生活習慣及び社会生活等が健康寿命に及ぼす影響の解析とその改善効果についての研究

文献情報

文献番号
201909028A
報告書区分
総括
研究課題名
生活習慣及び社会生活等が健康寿命に及ぼす影響の解析とその改善効果についての研究
課題番号
19FA1012
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
近藤 尚己(東京大学 大学院医学系研究科 公共健康医学専攻)
研究分担者(所属機関)
  • 相田 潤(東北大学 大学院歯学研究科 )
  • 細川 陸也(名古屋市立大学 大学院 看護学研究科)
  • 尾島 俊之(浜松医科大学 医学部)
  • 近藤 克則(千葉大学 予防医学センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
13,846,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
健康日本21(第二次)が目標に掲げるように、健康の推進には健康寿命の延伸が重要である。健康寿命の延伸は新経済・財政再建計画改革工程表2018の目標でもあり、保健医療を超えた社会全体の課題である。加えて、その格差の縮小も求められる。これらの目標達成のためには、健康寿命延伸に資する個人の要因(生活習慣・医療・介護サービス利用状況・社会経済状況・社会活動参加等)に加え、地域環境の要因、すなわち社会資源(ソーシャルキャピタル)や物理環境(公園や運動施設、歩道など交通環境、買い物環境など)、そして公的サービスの役割等を明らかにする必要がある。
これまで、大規模な政府統計や国際比較データ、全国20万人規模の縦断データ(日本老年学的評価研究:JAGES)等を用いて関連する研究を進めてきた。やせ・うつ・フレイル・笑い・交流等個人の要因に加え、地域の経済やソーシャルキャピタルが、個人の健康寿命に関連することを示してきた(成果報告URL:www.jages.net/)。しかし、二次医療圏・市町村・包括圏域など、より行政活動に直結した単位での検討は十分なされていない。また、地域環境への介入の効果は、所得水準等の個人の状況によって異なる可能性があるが、そういった地域環境と個人属性の「クロスレベル交互作用」についてはほとんど明らかになっていない。小地域で的確に健康寿命を算出する方法についても検討が必要である。
そこで本研究では、小地域単位で健康寿命を算出する方法を検討し、また、検証に必要なデータを新たに収集し、個人の社会生活要因や地域環境と健康寿命やその地域間格差との関係を明らかにすることで国や自治体政府が取り組むべき効果的で公正な健康増進施策を検討し、第三次に向けた施策提案を行うことを目的とした
研究方法
データの取得と加工を進め、その後個人の健康寿命(要介護リスク)を説明する個人・地域の要因についてマルチレベル分析をした。また、二次医療圏単位で健康寿命を算出し、関連要因の小地域間分布を全国規模で明らかにした。
結果と考察
1)通いの場やスポーツの会などへの社会参加割合などが健康指標の地域格差要因になっていること、社会参加の格差の要因として子どもの時の貧困などがあることを明らかにした。2)縦断分析のための大規模調査を行い、約25万人の高齢者のデータを収集できた。3)都道府県間の健康寿命では健康格差の縮小がみられたものの、今後の課題として、市町村や社会階層間の健康格差,ライフコース,建造環境,Health in All Policiesに着目すべきこと、ロジックモデル,評価計画などを作成することが今後必要であることを明らかにした。
結論
本年度は、計画通り、小地域ごとの健康寿命の算出、その関連要因の検討、JAGES等の縦断データを用いた健康寿命と関連する社会環境要因の解明を進めることができた。
健康寿命の延伸に向けては、市町村など承知機関の格差、ライフコースにわたる社会的要因の影響、社会関係を醸成する地域環境(ソーシャルキャピタル)、気候などの地理条件、医療・介護の施設等サービスアクセスの状況、男女差など多様な社会的決定要因があり、それらを考慮していくべきことが示唆された。
また、モニタリングに際しては、二次医療圏、区市町村など小地域間での評価、社会階層間の格差の評価の重要性が確認され、次期健康推進プランにおいて検討すべきこととして提案した。
次年度の本事業の推進に向けては、データの取得、分析モデル上の課題などが明らかとなった。

公開日・更新日

公開日
2021-02-09
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2021-02-09
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201909028Z