゼCγ2関連抗体欠損免疫異常症、ケルビズムについて作成した。令和2年2月の班会議で討議を行い、現在、関連学会に承認依頼を行うべく準備中である。WEBの自己炎症性疾患サイトに対し、疾患説明、診療体制の紹介、頻度が高い質問へのQ&Aを追加、改訂を行った。これにより疾患の啓発が進むとともに、最新の情報を患者に届けることができた。
結論
以上により、研究分担者・協力者に、地域の拠点病院に所属する自己炎症性疾患専門小児科医・内科医・皮膚科医・口腔外科医に疫学統計の専門家が連携し、1)自己炎症性疾患の診療体制改善、2)新規・既知疾患を含めた患者登録システムの推進、3)診療ガイドライン/フローチャートに関して、ほぼ予定研究が通りに行われた。これにより国民に対してより質の高い医療を提供することに貢献した。

公開日・更新日

公開日
2021-07-01
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2021-07-01
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201911013C

収支報告書

文献番号
201911013Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
26,000,000円
(2)補助金確定額
26,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 13,624,920円
人件費・謝金 595,099円
旅費 3,644,636円
その他 2,136,026円
間接経費 6,000,000円
合計 26,000,681円

備考

備考
自己資金681円

公開日・更新日

公開日
2021-06-14
更新日
-