全国がん登録の利活用に向けた学会研究体制の整備とその試行、臨床データベースに基づく臨床研究の推進、及び国民への研究情報提供の在り方に関する研究

文献情報

文献番号
201908039A
報告書区分
総括
研究課題名
全国がん登録の利活用に向けた学会研究体制の整備とその試行、臨床データベースに基づく臨床研究の推進、及び国民への研究情報提供の在り方に関する研究
課題番号
19EA1004
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
平田 公一(北海道公立大学法人札幌医科大学 医学部 消化器・総合、乳腺・内分泌外科)
研究分担者(所属機関)
  • 井本 滋(杏林大学医学部付属病院 乳腺外科)
  • 上本 伸二(京都大学大学院医学研究科 肝胆膵・移植外科)
  • 海野 倫明(東北大学 外科病態学消化器外科学分野)
  • 大家 基嗣(慶應義塾大学医学部 泌尿器科)
  • 岡本 高宏(東京女子医科大学 乳腺・内分泌外科学)
  • 掛地 吉弘(神戸大学大学院医学研究科 食道胃腸外科学)
  • 加藤 則人(京都府立医科大学 皮膚科学教室)
  • 川井 章(国立がん研究センター中央病院骨軟部腫瘍・リハビリテーション科)
  • 木下 義晶(新潟大学小児外科)
  • 弦間 昭彦(日本医科大学)
  • 河野 浩二(福島県立医科大学 消化管外科学講座)
  • 小寺 泰弘(名古屋大学大学院医学系研究科 消化器外科)
  • 小林 宏寿(帝京大学医学部附属溝口病院 外科)
  • 佐治 重衡(公立大学法人 福島県立医科大学医学部 腫瘍内科学講座)
  • 柴田 亜希子(国立がん研究センターがん対策情報センターがん登録センター全国がん登録分析室)
  • 神野 浩光(帝京大学 乳腺外科)
  • 杉山 一彦(広島大学病院  がん化学療法科)
  • 竹政 伊知朗(北海道公立大学法人札幌医科大学 医学部 消化器・総合、乳腺・内分泌外科学講座)
  • 千田 雅之(獨協医科大学 呼吸器外科学)
  • 藤 也寸志(国立病院機構九州がんセンター)
  • 永瀬 智(山形大学 産科婦人科学講座)
  • 西田 俊朗(国立がん研究センター)
  • 西山 博之(筑波大学医学医療系 腎泌尿器外科)
  • 野々村 祝夫(大阪大学泌尿器科学)
  • 袴田 健一(弘前大学大学院医学研究科 消化器外科学講座)
  • 長谷川 潔(東京大学医学部附属病院肝胆膵外科、人工臓器・移植外科)
  • 堀口 明彦(藤田医科大学大学院医学研究科 消化器外科学講座)
  • 水島 恒和(大阪大学 炎症性腸疾患治療学寄附講座)
  • 吉野 一郎(千葉大学大学院医学研究院 呼吸器病態外科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
7,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本邦のNation‐wideの臨床データベースにはDPCデータ、保険診療データ、が、更にがんに特化する事業としては地域がん登録、院内がん登録、(全国)がん登録、そして学会等が主導する臓器がん登録がある。前5種の個々の登録データによる分析では医療の質を評価するには限界があり、国際的・学術的な視点からは、時を経て貢献をし続けた研究はみられない。一方、医療の質評価を目的として多数の登録項目を設定する臓器がん登録データに、全国がん登録予後データを加えるならば、精緻性が加わることは明らかである。その結果、医療の質評価、今後必要とされる新規医療の探索、等が可能となり、牽いては国民医療貢献に一役を果たすであろう。しかし、現状では相互乗り入れの研究実施は困難である。本研究の目的は、第一に、その困難性を打開策の探索、課題解決後の事業相互の関連性の構築、等の学会間での合意形成、第二に、上記体制が可能となった場合の臨床研究の更なる推進策、研究成果の実臨床への早期導入、新たに必要となる体制整備の条件抽出、第三に、国民向けの情報公開の一策として,「国民に解りやすい登録データ活用研究の内容紹介」によって、国民・医療者間での情報、を目標とする。
研究方法
