全国がん登録情報で得られる乳がん・卵巣がん・子宮体がんの発症率と胚細胞系列変異との統合解析による累積リスク評価系の構築

文献情報

文献番号
201908037A
報告書区分
総括
研究課題名
全国がん登録情報で得られる乳がん・卵巣がん・子宮体がんの発症率と胚細胞系列変異との統合解析による累積リスク評価系の構築
課題番号
19EA1002
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
白石 航也(研究開発法人 国立がん研究センター 研究所 ゲノム生物学研究分野)
研究分担者(所属機関)
  • 河野 隆志(研究開発法人 国立がん研究センター 研究所 ゲノム生物学研究分野)
  • 加藤 友康(研究開発法人 国立がん研究センター 中央病院 婦人腫瘍科)
  • 内藤 陽一(研究開発法人 国立がん研究センター 東病院 先端医療科)
  • 片野田 耕太(研究開発法人 国立がん研究センター がん対策情報センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
2,100,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、全国がん登録から得られる年齢層別型の発症率と国内多施設共同研究で収集された血液DNA由来ゲノムデータ15,000例以上を基に、BRCA1やBRCA2胚細胞系列変異を伴う日本人乳がん・卵巣癌・子宮体がん患者のそれぞれの累積・絶対リスクを算出することを目的とする。本研究を通して、全国のゲノム医療で実施される遺伝子パネル検査で副次的に得られる偶発的な所見の解釈を行うための重要な疫学情報の提供につなげる。
研究方法
全国がん登録から得られる乳がん、卵巣がん、子宮体がんの年齢層別での発症率を算出し、統計データの作成を進める。特にBRCA1/2遺伝子で認められる病的バリアントの評価を行う。さらに全国がん登録のデータより、統計解析データとして、乳がんの年齢層別での発症率の算出等を行い、遺伝要因と乳がん発症率を統合的に解析することで、累積リスクを評価する。
結果と考察
乳がん症例の既取得ゲノムデータに対するアノテーション(病的バリアントの有無)を実施するため、ClinVarに登録されているACMG基準情報の他に、QCIを用いたアノテーションも利用した。これらの情報をもとに、エクスパートパネルでのアノテーション評価の妥当性も合わせて確認を行っている。国立がん研究センターが中心となり収集された乳がん、卵巣がん、子宮体がん症例とバイオバンクジャパンにて収集された卵巣がん、子宮体がん症例 14,239例の内、まずは乳がん症例において、BRCA2遺伝子に病的バリアントが認められたのが163例、BRCA1遺伝子に病的バリアントが認められたのが92例であった。これにより255例が遺伝性腫瘍と考えられた。(1)発症年齢を元にした累積リスク算出のためのアルゴリズムの実施、(2)絶対リスク算出のためのアルゴリズム(Antoniou et al., Am. J. Hum. Genet. 72:1117–1130, 2003)の導入を進めており、共にテストデータを用いた検討を行っている。
結論
初年度は順調に絶対・累積リスク算出に必要な診療情報の収集とゲノム情報の統合を進めた。またBRCA病的バリアントを伴う乳がん症例について、解析に必要な第一度近親者で卵巣がんもしくは乳がんを発症した際の発症年齢の調査が間もなく終了する予定である。

公開日・更新日

公開日
2020-09-09
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201908037Z