わが国の子宮頸がん検診におけるHPV検査導入の問題点と具体的な運用方法の検討

文献情報

文献番号
201908041A
報告書区分
総括
研究課題名
わが国の子宮頸がん検診におけるHPV検査導入の問題点と具体的な運用方法の検討
課題番号
19EA1006
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
青木 大輔(慶應義塾大学 医学部産婦人科学)
研究分担者(所属機関)
  • 八重樫 伸生(国立大学法人 大学院医学系研究科 婦人科学分野)
  • 藤井 多久磨(藤田医科大学 医学部 産婦人科学)
  • 宮城  悦子(横浜市立大学 大学院医学研究科 生殖生育病態医学)
  • 中山  富雄(国立がん研究センター 社会と健康研究センター検診研究部)
  • 齊藤 英子(国際医療福祉大学三田病院 予防医学センター)
  • 森定 徹(慶應義塾大学 医学部 産婦人科学)
  • 高橋 宏和(国立がん研究センター 社会と健康研究センター検診研究部 検診実施管理研究室)
  • 戸澤 晃子(小野 晃子)(聖マリアンナ医科大学 医学部 産婦人科)
  • 雑賀 公美子(国立がん研究センター がん対策情報センターがん登録センター 全国がん登録室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
6,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国の子宮頸がん検診は、健康増進事業の一環として市区町村における対策型検診として行われており、その手法については「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」に基づき子宮頸部細胞診による検診が実施されている。一方、主に海外のエビデンスでは、細胞診に比してより検査感度の高いHPV検査を用いた子宮頸がん検診の有効性が示されており、欧州、オセアニアを中心に国の対策型検診にHPV検査を導入する動きがある。わが国でも2018年11月に国立がん研究センターより「有効性評価に基づく子宮頸がん検診ガイドライン 2018年度版ドラフト(以下、ガイドライン ドラフト)」が公表され、子宮頸がん検診の手法として、現行の細胞診単独法に加え、HPV検査単独法および、細胞診・HPV検査併用法についてもドラフトの段階ではあるが推奨とされている。しかしながら、HPV検査をわが国の子宮頸がん検診に導入してがん検診としての効果を上げるためには、特異度を上げるためのアルゴリズム(HPV検査陽性者に何の検査を行い、どのような結果になったら検診に戻すかなどを定める)の検討と、受診者がそのアルゴリズムを遵守できるような工夫と厳密な精度管理が必要である。わが国の対策型検診の内容の決定には、科学的根拠に基づくガイドラインでの推奨に加え、厚生労働省で組織されるがん検診のあり方検討会において対象年齢や検診間隔、アルゴリズムなどの実際の運用方法を決定するという過程を経る必要がある。今後のわが国の子宮頸がん検診の実際の運用を決定する際の参考となる、アルゴリズム等に関連した資料を作成することが本研究の目的である。
研究方法
本研究では、子宮頸がん検診におけるアルゴリズムの検討、がん検診受診者のデータの収集・管理体制についての検討、精密検査・追跡調査対象者の管理体制についての検討を行う。まずアルゴリズムの検討について具体的に行うべきこととして、子宮頸がん検診として細胞診単独法、HPV検査単独法、細胞診・HPV検査併用法の各方法について検診としての有効性が示されたランダム化比較試験、および対策型検診として導入されている検診(National program等)のアルゴリズムおよび精度管理体制についての文献的調査を開始する。研究分担者を招集して班会議を行い、研究の方向性の確認と共有とともにこのアルゴリズムの検討について分担者で分担して調査を行う。
結果と考察
子宮頸がん検診の有効性評価研究、および国家のレベルで検診が実施されている国でどのようなアルゴリズムが用いられているのかについて、報告されている研究や諸国の情報を調査した。今年度は、有効性が示された子宮頸がん検診のアルゴリズムおよび、その検診の実施状況を把握するための前段階として、①「ガイドライン ドラフト」および「2009年 有効性評価に基づく子宮頸がん検診ガイドライン」において評価対象として採用された研究(14文献)、②細胞診単独法で検診を実施しているガイドラインのある諸国のガイドライン、③HPV検査を用いた子宮頸がん検診を実施しているガイドラインのある国のガイドラインの抽出を行い、アルゴリズムおよび精度管理評価指標をレビューするためのフォーマットの作成を行った。
 科学的根拠に基づいて効果があると評価された研究においても、研究によってアルゴリズムや実施状況は異なることが明らかとなった。今後、HPV検査がわが国の子宮頸がん検診に導入されることを想定した場合、さらに検診結果別に次に受ける検診や精密検査への運用が複雑になるため、先立ってアルゴリズムの整理をしておくことは重要である。
結論
子宮頸がん検診の手法として、細胞診単独法、HPV検査単独法、細胞診・HPV検査併用法の各方法について、検診のガイドラインの評価対象として採用された検診としての有効性が示されたランダム化比較試験、および対策型検診として導入されている検診(National program等)のアルゴリズムおよび精度管理体制についての調査を進めたことで、今後わが国でHPV検査を用いた子宮頸がん検診を実施する際の運用方法(対象者の設定、受診間隔、検査陽性となった場合のフローチャート、精度管理体制等)の提案と、同検診を実施する際に留意すべき事項の抽出が可能となる。

公開日・更新日

公開日
2020-09-09
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2020-09-09
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201908041Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
8,000,000円
(2)補助金確定額
8,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,094,829円
人件費・謝金 3,815,325円
旅費 349,330円
その他 241,944円
間接経費 1,500,000円
合計 8,001,428円

備考

備考
1,428円は自己資金より充当。

公開日・更新日

公開日
2021-02-24
更新日
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