非癌、慢性炎症性リンパ節・骨髄異常を示すキャッスルマン病、TAFRO症候群その類縁疾患の診断基準、重症度分類の改正、診断・治療のガイドラインの策定に関する調査研究

文献情報

文献番号
201911012A
報告書区分
総括
研究課題名
非癌、慢性炎症性リンパ節・骨髄異常を示すキャッスルマン病、TAFRO症候群その類縁疾患の診断基準、重症度分類の改正、診断・治療のガイドラインの策定に関する調査研究
課題番号
H29-難治等(難)-一般-019
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
吉崎 和幸(大阪大学 産業科学研究所 )
研究分担者(所属機関)
  • 岡本 真一郎(慶應義塾大学 医学部)
  • 水木 満佐央(大阪大学 医学部附属病院)
  • 青木 定夫(新潟薬科大学 薬学部)
  • 川端 浩(金沢医科大学 医学部)
  • 正木 康史(金沢医科大 医学部)
  • 中村 栄男(名古屋大学 大学院医学系研究科)
  • 矢野 真吾(東京慈恵会医科大学 内科学講座)
  • 川上 純(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科)
  • 宇野 賀津子((公財)ルイ・パストゥール医学研究センター 基礎研究部)
  • 石垣 靖人(金沢医科大学 総合医学研究所)
  • 井出 眞(日本赤十字社 高松赤十字病院)
  • 黒瀬 望(金沢医科大 医学部)
  • 岩城 憲子(金沢大学 医薬保健研究域医学系)
  • 加留部 謙之輔(琉球大学 大学院医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
3,462,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
キャッスルマン病並びにTAFRO症候群の類似性、異同性を統一的に検討し、診療ガイドライン、治療アルゴリズム等を策定して、鑑別診断を策定することを基本目的とした。我が国の診療体制を確立し実質的活動を行う。また、実態把握、予後調査、今後の臨床試験への展開をするために全国アンケート調査を行う。両疾患共リンパ節の病理診断が可能になるよう、中央病理診断センターを確立し病理診断を行う。全国に地域中核病院と関連診療施設を設置し、本疾患の全国規模の診療体制を可動する。MINDSに準拠したガイドラインの作成を準備し策定する。TAFRO症候群については、TAFROが2010年に提唱されたばかりであるが班の統一見解を目指す。
研究方法
1.患者数の決定(岡本、水木、川端、吉崎):全国の大・中・小病院毎に統計処理法に基づいた数を選定、計1000施設に当該疾患診療の有無のアンケート調査を行う。
2.キャッスルマン病診療ガイドラインの策定(川端、矢野、石垣、青木):MINDSに準拠した方法で行う。
3.中央病理診断センターの設立(中村(栄)、黒瀬、正木、加留部、佐藤、岩城):金沢医大臨床病理学教室の施設、設備を利用し設立する。依頼施設からの実費で運営する。
4.医療体制の確立(矢野、吉崎):地域中核病院100前後の関連施設を設置し、意見の交換、患者の紹介、病理検査を可能にする。
5.国際連携の確立(井出、吉崎、川上):米国ペンシルバニア大学のCastleman Collaborative Network (CDCN)のScientific Advisory Board (SAB) のメンバーとして年4回のミーティングに参加する。
6.AMED研究への展開(川上、古賀、宇野、吉崎): mTOR阻害のラパマイシン治療を計画し、AMEDに申請し採択を求める。病態の把握のため、中央病態情報センターを設立する。
結果と考察
1.アンケートの結果、キャッスルマン病患者1264人、TAFRO症候群患者339人と推定された。
2.血液学会、リウマチ学会にガイドラインの承認を求め、血液学会からは検討中で、リウマチ学会からは改訂が求められた。今後、新たなエビデンスを得て、次のステップへの向上を望む。TAFRO症候群に対しても診療ガイドラインの策定を進めていく。
3.中央病理診断センター設立で、困難な症例の診断を解決した。検査料は患者又は依頼施設が負担した。
4.全国的診療体制を地域中核病院及びその関連医療施設にて確立された。研究班から末端医療施設、逆に医療施設から中央研究班へと情報交換が可能になりスムーズな診療が可能となった。
5.CDCNに参画し、国際診断基準、治療アルゴリズム策定に関与した。CDCNの研究、患者レジストリーへの参画も行えるようにした。
6.AMED実用化研究として、キャッスルマン病のmTOR阻害の新たな自主臨床治療研究を開始した。
結論
基本目標として、キャッスルマン病並びにTAFRO症候群の類似性、異同性を統一的に検討し、診療ガイドライン、治療アルゴリズム等を策定し、鑑別診断を検討した。
1.CD及びTAFRO患者数と情況把握 
 一次調査が開始され、年度内に集計された。CD患者は1264名、TAFROは339名であった。内容は解析中であるが、次期班において二次調査が開始される予定である。
2.キャッスルマン病のMINDSに準拠した診療ガイドラインの策定を行った。血液学会で検討中で、リウマチ学会では多少の改訂が求められている
3.CD及びTAFROの診療体制の確立
全国の地域中核病院とその医療関連施設の体制を確立し、情報を各関連施設に伝達することができた。
4.中央病理診断センターの確立
金沢医大臨床病理学教室の施設、設備を利用し、病理医を中心として中央病理診断センターが設立された。
5.国際的活動
 Castleman disease Collaborative Network (CDCN) に参画し、国際診断基準、治療アルゴリズム策定に貢献した。更に臨床、基礎研究に情報、資料の提供を可能にした。更に国際的情報交換、共同研究のため、第1回の国際キャッスルマン病シンポジウムを我が国で開催することが決定された(COVID-19の感染拡大のため2021年9月に延期)。
6.AMEDによる実用化研究の参画
mTORを阻害するラパマイシン(シロリムス)による自主治療研究をAMEDに申請した。その結果採択されたため、準備期間を経て開始された。

