文献情報
文献番号
201911001A
報告書区分
総括
研究課題名
自己免疫疾患に関する調査研究
課題番号
H29-難治等(難)-一般-008
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
森 雅亮(国立大学法人 東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 生涯免疫難病学講座)
研究分担者(所属機関)
- 住田 孝之(筑波大学 医学医療系内科(膠原病・リウマチ・アレルギー))
- 渥美 達也(北海道大学 大学院医学研究院免疫・代謝内科学教室)
- 田中 良哉(産業医科大学 医学部第1内科学講座)
- 藤本 学(大阪大学 大学院医学系研究科皮膚科学教室)
- 神田 隆(山口大学 大学院医学系研究科神経内科学)
- 川口 鎮司(東京女子医科大学 医学部)
- 神人 正寿(和歌山県立医科大学 医学部 皮膚科)
- 中嶋 蘭(笹井 蘭)(京都大学大学院医学研究科 内科学講座臨床免疫学)
- 小林 一郎(北海道大学大学院医学研究院小児科学教室)
- 木村 直樹(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 膠原病・リウマチ内科学分野)
- 川上 純(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科先進予防医学共同専攻 リウマチ・膠原病内科学)
- 正木 康史(金沢医科大学 医学部血液免疫内科学分野)
- 中村 誠司(九州大学 大学院歯学研究院口腔顎顔面病態学講座 顎顔面腫瘍制御学分野)
- 坪田 一男(慶應義塾大学 医学部眼科学教室)
- 高村 悦子(東京女子医科大学 医学部)
- 冨板 美奈子(国立病院機構下志津病院 小児科)
- 竹内 勤(慶應義塾大学 医学部リウマチ内科学分野)
- 天野 浩文(順天堂大学 大学院医学研究科膠原病・リウマチ内科学)
- 石井 智徳(東北大学 大学病院)
- 広畑 俊成(北里大学 医学部 膠原病・感染内科学)
- 湯澤 由紀夫(藤田医科大学 医学部 腎臓内科学)
- 武井 修治(鹿児島大学 大学院医歯学総合研究科小児科学教室)
- 溝口 史高(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科膠原病・リウマチ内科学分野)
- 藤井 隆夫(和歌山県立医科大学 医学部リウマチ・膠原病科学講座)
- 桑名 正隆(日本医科大学 大学院医学研究科アレルギー膠原病内科学分野)
- 亀田 秀人(東邦大学 医学部 内科学講座膠原病学分野)
- 藤尾 圭志(東京大学 医学部附属病院)
- 室 慶直(名古屋大学 医学部附属病院 皮膚科)
- 伊藤 保彦(日本医科大学 大学院医学研究科 小児・思春期医学分野)
- 三村 俊英(埼玉医科大学 医学部リウマチ膠原病科)
- 川畑 仁人(聖マリアンナ医科大学 リウマチ・膠原病・アレルギー内科)
- 岡本 奈美(大阪医科大学 大学院医学研究科 泌尿発達・生殖医学講座 小児科学教室)
- 清水 正樹(金沢大学 附属病院小児科)
- 杉原 毅彦(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科・生涯免疫難病学講座)
- 太田 晶子(埼玉医科大学 医学部社会医学)
- 山田 亮(京都大学 大学院医学研究科統計遺伝学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
27,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
主な全身性自己免疫疾患である指定難病、①全身性エリテマトーデス(SLE、疾病番号49)、②多発性筋炎・皮膚筋炎(PM/DM、同50)、③混合性結合織病(MCTD、同52)、④シェーグレン症候群(SS、同53)、⑤成人スチル病(ASD、同54)、および平成30年度から指定難病に登録された⑥若年性特発性関節炎(JIA、同107)の6疾病に関し、SLE分科会、PM/DM分科会、MCTD分科会、JIA/ASD分科会の5分科会がそれぞれ担当し、研究を進めた。前記の体制のもと、1)診断基準や重症度分類の検証と改訂、国際分類基準の検証、関連学会承認獲得、2)Mindsに原則準拠した診療ガイドライン(GL)の策定と改訂、関連学会承認獲得、3)臨床個人調査票の解析や検証と難病レジストリ構築への協力、4)早期診断や診療施設紹介のための自己免疫疾患難病診療ネットワーク構築、5)AMED実用化研究事業との連携、等を、小児・成人で一体的して行うことを目的とした。
研究方法
多診療領域の専門家37名が集結しつつ分科会を形成し、上記目的を達成するため、1)~5)の5つのミッションについて研究を遂行した。
結果と考察
SLEにおいては、本邦で初めての診療ガイドラインを公表・発刊したことにより、国際的に本邦の水準の高さを内外に示すことができたと考えている。昨年度作成されたSSとASDのGLは既に公開され好評を博し、より診療に有用なものを目指して、現在改訂作業に入っている。MCTDについては、MCTDの診断基準の改訂、重症度分類の妥当性の検証を経て診療ガイドラインの公表に至った。PM/DM, JIAにおいても同様に本邦初のgrade法によるGLが作成されつつある。
