大都市における保健・健康理由における移転者の実態と保健サービスの在り方に関する研究

文献情報

文献番号
199800722A
報告書区分
総括
研究課題名
大都市における保健・健康理由における移転者の実態と保健サービスの在り方に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成10(1998)年度
研究代表者(所属機関)
府川 哲夫(国立社会保障・人口問題研究所)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康科学総合研究事業
研究開始年度
平成10(1998)年度
研究終了予定年度
-
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国の国内人口移動は近年、全般的に減少傾向にあるなかで、高齢者の移動が数・率とも増加しており、高齢者の移動率は年齢階級の上昇とともに増加している。このため、いくつかの大都市では顕著になりつつある高齢者の移動についての実態調査を行っている。高齢者の移動と地域の高齢者に対する保健・医療・福祉サービスの相互関係を把握することは、地域の高齢者政策を考える上で極めて重要な課題である。本研究では調査を行う自治体と協力して、高齢期における移動に保健・健康理由がどの程度のウェイトを占め、当該自治体の保健福祉サービスが高齢者の移動にどのように影響しているかを分析することを目的としている。
研究方法
高齢者の「移動実態調査」を行う市川市の協力を得て、高齢者の身体状態、移動前後の保健・福祉サービスの利用状況,移動理由などを調査項目に含んだ調査を実施し、健康サイドから高齢者の移動の実態を詳しく分析した。
調査対象者は1997年7月~98年6月に市川市に転入、市川市から転出、市川市内で転居した65歳以上の者全員(それぞれ473人、869人、593人)である。調査方法は発送、回収とも郵送法により、回収数は転入308人(回収率65%、以下同)、転出502人(58%)、市内転居342人(58%)であった。
結果と考察
今年度研究では、東京都に隣接する中都市(千葉県市川市)において、最近居住移動した高齢者について実態調査(対象2,000名)し、研究分析を行った。調査研究においては、高齢移動者の基本的属性(性・年齢、配偶関係、家族構成等)、高齢移動者の身体状態(ADL、IADL)、疾病の有無、通・入院の状況、被介護の状況、保健医療福祉サービスの利用状況等について、移動前・後の変化を含めた調査項目による調査を実施し、健康・身体機能と移動理由、移動形態等の関係について研究した。
その結果、以下の諸点が明らかとなった。
転入者で在宅福祉サービスを利用している者の日常生活能力は、市内転居者で高齢者施設に入所している者よりも低かった。移動後の外来医療利用率において、市内転居群は転入群、転出群より高い。移動後は転出群において、高齢者施設入所率が他の群よりも高い。
社会活動は移動後、減少しているが、特に転入群で減少している。
移動理由は、転入群は「家族」と「健康」、転出群は「家族」と「施設」、市内転居群は「住宅」であった。
結論
市に健康を理由に転入する高齢者が多い反面、施設入所を理由に市から転出していることからも、市においては、より福祉ニーズを充足させる体制の整備が求められる。

公開日・更新日

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更新日
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