麻酔を実施する施設における、麻酔科専門医と麻酔科標榜医(非専門医)の間でのタスクシェアリングに資する研究

文献情報

文献番号
201906034A
報告書区分
総括
研究課題名
麻酔を実施する施設における、麻酔科専門医と麻酔科標榜医(非専門医)の間でのタスクシェアリングに資する研究
課題番号
19CA2035
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
小板橋 俊哉(東京歯科大学 歯学部)
研究分担者(所属機関)
  • 齋藤 繁(群馬大学・大学院医学系研究科)
  • 廣瀬 宗孝(兵庫医科大学・麻酔科学・疼痛制御科学講座)
  • 藤野 裕士(大阪大学大学院医学系研究科・生体統御医学講座 麻酔・集中治療医学教室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
2,160,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
現在、医師の働き方改革は医療政策の中での最重要課題の一つである。「医師の働き方改革に関する検討会 報告書」(平成31年3月28日 医師の働き方改革に関する検討会)においても、「2024年4月からの(中略)新たな時間外労働に対する規制(新時間外労働規制)の適用まで、必要かつ実効的な支援策を十分に講じながら、最大限の改革を行うべき」とされている。また、同報告書においては、「医療機関内のマネジメント改革(…、医療従事者の合意形成のもとでの業務の移管や共同化…)を、全体として徹底して取り組んでいく必要がある。」とされている。医療機関はその内部でマネジメントを徹底し、医療従事者の間で負担を適切に分担することが求められている。
 中でも麻酔科については、麻酔科医が不足しているという指摘が多くなされることに加え、麻酔が実施されないことは手術を行えないことに直結するため、重点的に対策を進める必要がある。これまで、麻酔科専門医が中心となって麻酔業務を実施し、麻酔科標榜医(非専門医)は補足的な役割を担うものと診療現場では認識されてきた。麻酔科標榜医は、厚生労働大臣が許可するものであり、現状、麻酔科標榜医許可後、3年間以上の専門研修を経て一定の基準に達したものが麻酔科専門医として認定される。すなわち、全ての麻酔科専門医は麻酔科標榜許可を有しているが、麻酔科専門医の資格を持たない麻酔科標榜医もいる。こうした背景の中、本研究は、麻酔科専門医と麻酔科標榜医(非専門医)の適切なタスクシェアリングの早期達成に資するよう、麻酔科標榜医(非専門医)の麻酔技術習熟度確認に加え、現状の麻酔科専門医と麻酔科標榜医(非専門医)の業務分担状況の把握を目的とする。
研究方法
研究の開始にあたり、既存の議論について文献調査した。その後、調査すべき項目を会議で整理し、WEBアンケートを作成し調査を実施した。WEB調査結果を解析し、麻酔科標榜医の活動状況の把握、麻酔科専門医からタスクシェアリング可能な業務の抽出、タスクシェアリング実施に必要な教育方法を検討した。

(倫理面への配慮)
公益社団法人 日本麻酔科学会 倫理委員会においてアンケート内容の倫理的妥当性に関して承認を得たのち実施した。
結果と考察
全国1416の調査依頼先のうち47.4%にあたる671施設から回答を得た。671施設のうち、自施設で麻酔科標榜医(非専門医)による麻酔が行われていると回答があったのは10.7%にあたる72施設であった。麻酔科標榜医(非専門医)による麻酔は麻酔科専門医等の監督、協力の下に行われているとの回答が72%で、何らかの再教育を実施している施設が89%を占めた。自施設以外の近隣医療機関に関しては回答施設の66%が「分からない」との回答であり、情報がある施設において、再教育がなされていないという回答が58.8%であった。
結論
麻酔科標榜医(非専門医)による麻酔は全国において一定頻度行われている。麻酔科専門医が在籍する医療機関では麻酔科専門医と麻酔科標榜医(非専門医)の間で比較的良好な協力体制がとられていると考えられるが、麻酔科専門医との協力体制や十分な再教育体制のないまま麻酔科標榜医(非専門医)による麻酔が行われている施設も存在する。今後、麻酔科標榜医(非専門医)の再教育方法やその広報に関して各関連団体と検討が必要と考えられる。

公開日・更新日

公開日
2020-10-07
更新日
2021-01-07

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2020-10-07
更新日
2021-01-07

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201906034C

収支報告書

文献番号
201906034Z