サブスペシャルティ領域専門医の必要医師数と専門医制度における養成数の検討

文献情報

文献番号
201906022A
報告書区分
総括
研究課題名
サブスペシャルティ領域専門医の必要医師数と専門医制度における養成数の検討
課題番号
19CA2023
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
寺本 民生(一般社団法人日本専門医機構)
研究分担者(所属機関)
  • 渡辺 毅(独立行政法人労働者健康安全機構福島労災病院)
  • 宮崎 俊一(大阪府済生会富田林病院)
  • 北川 雄光(慶應義塾大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
7,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
研究の目的:本厚労省特別科学研究は、サブスペシャルティ(サブスぺ)領域診療科所属医師及び専門医に関して、下記の目的を掲げている。
①医師調査票を基に各診療科の平均勤務時間を働き方改革に即して現在の必要医師数を算出する方法論の妥当性の検証。
②医師調査票による各診療科別の専門医数情報と当該領域学会登録専門医数の比較検討。
③医師の卒後の移動実態がサブスペ領域専門医の地域偏在に与える影響の検討。
本研究では、内科系各サブスぺ領域の診療及び所属医師(専門医)の性状や医療における位置づけを主に医師調査票の解析から検討し、さらに各サブスぺ領域学会へのアンケート調査によって、学会側が考える必要専門医数、医療における意義、および社会的役割の情報を検討し、新専門医制度における各サブスぺ領域の位置づけと必要専門医数の算出の基礎データを提供することを目的とする。
特に、対象疾患が比較的明確な、内科系循環器内科領域、外科系乳腺外科領域を対象に検討し、他の領域での考え方を示すことを目的とする。
研究方法
本研究は、内科系、外科系サブ領域の必要医師数を求めることとした。内科系サブスペ領域では各関係学会にアンケートをとり、対象疾患の特定とそれに必要な医師数の提出を求めた。外科系サブスペ領域については以前消化器外科で行ったアンケート調査があるが、今回は対象疾患が比較的明確な乳腺外科について、アンケートによる医師の労働時間を求め、NCDから手術の必要な悪性腫瘍の患者数を求め、乳腺外科専門医の必要医師数を算出した。
結果と考察
研究結果の概要:新専門医制度は、基本領域とサブスペ領域の2段階制度を基本として、総合診療を含む19基本領域を認定した。サブスペ領域に関しては、平成31年から内科系、外科系、放射線科領域において、いわゆる連動研修を行い、一定期間でサブスペ領域を含めた専門医の育成を目指してきた。しかし、これらの基本領域との連動研修は地域医療に影響を与える可能性があるということで、懸案事項となった。とくに、サブスペ領域の必要医師数を示し、連動研修によって地域医療に影響を与えることのないような配慮が求められた。そこで、本研究は、内科系、外科系サブ領域の必要医師数を求めることとした。内科系サブスペ領域では各関係学会にアンケートをとり、対象疾患の特定とそれに必要な医師数の提出を求めた。三師調査の分析では、内科系医師は年代と共にサブスペ領域医師が減少しジェネラリストの内科医が増加するという我が国の医療状況が明らかになった。血液領域の対象疾患は学会アンケートと政府統計による患者数がほぼ一致し、それに基づいて算出した必要医師数は現在の専門医数とほぼ一致する。他の複数の領域では、政府統計には学会アンケートで得られた疾患データの欠損が多く、必ずしも学会の提示した必要医師数の根拠は得られなかった。循環器疾患については、総合内科専門医と循環器内科専門医が担当する疾患や診療手技などはほぼ区分されており、すみ分けが出来ているものと判断された。そこで、代表的な循環器疾患である急性心筋梗塞診療のための必要医師数を求めた。三師調査や内科学会統計、循環器学会が行っている登録研究であるJ-ROADのデータはほぼ一致しており、循環器内科専門の必要医師数は病院で約9,000名、診療所医師を含めると約15,000名となると推測された。外科系サブスペ領域については以前消化器外科で行ったアンケート調査があるが、今回は対象疾患が比較的明確な乳腺外科について、アンケートによる医師の労働時間を求め、NCDから手術の必要な悪性腫瘍の患者数を求め、乳腺外科専門医の必要医師数を算出した。その結果、週60時間勤務であれば、約2,000名の乳腺外科医が必要となり、現行の1,500名より多く必要となる。他のサブ領域についても同様の手法を用いて、必要医師数を求められると思われるが、一部の内科系や外科系の患者数は必ずしも明確ではなく、必要医師数を導くにはこれらのより詳細な患者数データを求めていく必要があるものと思われる。
結論
内科系サブスペ領域における循環器内科専門の必要医師数は病院で約9,000名、診療所医師を含めると約15,000名となると推測された。
外科系サブスペ領域については、乳腺外科専門医の必要医師数を算出した。その結果、週60時間勤務であれば、約2,000名の乳腺外科医が必要となり、現行の1,500名より多く必要となる。
他のサブ領域についても同様の手法を用いて、必要医師数を求められると思われるが、一部の内科系や外科系の患者数は必ずしも明確ではなく、必要医師数を導くにはこれらのより詳細な患者数データを求めていく必要があるものと思われる。

公開日・更新日

公開日
2020-10-22
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2020-10-22
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201906022C

収支報告書

文献番号
201906022Z