文献情報
文献番号
201911009A
報告書区分
総括
研究課題名
慢性活動性EBウイルス感染症と類縁疾患の疾患レジストリとバイオバンクの構築
課題番号
H29-難治等(難)-一般-016
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
木村 宏(名古屋大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
- 伊藤 嘉規(名古屋大学 大学院医学系研究科 )
- 和田 泰三(金沢大学 医薬保健研究域医学系)
- 岩月 啓氏(岡山大学 大学院医歯薬学総合研究科)
- 大賀 正一(九州大学 大学院医学研究院)
- 大島 孝一(久留米大学 医学部)
- 新井 文子(聖マリアンナ医科大学 医学部)
- 笹原 洋二(東北大学 大学院医学系研究科)
- 澤田 明久(大阪母子医療センター 病院)
- 今留 謙一(国立成育医療研究センター 高度感染症診断部)
- 小林 徹(国立成育医療研究センター 臨床研究センター企画運営部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
10,227,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
慢性活動性EBウイルス感染症、EBウイルス関連血球貪食性リンパ組織球症、種痘様水疱症、蚊刺過敏症は、我が国の小児・若年成人に特有な希少難治性疾患である。本研究班ではこれら4疾患に対する疾患レジストリとバイオバンクを立ち上げ、次期ガイドライン改訂のための診療情報を集積するとともに、病態研究や体外診断薬/新規治療薬開発の医師主導治験の受け皿となる体制を確立することを目的としている。
研究方法
3か年計画の第3年目にあたる本年度は、前年度構築した成育医療研究センターに事務局を置く登録システム/疾患レジストリの運用を継続し、慢性活動性EBV感染症、EBウイルス関連血球貪食性リンパ組織球症、種痘様水疱症、蚊刺過敏症の4疾患の患者を新たに登録した。また、疾患レジストリにリンクして、患者検体を収集し保存するバイオバンクのシステムを構築し、検体の収集を開始した。さらに、前研究班で構築した感染細胞同定、病理診断の中央診断体制を維持し、同じく前研究班で制定した診療ガイドラインの周知活動や、関連するAMED研究班との連携活動も行った。
結果と考察
1) 中央診断体制の維持
感染細胞同定(成育医療研究センター)、病理診断(久留米大学)にて中央診断を実施し、慢性活動性EBV感染症を62例、EBウイルス関連血球貪食性リンパ組織球症患者を30例、種痘様水疱症患者を10例、蚊刺過敏症患者を8例、併せて110例の新規診断例の診療に役立てた。
2) レジストリの運用
前年度構築した疾患レジストリを、引き続き成育医療センタ-および関連施設で運用し、慢性活動性EBV感染症を53例、EBウイルス関連血球貪食性リンパ組織球症患者を26例、種痘様水疱症患者を4例、蚊刺過敏症患者を12例、計95例を新たに登録した。
3) バイオバンクの構築
疾患レジストリにリンクして、患者検体を収集し成育医療研究センターにて保存するバイオバンクのシステムを構築し、検体の収集を開始した。レジストリ登録した全例より検体が得られ、慢性活動性EBV感染症を77検体、EBウイルス関連血球貪食性リンパ組織球症患者を57例、種痘様水疱症患者を4例、蚊刺過敏症患者を12例、計150検体をバイオバンクに保存した。
4) 診療ガイドラインの周知活動
平成28年に刊行した診療ガイドラインを、日本小児感染症学会、Mindsおよび本研究班のHPにて無料公開している。また、診療ガイドライン改正に向けて必要な重症度分類制定のための情報を収集し、本年度2回開催した班会議において討議した。これらの成果の一部を研究代表者が編者となり、また主たる分担研究者が執筆者となり英文書籍として発表した。この英文書籍はeBookとなり、無料で全世界に公開された。
5) AMED研究班との連携活動
平成29年度採択された難治性疾患実用化研究事業 宮野班と連携し、次世代シーケンサーを用いた病態解明研究を継続し、その成果を国内外の学会で紹介した。平成30年度採択された希少難治性疾患に対する「画期的な医薬品医療機器等の実用化に関する研究」 新井班と連携し、「慢性活動性EBウイルス感染症を対象としたJAK1/2阻害剤ルキソリチニブの医師主導治験」の研究母体を提供した。
感染細胞同定(成育医療研究センター)、病理診断(久留米大学)にて中央診断を実施し、慢性活動性EBV感染症を62例、EBウイルス関連血球貪食性リンパ組織球症患者を30例、種痘様水疱症患者を10例、蚊刺過敏症患者を8例、併せて110例の新規診断例の診療に役立てた。
2) レジストリの運用
前年度構築した疾患レジストリを、引き続き成育医療センタ-および関連施設で運用し、慢性活動性EBV感染症を53例、EBウイルス関連血球貪食性リンパ組織球症患者を26例、種痘様水疱症患者を4例、蚊刺過敏症患者を12例、計95例を新たに登録した。
3) バイオバンクの構築
疾患レジストリにリンクして、患者検体を収集し成育医療研究センターにて保存するバイオバンクのシステムを構築し、検体の収集を開始した。レジストリ登録した全例より検体が得られ、慢性活動性EBV感染症を77検体、EBウイルス関連血球貪食性リンパ組織球症患者を57例、種痘様水疱症患者を4例、蚊刺過敏症患者を12例、計150検体をバイオバンクに保存した。
4) 診療ガイドラインの周知活動
平成28年に刊行した診療ガイドラインを、日本小児感染症学会、Mindsおよび本研究班のHPにて無料公開している。また、診療ガイドライン改正に向けて必要な重症度分類制定のための情報を収集し、本年度2回開催した班会議において討議した。これらの成果の一部を研究代表者が編者となり、また主たる分担研究者が執筆者となり英文書籍として発表した。この英文書籍はeBookとなり、無料で全世界に公開された。
5) AMED研究班との連携活動
平成29年度採択された難治性疾患実用化研究事業 宮野班と連携し、次世代シーケンサーを用いた病態解明研究を継続し、その成果を国内外の学会で紹介した。平成30年度採択された希少難治性疾患に対する「画期的な医薬品医療機器等の実用化に関する研究」 新井班と連携し、「慢性活動性EBウイルス感染症を対象としたJAK1/2阻害剤ルキソリチニブの医師主導治験」の研究母体を提供した。
結論
慢性活動性EBウイルス感染症と類縁疾患に対する疾患レジストリとバイオバンクの確立を目的とし、研究を進めた。第3年目にあたる平成31年(令和元年)は、成育医療研究センターに事務局をおく疾患レジストリの運用を継続し、患者の登録。検体の集積を行った。疾患レジストリおよびバイオバンクは、診療ガイドラインの改訂・病態解明研究を通して、本疾患群の実態解明、疾患予後改善、患者の生活の質改善につながると考えられる。
公開日・更新日
公開日
2021-05-27
更新日
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