加熱式たばこによる健康危機発生を回避するための非臨床安全性評価に関する基礎的研究

文献情報

文献番号
201909031A
報告書区分
総括
研究課題名
加熱式たばこによる健康危機発生を回避するための非臨床安全性評価に関する基礎的研究
課題番号
19FA1015
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
戸塚 ゆ加里(国立研究開発法人国立がん研究センター 研究所・発がん・予防研究分野)
研究分担者(所属機関)
  • 中江 大(東京農業大学・応用生物科学部食品安全健康学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
6,385,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は,モデル生物や実験動物を用いて加熱式たばこの一般毒性および遺伝毒性の評価を行い,科学的根拠に基づいた加熱式たばこの規制などによるヒト健康の維持・増進に資する基礎的情報を得ることである.
研究方法
加熱式タバコ煙を捕集したサンプルを用い、Ames、NGSを用いた遺伝毒性試験を行った。
また、加熱式タバコの毒性に関する既存情報の収集を行った。
結果と考察
バクテリアを用いて、紙巻及び加熱式タバコの遺伝毒性について検討した。TA1535を用いたAmes試験およびNGSを用いたグローバルな変異解析では、今回試験したいずれの条件下でも、顕著な変異原性は観察されなかった。その理由として、バクテリアの増殖時間などが最適な実験条件下で行われていなかったと推測され、今後は、最適な条件下で再試験を行うと共に、in vivoの遺伝毒性試験も実施する予定である。
一方、既存情報の収集から、加熱式たばこの主流煙中において,タバコ特異的ニトロソアミンやアンモニアなど有害物質は,含有量が紙巻きタバコに比べて少量であるが,存在しないわけでなく,それらによる毒性を無視または過度に軽視すべきでないという主張が為されている.また,ニコチンや揮発性化合物(アクロレイン,ホルムアルデヒド,アセトアルデヒドなど)の含有量は両者で同等であり,多環芳香族炭化水素であるアセナフテンなどはむしろ加熱式たばこの主流煙中含有量が多いという報告がある.さらに,副流煙にニコチンとホルムアルデヒドが含まれていることが明らかになっている.これらの報告には加熱式たばこの種類や測定条件など様々な影響要因があり,異なる知見も発表されているので,加熱式たばこの安全性を評価するに当ってはそうした状況に鑑みて慎重に検討することが必要である.
米国を中心とする地域では,EVALIと略される,加熱式たばこに関連する肺疾患の症例数が無視できなくなっている.その原因として,テトラヒドロカンナビノールやビタミンE酢酸塩の関与が有力視されている.また,EVALIに関しては,喘息などの基礎疾患があると発生数や重症度が高まるとされ,加熱式たばこの安全性評価に当たっては,そうした高リスク群の存在も考慮する必要がある.
加熱式たばこによるヒトの疾患リスクについては,複数の疫学的研究が為されていて,がんおよび非がん病変のリスクが高まるとの報告がある.また,このリスク増加には,加熱式たばこが発生させるエアロゾル中の重金属が影響しているとも言われている.
結論
本年度は,予備検討として、紙巻きおよび加熱式タバコ煙の収集や暴露方法・用量の検討を行った。また、動物実験開始に先立ち,加熱式たばこの安全性に関する情報を収集した.次年度は予備検討の結果および収集した情報に基づき、微生物や実験動物を用いた遺伝毒性試験の実施を行う。

公開日・更新日

公開日
2020-10-20
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2020-10-20
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201909031Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
8,000,000円
(2)補助金確定額
8,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 3,187,882円
人件費・謝金 0円
旅費 0円
その他 3,197,118円
間接経費 1,615,000円
合計 8,000,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2021-02-09
更新日
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