文献情報
文献番号
201911006A
報告書区分
総括
研究課題名
原発性免疫不全症候群の診断基準・重症度分類および診療ガイドラインの確立に関する研究
課題番号
H29-難治等(難)-一般-013
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
野々山 恵章(防衛医科大学校 医学教育部医学科小児科学講座)
研究分担者(所属機関)
- 山田 雅文(北海道大学 大学院医学研究院小児科学教室)
- 笹原 洋二(東北大学 大学院医学系研究科小児病態学分野)
- 高田 英俊(筑波大学 医学医療系小児科学)
- 小原 收(公益財団法人かずさDNA研究所 ゲノム事業推進部)
- 森尾 友宏(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科発生発達病態学分野)
- 小野寺 雅史(国立研究開発法人国立成育医療研究センター研究所 成育遺伝研究部)
- 大西 秀典(岐阜大学 医学部附属病院新生児集中治療部)
- 村松 秀城(名古屋大学 医学部附属病院小児科)
- 和田 泰三(金沢大学 医薬保健研究域医学系小児科)
- 平家 俊男(京都大学 大学院医学研究科発達小児科学)
- 中畑 龍俊(京都大学 iPS細胞研究所創薬技術開発室)
- 岡田 賢(広島大学 大学院医系科学研究科小児科学)
- 峯岸 克行(徳島大学 先端酵素学研究所プロテオゲノム研究領域免疫アレルギー学分野)
- 大賀 正一(九州大学 大学院医学研究院成長発達医学分野)
- 西小森 隆太(久留米大学 医学部医学科小児科学講座)
- 堀内 孝彦(九州大学病院 別府病院内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
31,420,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
原発性免疫不全症候群は指定難病および小児慢性特定疾患に指定されている稀少難病である。原発性免疫不全症候群に対する診断基準・重症度分類および診療ガイドラインの策定し、加えて遺伝子診断体制構築などを行い、原発性免疫不全症候群診療レベルの向上および難病支援の構築に貢献することを目的とした。
研究方法
300以上の疾病を含む原発性免疫不全症候群を、指定難病では国際免疫学会の分類に準拠して1)複合免疫不全症、2)免疫不全を伴う特徴的な症候群、3)液性免疫不全を主とする疾患、4)免疫調節障害、5)原発性食細胞機能不全症および欠損症、6)自然免疫異常、7)先天性補体欠損症に細分類している。令和元年度は、7細分類52疾患の中から21疾病を選び、診療ガイドラインを策定した。
また、患者登録事業であるPIDJ事業を推進し、遺伝子診断体制の確立、難病レジストリへの患者登録体制の構築を進めた。患者向け勉強会も行った。患者実態調査を患者会と連携して行った。予防接種対応策を策定するために、ワーキンググループを構築し、厚労省予防接種室の事務連絡作成に協力した。
また、患者登録事業であるPIDJ事業を推進し、遺伝子診断体制の確立、難病レジストリへの患者登録体制の構築を進めた。患者向け勉強会も行った。患者実態調査を患者会と連携して行った。予防接種対応策を策定するために、ワーキンググループを構築し、厚労省予防接種室の事務連絡作成に協力した。
結果と考察
1)診療ガイドラインの策定
指定難病で1)複合免疫不全症、2)免疫不全を伴う特徴的な症候群、3)液性免疫不全を主とする疾患、4)免疫調節障害、5)原発性食細胞機能不全症および欠損症、6)自然免疫異常、7)先天性補体欠損症に細分類されている原発性免疫不全症候群について。令和元年度は、7細分類ごとに21疾病を選び、診療ガイドラインを策定した。診療ガイドライン策定では、可能な限りシステマティックレビューを行い、CQも推奨度を加えて策定した。
2)遺伝子診断体制の確立
日本免疫不全・自己炎症学会及び、かずさDNA研究所と連携し、原発性免疫不全症候群の原因となる426遺伝子を遺伝子解析・診断する体制を構築した。
3)PIDJ登録の推進・症例相談体制の構築
本研究班により構築した原発性免疫不全症候群患者データベースPrimary Immunodeficiency Database in Japan(PIDJ)に患者データを登録した。533人が新規登録され、PIDJ構築を行った平成9年からの累計で5,600例の患者が登録された。患者登録に難病プラットフォームを用いる事とし、AMED研究班と連携して登録項目の設定等を行った。過去データの登録も進める事とした。
