文献情報
文献番号
201911011A
報告書区分
総括
研究課題名
難治性血管炎に関する調査研究
課題番号
H29-難治等(難)-一般-018
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
針谷 正祥(東京女子医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
- 磯部 光章(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
- 要 伸也(杏林大学 医学部)
- 石津 明洋(北海道大学大学院保健科学研究院)
- 藤元 昭一(宮崎大学 医学部)
- 高崎 芳成(順天堂大学大学院医学研究科)
- 赤澤 宏(東京大学 医学部附属病院)
- 渥美 達也(北海道大学大学医院医学研究院)
- 天野 宏一(埼玉医科大学 医学部)
- 石井 智徳(東北大学大学病院)
- 猪原登志子(伊藤登志子)(京都府立医科大学附属病院臨床研究推進センター)
- 内田 治仁(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科)
- 勝又 康弘(東京女子医科大学 医学部)
- 川上 民裕(東北医科薬科大学 医学部)
- 菅野 祐幸(信州大学 学術研究院医学系)
- 河野 肇(帝京大学 医学部内科学講座)
- 駒形 嘉紀(杏林大学 医学部)
- 佐伯 圭吾(公立大学法人奈良県立医科大学 医学部)
- 佐田 憲映(岡山大学 岡山大学病院)
- 中村 好一(自治医科大学 地域医療学センター公衆衛生学部門)
- 新納 宏昭(九州大学 大学院医学研究院)
- 杉原 毅彦(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
- 杉山 斉(岡山大学 大学院医歯薬学総合研究科)
- 高橋 啓(東邦大学 医学部)
- 竹内 勤(慶應義塾大学 医学部)
- 田中 榮一(東京女子医科大学 医学部)
- 種本 和雄(川崎医科大学 心臓血管外科学)
- 田村 直人(順天堂大学 大学院医学研究科)
- 土屋 尚之(国立大学法人筑波大学 医学医療系)
- 土橋 浩章(香川大学 医学部)
- 長坂 憲治(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
- 中岡 良和(国立研究開発法人国立循環器病研究センター 研究所血管生理学部)
- 中山 健夫(京都大学 大学院医学研究科 教授)
- 南木 敏宏(東邦大学 医学部)
- 長谷川 均(愛媛大学 大学院医学研究科)
- 原渕 保明(旭川医科大学 医学部)
- 坂東 政司(自治医科大学 医学部内科学講座呼吸器内科学部門)
- 藤井 隆夫(和歌山県立医科大学 医学部リウマチ・膠原病科学講座)
- 古田 俊介(千葉大学 医学部附属病院アレルギー・膠原病内科)
- 本間 栄(東邦大学 医学部)
- 前嶋 康浩(東京医科歯科大学 医学部附属病院)
- 宮崎 龍彦(岐阜大学 医学部附属病院)
- 吉藤 元(京都大学 医学部附属病院)
- 和田 隆志(金沢大学 医薬保健研究域医学系)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
18,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
【研究目的】難治性血管炎疾患の診断基準、重症度分類、診療ガイドライン(CPG)等の作成・評価・改訂に資する研究を実施し、難治性血管炎の医療水準の更なる向上と患者支援体制充実を図る
研究方法
【研究方法】班内に5つの分科会を設置し、各分科会長を中心に2019年度の研究課題を実施した。研究代表者は全体計画策定、進捗管理、各分科会間調整を行い、研究代表者と各分科会長が連携して研究を進めた。レジストリデータ(RD)収集には原則的に臨床系全分担者・協力者が参加した。人を対象とする医学系研究に関する倫理指針を遵守して実施した。
結果と考察
【結果と考察】大型血管炎臨床分科会では、バージャー病の診断基準修正案を作成し、関連学会での承認を依頼した。大型血管炎の前向きレジストリ研究では、高動脈炎70例、巨細胞性動脈炎121例を集積・解析した(AMED血管炎班との共同研究)。全国疫学調査の一次調査結果を集計し、二次調査を実施した。高安動脈炎の患者数は、約5300名(95%信頼区間:4810-5800名)で、診断基準に合致した患者数は4900名(95%信頼区間:4400-5400名)と推計された。また巨細胞性動脈炎の患者数は3200名(95%信頼区間:2800-3600名)で診断基準に合致した患者数は2600名(95%信頼区間:2300-3000名)と推計された(難病疫学班との共同研究)。バージャー病、高安動脈炎の臨床調査個人票データを解析し、前者はCirculation Journalに投稿し改訂中、後者は米国リウマチ学会で発表した。高安動脈炎女性患者と妊娠・出産の実態調査の倫理審査が完了し、13施設から14例が登録された。「小児発症高安動脈炎の子どもと親のためのガイド」の執筆を完了し、出版準備中である。中・小型血管炎臨床分科会では、川崎病性冠動脈瘤の診断基準を作成し、関連学会に承認を得た。結節性多発動脈炎と悪性関節リウマチの臨床調査個人票データ解析、結節性多発動脈炎(PAN)、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)、悪性関節リウマチ(MRA)、抗リン脂質抗体症候群(APS)に関するMinds形式の治療ガイドの策定を行った。 ANCA関連血管炎患者の寛解導入後の寛解維持治療に関する医療経済学的検討では、約半数の症例において、2年以内に再入院を経験していた。再入院症例では、再入院がなかった症例群と比し、約3.5倍 直接医療費がかかっていた。特に血管炎再燃のための再入院、感染症や心血管系の再入院症例において、高額な直接医療費を要していることが明らかとなった。ANCA関連血管炎患者の労働生産性は、ANCA関連血管炎患者における疾患活動性、臓器障害、健康関連QoLと関連することが明らかとなった。また、2019年6月に川崎病診断の手引き(改訂6版)を公開した(川崎病学会との共同研究)。横断研究分科会では研究班webpageでの血管炎に関する情報提供、中難治性血管炎市民公開講座(令和2年2月9日、宮城県仙台市)開催、関連学会の総会・学術集会における合同シンポジウム提案・開催を進めた。臨床病理分科会では、血管炎病理診断コンサルテーションの一般受付を継続し、累計34例(令和元年度は14件)についてコンサルテーション業務を実施した。GCAの大型血管病変の病理学的特徴、AAVの上気道生検組織の病理学的特徴、PANの皮膚病変と皮膚動脈炎の病理学的特徴の相違を解析した。国際研究分科会では、結節性多発動脈炎の疾患フェノタイプに関する国際共同研究への参加、血管炎妊娠レジストリの国際共同研究への参加準備を実施した。厚労省びまん性肺疾患調査研究班と共同でAAVの科々連携およびMPO-ANCA陽性間質性肺炎に関するアンケート調査を実施した。AAV診療の科々連携に関しては、全身性疾患であるAAV診療の主科は膠原病・リウマチ内科で、有症状の間質性肺炎や肺胞出血では呼吸器内科と科々連携が行われている現状が明らかとなった。また、現時点でMPO-ANCA陽性間質性肺炎に関する考え方はAAV診療を担当する各科専門医において十分なコンセンサスは得られていなかった。
結論
【結論】これらの研究成果によって、難治性血管炎の医療水準の均てん化と更なる向上がもたらされることが期待される。
公開日・更新日
公開日
2021-07-01
更新日
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