がんリハビリテーションの均てん化に資する効果的な研修プログラムの策定のための研究

文献情報

文献番号
201908035A
報告書区分
総括
研究課題名
がんリハビリテーションの均てん化に資する効果的な研修プログラムの策定のための研究
課題番号
H30-がん対策-一般-010
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
辻 哲也(慶應義塾大学 医学部 リハビリテーション医学教室)
研究分担者(所属機関)
  • 川手 信行(昭和大学 リハビリテーション医学講座)
  • 酒井 良忠(神戸大学 大学院)
  • 幸田 剣(和歌山県立医科大学 リハビリテーション医学講座)
  • 岡村 仁(広島大学 大学院医歯薬保健学研究科)
  • 高倉 保幸(埼玉医科大学 保健医療学部 理学療法学科)
  • 大庭 潤平(神戸学院大学 総合リハビリテーション学部 作業療法学科)
  • 神田 亨(静岡県立静岡がんセンター リハビリテーション科)
  • 杉森 紀与(東京医科大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
3,840,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
がん患者では治療の影響や病状の進行に伴い、日常生活に障害を来し著しく生活の質が低下することから、がん領域でのリハビリテーション(以下、リハビリ)診療の重要性が指摘されている。がんのリハビリ診療の均てん化を図るためには診療を提供する側の資質の向上が必要であることから、平成19年から厚労省委託事業として「がん患者に対するリハに関する研修事業」が始まり、平成26年からは「がん患者リハビリテーション料」の算定要件を満たす研修会(CAREER)が開催されている。しかし、リハビリ科専門医が配置されている拠点病院はいまだ少なく、また、外来がん患者への対応は十分でない。従って、社会復帰の観点も踏まえ外来や地域の医療機関等と連携し、質の高いがんのリハビリ診療を実施していく必要がある。
そこで本研究では、1) がんのリハビリ診療の現状と課題、今後の取り組むべきことを明らかにすること、2)社会復帰、社会協働を踏まえた普遍性の高い研修プログラムを作成すること、3)作成された研修プログラムの効果を検証することを目的とした。
研究方法
 3年間の計画で、がんリハビリ診療や研修のあり方を検討し、それをもとに研修プログラムの開発を行い、開発した研修プログラムを実際に導入し、アンケート調査により、フィードバックを受け、研修プログラムを策定し、標準化された研修プログラムとして使用されることにより、がん患者がリハを受けられる体制を拠点病院等に普及させる。研究の全体計画は、以下のとおりである。
・平成30年度:がんリハビリのあり方の検討、研修プログラムの立案、学習目標の設定
・令和1年度:研修プログラムの教材作成
・令和2年度:研修プログラムの完成・全国的な研修プログラムの導入

令和1年度には、以下①~③の年次計画を立案した。
①がんのリハビリ診療や研修のあり方の検討
引き続き検討し、成果物としてまとめる。
②がんのリハビリ研修(E-CAREER)e-learningシステムの開発・新たな研修プログラムの試行
研修の動画制作(撮影・編集)を継続、e-learningシステムを開発し、e-learning(自宅研修)やグループワーク(集合研修)を含む新たなプログラムを試行し、研修前後にテストによる学習効果の評価および講師・学習者へのアンケート調査を実施し、学習者のニーズに合った研修プログラムとなるように修正を行う。
③リンパ浮腫研修の学習目標を設定、研修プログラムの見直し
研修プログラムの学習目標を設定し、研修プログラムの見直し、新プログラムを立案する。新プログラムは、学習目標に準拠した座学部分のe-learningやグループワークを含む効率的かつ実践的な内容とする。
結果と考察
 令和1年度の研究成果を以下の①~③に示した。
①がんのリハビリ診療や研修のあり方の検討
研究分担者・協力者および有識者が参加し、2回のグループワークを開催し、がんのリハビリ診療やリンパ浮腫診療のあり方・研修のあり方に関する提言を作成・改訂した。
また、国際的ながんリハビリ医学に関する学術誌であるJ cancer rehabilにわが国のがんリハビリテーションの動向と今後の課題に関する総説が掲載され、本研究班の活動を紹介した。CAREER研修の取り組みについて、第13回国際リハビリテーション医学会世界会議(ISPRM、神戸)にて令和1年6月に発表(優秀ポスターノミネート)、新リンパ浮腫研修の取り組みについて、国際サポーティブケア学会(MASCC、サンフランシスコ)にて令和1年6月に発表した。
②がんのリハビリ研修(CAREER)e-learningシステムの開発・新たな研修プログラムの試行
研修の動画制作(撮影・編集)を継続、新たなe-learningシステム(E-CAREER)を開発し、E-CAREER研修のトライアル研修を令和1年8月~10月に実施した。23名が登録、e-learningは、全員が受講期限内に視聴を完了し、確認テストに合格した。集合研修は令和1年10月に開催した。研修終了後には、受講生を対象にアンケート調査を実施し、研修内容の見直し、修正を行った。
③リンパ浮腫研修の学習目標を設定、研修プログラムの見直し
研修プログラムの学習目標を設定し、研修プログラムの見直し、新プログラムを立案した。リンパ浮腫研修の一部の動画製作(撮影・編集)を行った。
結論
本研究では、がん診療やがんリハ関連の学協会、がん有識者と協力体制をとりつつ、1、がんリハのあり方の提言の作成、研修プログラムの立案、学習目標の設定、研修プログラムの教材作成し、研修プログラムを完成させ、全国のがんリハ研修での導入を目指す
平成30年度、令和1年度ともに、研究は交付申請時の計画よりやや早いペースで遅滞なく進んでいる。

公開日・更新日

公開日
2020-09-09
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2020-09-09
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201908035Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
4,992,000円
(2)補助金確定額
4,992,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 8,154円
人件費・謝金 55,548円
旅費 1,095,000円
その他 2,711,097円
間接経費 1,152,000円
合計 5,021,799円

備考

備考
収入には補助金4,992,000円のほか自己資金29,799円が含まれるため、収入の(2)補助金確定額と支出の研究費合計に差異がある。

公開日・更新日

公開日
2021-05-14
更新日
-