日本免疫不全・自己炎症学会ホームページに症例相談を開き、医師からの原発性免疫不全症候群に関する診断と治療についての相談を受ける体制を構築した。相談症例は、本研究班分担研究者からなるPIDJ委員全員が議論し、回答する事とした。日本全国から176症例の症例相談を受け回答した。令和元年3月の事業開始からでは合計197件となった。
以上のように、一般医からの相談に専門医が対応する体制の構築ができた。
4)患者向け勉強会の開催
患者向け勉強会(医療講演、個別医療相談)を、令和元年5月26日, 令和元年11月30日に、患者家族会であるPIDつばさの会と連携し開催した。
5)予防接種対応策の策定
原発性免疫不全症候群患者に禁忌である予防接種の実施を防ぐため、禁忌患者の実態把握、問診での疑い症例や誤接種患者への対応、原発性免疫不全症候群に対する予防接種に関する相談体制の構築が、本研究班に対して厚労省健康局健康課予防接種室から求められた。そこで、本研究班にワーキンググループを作り活動を開始し、問診票の改訂、事務連絡の策定に協力した。
さらに、全国の病院(内科1,170、小児科 464、皮膚科 489、リウマチ科258、血液内科 125の全2,506科)にアンケート調査を行い、原発性免疫不全症候群患者における予防接種副反応の実態調査を開始した。また、改訂された問診票で見出された疑い症例や、誤接種患者への対応などへの診療支援体制、本症候群に対する予防接種の相談体制を構築した。
指定難病で1)複合免疫不全症、2)免疫不全を伴う特徴的な症候群、3)液性免疫不全を主とする疾患、4)免疫調節障害、5)原発性食細胞機能不全症および欠損症、6)自然免疫異常、7)先天性補体欠損症に細分類されている原発性免疫不全症候群について。令和元年度は、7細分類ごとに21疾病を選び、診療ガイドラインを策定した。診療ガイドライン策定では、可能な限りシステマティックレビューを行い、CQも推奨度を加えて策定した。
2)遺伝子診断体制の確立
日本免疫不全・自己炎症学会及び、かずさDNA研究所と連携し、原発性免疫不全症候群の原因となる426遺伝子を遺伝子解析・診断する体制を構築した。
3)PIDJ登録の推進・症例相談体制の構築
本研究班により構築した原発性免疫不全症候群患者データベースPrimary Immunodeficiency Database in Japan(PIDJ)に患者データを登録した。533人が新規登録され、PIDJ構築を行った平成9年からの累計で5,600例の患者が登録された。患者登録に難病プラットフォームを用いる事とし、AMED研究班と連携して登録項目の設定等を行った。過去データの登録も進める事とした。
日本免疫不全・自己炎症学会ホームページに症例相談を開き、医師からの原発性免疫不全症候群に関する診断と治療についての相談を受ける体制を構築した。相談症例は、本研究班分担研究者からなるPIDJ委員全員が議論し、回答する事とした。日本全国から176症例の症例相談を受け回答した。令和元年3月の事業開始からでは合計197件となった。
以上のように、一般医からの相談に専門医が対応する体制の構築ができた。
4)患者向け勉強会の開催
患者向け勉強会(医療講演、個別医療相談)を、令和元年5月26日, 令和元年11月30日に、患者家族会であるPIDつばさの会と連携し開催した。
5)予防接種対応策の策定
原発性免疫不全症候群患者に禁忌である予防接種の実施を防ぐため、禁忌患者の実態把握、問診での疑い症例や誤接種患者への対応、原発性免疫不全症候群に対する予防接種に関する相談体制の構築が、本研究班に対して厚労省健康局健康課予防接種室から求められた。そこで、本研究班にワーキンググループを作り活動を開始し、問診票の改訂、事務連絡の策定に協力した。
さらに、全国の病院(内科1,170、小児科 464、皮膚科 489、リウマチ科258、血液内科 125の全2,506科)にアンケート調査を行い、原発性免疫不全症候群患者における予防接種副反応の実態調査を開始した。また、改訂された問診票で見出された疑い症例や、誤接種患者への対応などへの診療支援体制、本症候群に対する予防接種の相談体制を構築した。
結論
原発性免疫不全症候群のうち代表的な21疾患を選び、その診断基準、重症度分類、診断フローチャート、診療ガイドラインを策定した。遺伝子診断体制の確立、PIDJ登録の推進・患者相談体制の構築、患者向け勉強会の開催、予防接種対応策の策定も行った。
本研究により原発性免疫不全症候群の適切な診療が可能になり、難病診療レベルの向上および難病支援の構築に貢献した。
本研究により原発性免疫不全症候群の適切な診療が可能になり、難病診療レベルの向上および難病支援の構築に貢献した。
公開日・更新日
公開日
2021-07-01
更新日
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