①SLE分科会:a. SLE診療ガイドラインの発刊と欧文誌への論文公表、b.SLEレジストリ(PLEASURE-J)への患者登録、c.自己免疫疾患班全体での患者向け公開講座の開催(東京都)、d. 2019年公表のヨーロッパリウマチ学会/米国リウマチ学会による新SLE分類基準の評価
②PM/DM分科会:a. 小児と成人を統合したPM/DM診療GL改訂版の完成と関連学会の承認、b. レジストリ登録の準備、c. 自己免疫疾患班全体での患者向け公開講座の開催(東京都)
③MCTD分科会:a. MCTDの診断基準の改訂、b. 重症度分類(2011)の妥当性の検証、c. 診療ガイドライン(診断および治療)の策定、d. 臨床個人調査票の改定、体系的な疫学調査の実施、 e. 患者対応:難病情報センター、膠原病友の会、学会を通じた積極的な啓発活動、f. 自己免疫疾患班全体での患者向け公開講座の開催(東京都)
④SS分科会:a.SS診療ガイドライン2017の問題点の抽出と議論、b.診断基準の調査結果を受けた、現行診断基準の改訂の検討、c.SSの新規重症度分類/重症基準の提案、d.自己免疫疾患班全体での患者向け公開講座の開催(東京都)、e.レジストリ作成の準備、f.小児SSのtransitionに関する議論
⑤JIA/ASD分科会: a. ASD診療ガイドラインの普及と広報活動,b. sJIA/ASD共通の診断基準・重症度策定のためのマクロファージ活性化症候群(MAS)国際診断基準の検証と論文化、c. 関節型JIAと既指定の全身型JIAの統合による「若年性特発性関節炎」としての指定難病登録に関する問題点の抽出と議論、d. 令和元年度患者向けの公開講座の開催(大阪府高槻市)、e. 自己免疫疾患班全体での患者向け公開講座の開催(東京都)
本研究最終年度の令和元年度は、3年間の総括として、当初から目標として掲げてきた、1)診断基準や重症度分類の検証と改訂、国際分類基準の検証、及び関連学会承認獲得、2)診療ガイドライン(GL)の策定と改訂、関連学会承認獲得、3)臨床個人調査票の解析や改訂案提案と難病レジストリ構築、4)早期診断と治療のための啓発活動と自己免疫疾患難病診療ネットワーク構築、5)AMED実用化研究事業との連携について、各分科会が精力的に挑み、先進的な成果を挙げることが出来た。特に、小児・成人を一体化して検討を行えていることで、難病対策として重要視されている移行医療を十分意識した成果となっている。
①SLE分科会:a. SLE診療ガイドラインの発刊と欧文誌への論文公表、b.SLEレジストリ(PLEASURE-J)への患者登録、c.自己免疫疾患班全体での患者向け公開講座の開催(東京都)、d. 2019年公表のヨーロッパリウマチ学会/米国リウマチ学会による新SLE分類基準の評価
②PM/DM分科会:a. 小児と成人を統合したPM/DM診療GL改訂版の完成と関連学会の承認、b. レジストリ登録の準備、c. 自己免疫疾患班全体での患者向け公開講座の開催(東京都)
③MCTD分科会:a. MCTDの診断基準の改訂、b. 重症度分類(2011)の妥当性の検証、c. 診療ガイドライン(診断および治療)の策定、d. 臨床個人調査票の改定、体系的な疫学調査の実施、 e. 患者対応:難病情報センター、膠原病友の会、学会を通じた積極的な啓発活動、f. 自己免疫疾患班全体での患者向け公開講座の開催(東京都)
④SS分科会:a.SS診療ガイドライン2017の問題点の抽出と議論、b.診断基準の調査結果を受けた、現行診断基準の改訂の検討、c.SSの新規重症度分類/重症基準の提案、d.自己免疫疾患班全体での患者向け公開講座の開催(東京都)、e.レジストリ作成の準備、f.小児SSのtransitionに関する議論
⑤JIA/ASD分科会: a. ASD診療ガイドラインの普及と広報活動,b. sJIA/ASD共通の診断基準・重症度策定のためのマクロファージ活性化症候群(MAS)国際診断基準の検証と論文化、c. 関節型JIAと既指定の全身型JIAの統合による「若年性特発性関節炎」としての指定難病登録に関する問題点の抽出と議論、d. 令和元年度患者向けの公開講座の開催(大阪府高槻市)、e. 自己免疫疾患班全体での患者向け公開講座の開催(東京都)
本研究最終年度の令和元年度は、3年間の総括として、当初から目標として掲げてきた、1)診断基準や重症度分類の検証と改訂、国際分類基準の検証、及び関連学会承認獲得、2)診療ガイドライン(GL)の策定と改訂、関連学会承認獲得、3)臨床個人調査票の解析や改訂案提案と難病レジストリ構築、4)早期診断と治療のための啓発活動と自己免疫疾患難病診療ネットワーク構築、5)AMED実用化研究事業との連携について、各分科会が精力的に挑み、先進的な成果を挙げることが出来た。特に、小児・成人を一体化して検討を行えていることで、難病対策として重要視されている移行医療を十分意識した成果となっている。
結論
本研究体制は、SLE、PM/DM、MCTD、SS、 JIA/ASDの5つの分科会に、成人内科医と小児科医が配置された形態で行われた小児・成人一体化研究である。それぞれの分科会は、必要に応じて他の分科会メンバーを動員して各分科会を開催して、様々な課題に取り組んだ。
今後ますます、新しい国際的分類基準と認定基準の整合性が担保され、患者像の把握や一般への啓発が進むことが期待される。
今後ますます、新しい国際的分類基準と認定基準の整合性が担保され、患者像の把握や一般への啓発が進むことが期待される。
公開日・更新日
公開日
2021-07-01
更新日
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