文献情報
文献番号
201907006A
報告書区分
総括
研究課題名
子育て世代包括支援センターの全国展開に向けた体制構築のための研究
課題番号
H29-健やか-一般-006
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
佐藤 拓代(地方独立行政法人大阪府立病院機構 大阪母子医療センター 母子保健情報センター)
研究分担者(所属機関)
- 山縣然太朗(山梨大学大学院 総合研究部医学域社会医学講座)
- 山崎 嘉久(あいち小児保健医療総合センター 保健センター)
- 高橋 睦子(吉備国際大学 保健医療福祉学部)
- 横山 美江(公立大学法人大阪市立大学大学院 看護学研究科)
- 福島富士子(東邦大学 看護学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 成育疾患克服等次世代育成基盤研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
7,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
母子保健法改正により、子育て世代包括支援センター(以下「センター」とする)の設置が市町村の努力義務とされ、令和2年度末までの全国展開が目指されている。我が国の母子保健の従来からの「リスク特定・介入」を中心とするアプローチに加え、センターでは、全ての妊産婦・親を対象とするポピュレーションアプローチを行うことから、母子保健と子育て支援の融合によるセンターを全国展開する体制構築を支援し、妊娠期からの切れ目ない子育て支援を推進することを目的とする。
研究方法
1.子育て世代包括支援センターの設置推進支援
厚生労働省母子保健課による平成31年4月1日現在のセンター設置状況は、全国1,741カ所の市区町村の内983カ所で、設置率は56.5%であった。設置率の低い北海道、青森県、徳島県、沖縄県の協力を得て、自治体を対象としたセンター設置推進の研修を行う。
2.子育て世代包括支援センター事業ガイドライン(改定案段階)の作成
1.における道県研修において、研修内容への自治体等参加者からの意見や取組報告を参考にし、またこの研修の一部では、自治体の課題、設置阻害要因、解決策等についてワークショップ手法等を用いて検討を行い、センター事業ガイドライン(改定案段階)の検討を行う。
3.子育て世代包括支援センターにおける面談・支援の手引き(案段階)の作成
1.における道県研修の一部や、設置が進んでいるが協力のあった県において、フィンランドのネウボラ等での支援技術や、フィンランドの児童精神医学からのアプローチを参考とした、ロールプレイによる面談・支援のモデル研修を自治体保健師等に行う。
これらの内容と、前年度に行ったモデル研修及びモデル支援プランをもとに、センターにおける面談・支援の手引きの検討を行う。
4.研究内容の啓発
3年間の研究成果について、分担研究者によるシンポジウムを開催し自治体等に啓発を行う。
厚生労働省母子保健課による平成31年4月1日現在のセンター設置状況は、全国1,741カ所の市区町村の内983カ所で、設置率は56.5%であった。設置率の低い北海道、青森県、徳島県、沖縄県の協力を得て、自治体を対象としたセンター設置推進の研修を行う。
2.子育て世代包括支援センター事業ガイドライン(改定案段階)の作成
1.における道県研修において、研修内容への自治体等参加者からの意見や取組報告を参考にし、またこの研修の一部では、自治体の課題、設置阻害要因、解決策等についてワークショップ手法等を用いて検討を行い、センター事業ガイドライン(改定案段階)の検討を行う。
3.子育て世代包括支援センターにおける面談・支援の手引き(案段階)の作成
1.における道県研修の一部や、設置が進んでいるが協力のあった県において、フィンランドのネウボラ等での支援技術や、フィンランドの児童精神医学からのアプローチを参考とした、ロールプレイによる面談・支援のモデル研修を自治体保健師等に行う。
これらの内容と、前年度に行ったモデル研修及びモデル支援プランをもとに、センターにおける面談・支援の手引きの検討を行う。
4.研究内容の啓発
3年間の研究成果について、分担研究者によるシンポジウムを開催し自治体等に啓発を行う。
結果と考察
1.子育て世代包括支援センターの設置推進支援
全国平均設置率56.5%のセンター設置率より低い設置率である北海道(24.0%)、青森県(17.5%)、徳島県(12.5%)、沖縄県(14.6%)に対して、道県の協力を得て研修等の支援を行った。センター設置による利用者目線での支援やPDCAによる評価等を理解し、母子保健と子育て支援が融合した自治体の取組を知ることで、設置する意向の自治体が増加した。
2.子育て世代包括支援センター事業ガイドライン(改定案段階)の作成