「固形癌のがん診療ガイドライン公表する学会」において、臓器がん登録事業を担当あるいは疾病登録事業に精通する研究者に研究分担者として、研究を支援する研究者に研究協力者として参加頂いている。研究初年度に於いては、登録事業の展開状況として、(1)第三者機関へ登録と登録データの分析を委託しているか否か、(2)分析データについては第三者機関への登録データに限っているか否か、(3)登録データ利活用による臨床研究経験数の多寡とその応用内容、(4)がん種登録が通年登録か否か、短期登録研究の有無(5)研究内容の公表方法、等の状況から3種のサブグループに分け、以下の研究も行った。サブグループⅠ:全国がん登録の予後データの臓器がん登録への連結活用の意義と課題、及び活用時の体制、サブグループⅡ:学会自体による登録・分析実施に関する課題の有無・治療内容別の登録実態とその妥当性、サブグループⅢ:臨床データベースを用いた研究結果の活用面の把握―国際貢献度、国内貢献度において―、の3種である。なお、研究分野別の臨床研究成果については、年度末の公表・報告を必須とした。
結果と考察
具体的詳細結果は次ページ以降の“総括研究報告書内の「C.研究結果」”に記載した。以下に結果・考察の概要を列挙する。①20種以上の学術団体、約30種の固形癌領域について登録体制、登録事業内容の実態把握を行った。更に、当該研究班に関与せぬ組織としての“がん診療に係るガイドラインを発刊する学会”にアンケート調査を行った。その結果、前者にあっては希少がん(今回は十二指腸癌)とGISTの2領域を除くがん種については通年登録を実施していた。上記二領域については登録事業に係る財務的困難性から、またアンケート先の全学会では理由不明ながら登録事業計画が全く無いことが確認された。②「全国がん登録の利活用」の詳細認識度は全ての学会で極めて低く、神経内分泌腫瘍領域のみ利活用予定であった。“オプトイン”で登録実施されていぬことが利活用不可条件となることを初めて知った学会が大部分であった。いずれの学会もオプトイン実施は、臨床現場の実態にそぐわぬため、早期打開による解決の必要性が要望された。③登録・分析体制、登録事業内容の多様性、等で学会間に相異があり、長所・短所の把握・確認の範囲で論議を終えた。支持基盤となる財務的、人材的課題の学会間格差が反映されていることを確認し合った。④市民向けの研究情報を提供する学会は全くなく、公的な論文紹介に留まっていた。学会横断的に共通の市民向け公表体制の確立が望ましいことを合意した。
結論
7種の大研究項目とそれぞれの大項目に3~6種の小研究項目が設定され、それぞれの初年度研究目標についてはほぼ達成できていた。登録の実施がん種数については、学会組織運営条件の困難性のためにほぼ不可能と目論んでいた二組織を除いて他の全てで一定基準を満たし登録が為されていた。通年登録体制を上記学会全てで今年度中に実現できていたのは、想定より早期の実現であった。長期間に渡り、充実した登録条件体制は5種で実施され研究業績内容も高いレベルにある傾向であった。肺癌領域においては、第三者機関に登録を委ねてはいないものの国際的に評価の高い論文による貢献度は顕著であった。全国がん登録データの活用、一般市民向けの研究公表の在り方、については一定の合意に至ったものの新たな課題が抽出・提言され、二年目研究に対し全く新たな示唆・研究が要請された。一年を振り返り、総じて予定研究は順調に経過できた。

公開日・更新日

公開日
2020-09-09
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2020-09-09
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201908039Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
9,750,000円
(2)補助金確定額
9,750,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,268,321円
人件費・謝金 880,296円
旅費 3,210,410円
その他 2,140,973円
間接経費 2,250,000円
合計 9,750,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2021-02-24
更新日
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