公開日・更新日

公開日
2021-07-01
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2021-07-01
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
201911012B
報告書区分
総合
研究課題名
非癌、慢性炎症性リンパ節・骨髄異常を示すキャッスルマン病、TAFRO症候群その類縁疾患の診断基準、重症度分類の改正、診断・治療のガイドラインの策定に関する調査研究
課題番号
H29-難治等(難)-一般-019
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
吉崎 和幸(大阪大学 産業科学研究所 )
研究分担者(所属機関)
  • 岡本 真一郎(慶應義塾大学 医学部)
  • 水木 満佐央(大阪大学 医学部附属病院)
  • 青木 定夫(新潟薬科大学 薬学部)
  • 川端 浩(金沢医科大学 医学部)
  • 正木 康史(金沢医科大学 医学部)
  • 中村 栄男(名古屋大学 大学院医学系研究科)
  • 小島 勝(獨協医科大学 医学部)
  • 中塚 伸一(大阪国際がんセンター)
  • 矢野 真吾(東京慈恵会医科大学 内科学講座)
  • 川上 純(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科)
  • 宇野 賀津子((公財)ルイ・パストゥール医学研究センター 基礎研究部)
  • 石垣 靖人(金沢医科大学・総合医学研究所)
  • 井出 眞(高松赤十字病院)
  • 黒瀬 望(金沢医科大 医学部)
  • 岩城 憲子(金沢大学 医薬保健研究域医学系)
  • 加留部 謙之輔(琉球大学 大学院医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
稀少病のキャッスルマン病(CD)、TAFRO症候群(TAFRO)は認知度が低く、類縁疾患のIgG4関連疾患(IgG4-RD)あるいはPOEMS症候群等との鑑別も容易ではない。本研究は早期に正しい診断が出来る、身近な医療機関で適切な医療を受けられる体制を構築し、患者支援することを目的とする。このため患者数の把握、診療実態の把握を行い、診断基準を決定し、診療ガイドラインを策定し、治療アルゴリズムを確立する。このことにより、患者に最適な有効治療の提供を期待する。また、国外との研究は、ペンシルバニア大学のCastleman Disease Collaborative Network (CDCN) と共同で、国際的な疫学調査研究に貢献する予定で国際会議を提唱し開催を予定する。
研究方法
1.CD、TAFROの患者数患者の身体所見、検査所見、治療方法、生活状態などの実態把握、予後調査、今後の臨床試験への展開をするために全国の大・中・小病院毎に統計処理法に基づいた数を選定、計1000施設に当該疾患診療の有無のアンケート調査を行う。
2.CD診療ガイドラインの策定:平成30年にMINDSに準拠したガイドラインの作成を準備し、令和元年中に策定する。TAFROについては、2010年に提唱されたばかりであるが、平成30年から再検討され班の統一見解を目指す。
3.中央病理診断センターの設立:病理診断を最終確定するために中央病理診断センターを設立する。金沢医大臨床病理学教室の施設、設備を利用する。依頼施設からの実費で運営する。
4.医療体制の確立:連携施設約113施設を特定し地域中核病院とし、その他関連施設を設置し、意見の交換、患者の紹介、病理検査を可能にする。
5.国際連携の確立:米国ペンシルバニア大学のCDCNのSABのメンバーとして年4回のミーティングに参加する。