3年間の研究において行ってきた、センター設置推進等の自治体研修やワークショップ等から抽出された内容等を元に検討を行った。改訂するポイントを、①点でのアセスメントによる特別な親子への支援から、面での点生活者としての視点から全ての親子への支援、②関係性構築の重要性。特に公的サービスとの最初の出会いの場である妊娠届出時の信頼関係づくり、③支援の見える化と共有、関係性構築のツールとしての支援プランの活用、④市区町村子ども家庭総合支援拠点の役割を踏まえた連携支援、⑤PDCAによる事業評価、⑥道府県と県型保健所の関与の重要性、として作成した。
3.子育て世代包括支援センターにおける面談・支援の手引き(案段階)の作成
フィンランドのネウボラ等での支援技術や、フィンランドの児童精神医学からのアプローチを参考に、自治体保健師等に関係性構築に関する研修に加えて、利用者と支援者を経験するロールプレイによる研修を行い、利用者と支援者の立場を経験することができ効果的との反応があった。これらをもとに手引き(案段階)の作成を行った。
4.研究内容の啓発
3年間の研究成果を報告するシンポジウムを開催し、全国から170名の参加があった。
全国平均設置率56.5%のセンター設置率より低い設置率である北海道(24.0%)、青森県(17.5%)、徳島県(12.5%)、沖縄県(14.6%)に対して、道県の協力を得て研修等の支援を行った。センター設置による利用者目線での支援やPDCAによる評価等を理解し、母子保健と子育て支援が融合した自治体の取組を知ることで、設置する意向の自治体が増加した。
2.子育て世代包括支援センター事業ガイドライン(改定案段階)の作成
3年間の研究において行ってきた、センター設置推進等の自治体研修やワークショップ等から抽出された内容等を元に検討を行った。改訂するポイントを、①点でのアセスメントによる特別な親子への支援から、面での点生活者としての視点から全ての親子への支援、②関係性構築の重要性。特に公的サービスとの最初の出会いの場である妊娠届出時の信頼関係づくり、③支援の見える化と共有、関係性構築のツールとしての支援プランの活用、④市区町村子ども家庭総合支援拠点の役割を踏まえた連携支援、⑤PDCAによる事業評価、⑥道府県と県型保健所の関与の重要性、として作成した。
3.子育て世代包括支援センターにおける面談・支援の手引き(案段階)の作成
フィンランドのネウボラ等での支援技術や、フィンランドの児童精神医学からのアプローチを参考に、自治体保健師等に関係性構築に関する研修に加えて、利用者と支援者を経験するロールプレイによる研修を行い、利用者と支援者の立場を経験することができ効果的との反応があった。これらをもとに手引き(案段階)の作成を行った。
4.研究内容の啓発
3年間の研究成果を報告するシンポジウムを開催し、全国から170名の参加があった。
結論
研究最終年度である令和元年度は「センター未設置自治体減少と支援技術の維持向上」を目標とした。設置率に地域差があることと人口の小さい自治体では設置率が低いことから、センターの全国展開には都道府県や県型保健所の協力と支援が重要である。
各種研修等により把握した地域の実情と効果的であった研修、自治体による課題解決を目指したワークショップ等から、厚生労働省の「子育て世代包括支援センター業務ガイドライン」の改訂の材料となる「子育て世代包括支援センター業務ガイドライン(改訂案段階)」を作成した。
妊娠期からの切れ目ない子育て支援には、利用者と支援者の関係性構築が重要であり、海外の取組等を参考にしたロールプレイで利用者を疑似体験することが効果的であった。これらをもとに 「子育て世代包括支援センターにおける面談・支援の手引き(案段階)」を作成した。
センターを設置し効果的な地域活動展開を進めるとともに、利用者目線に立った関係性構築の支援を行うことが重要であり、今後も研究を続けていく必要がある。
各種研修等により把握した地域の実情と効果的であった研修、自治体による課題解決を目指したワークショップ等から、厚生労働省の「子育て世代包括支援センター業務ガイドライン」の改訂の材料となる「子育て世代包括支援センター業務ガイドライン(改訂案段階)」を作成した。
妊娠期からの切れ目ない子育て支援には、利用者と支援者の関係性構築が重要であり、海外の取組等を参考にしたロールプレイで利用者を疑似体験することが効果的であった。これらをもとに 「子育て世代包括支援センターにおける面談・支援の手引き(案段階)」を作成した。
センターを設置し効果的な地域活動展開を進めるとともに、利用者目線に立った関係性構築の支援を行うことが重要であり、今後も研究を続けていく必要がある。
公開日・更新日
公開日
2020-10-28
更新日
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