6.AMED研究への展開: AMED研究事業として第1は、mTOR阻害のRapamycin による治療薬の開発。第2は、診療参照ガイドを信頼性の高いガイドラインにするため、病因、病態を解析し、新たなエビデンスを得る。
7.患者会への支援:入会援助と共に勉強会、講演、治療相談に応じる。
結果と考察
1.アンケートの結果、キャッスルマン病患者1264人、TAFRO症候群患者339人と推定された。
2.血液学会、リウマチ学会にガイドラインの承認を求め、血液学会からは検討中で、リウマチ学会からは改訂が求められた。今後、新たなエビデンスを得て、次のステップへの向上、TAFROに対しても診療ガイドラインの策定を進める。
3.中央病理診断センター設立で、困難な症例の診断を解決した。検査料は患者又は依頼施設が負担した。
4.全国的診療体制を地域中核病院及びその関連医療施設にて確立された。研究班から末端医療施設、逆に医療施設から中央研究班へと情報交換が可能になりスムーズな診療が可能となった。
5.CDCNに参画し、国際診断基準、治療アルゴリズム策定に関与した。CDCNの研究、患者レジストリーへの参画も行えるようにした。
6.AMED実用化研究として、キャッスルマン病のmTOR阻害の新たな自主臨床治療研究を開始した。
7.毎年勉強会、個別相談会を行った。平成30年からはTAFRO患者の参加も始まった。
結論
1.CD及びTAFRO患者数と情況把握 
 一次調査が開始され、年度内に集計された。CD患者は1264名、TAFROは339名であった。内容は解析中であるが、次期班において二次調査が開始される予定である。
2.CDのMINDSに準拠した診療ガイドラインの策定を行った。血液学会で検討され、リウマチ学会では多少の改訂が求められている
3.CD及びTAFROの診療体制の確立
全国の地域中核病院とその医療関連施設の体制を確立し、情報を各関連施設に伝達することができた。
4.中央病理診断センターの確立
金沢医大臨床病理学教室の施設、設備を利用し、病理医を中心として中央病理診断センターが設立された。
5.国際的活動
 CDCNに参画し、国際診断基準、治療アルゴリズム策定に貢献した。更に臨床、基礎研究に情報、資料の提供を可能にした。更に国際的情報交換、共同研究のため、第1回の国際CDシンポジウムを我が国で開催することが決定された。(COVID-19の感染拡大のため2021年9月に延期)。
6.AMEDによる実用化研究の参画
mTORを阻害するラパマイシンによる自主治療研究をAMEDに申請した。その結果採択されたため、準備期間を経て開始された。
7.患者会との連携強化
 毎年勉強会、個別相談会を行い連携している。TAFRO患者の患者会への参加により、より強固な連携がえられた。

公開日・更新日

公開日
2021-07-01
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2021-07-01
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201911012C

収支報告書

文献番号
201911012Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
4,496,000円
(2)補助金確定額
4,496,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 724,035円
人件費・謝金 1,303,770円
旅費 1,197,636円
その他 236,559円
間接経費 1,034,000円
合計 4,496,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2021-05-07
更新日
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