総括製造販売責任者の選任に関する例外規定を定めるための研究

文献情報

文献番号
201906009A
報告書区分
総括
研究課題名
総括製造販売責任者の選任に関する例外規定を定めるための研究
課題番号
19CA2009
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
亀井 美和子(日本大学 薬学部 薬事管理学研究室)
研究分担者(所属機関)
  • 坂巻 弘之(神奈川県立保健福祉大学大学院 ヘルスイノベー ション研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
4,694,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 平成30年度に厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会において薬機法の改正について議論がなされ、製造販売業者のガバナンス体制の強化策の一つとして、総括製造販売責任者(総責)に求められる要件を明確化するとともに、やむを得ない場合に限り、薬剤師以外の者を総責に選任できるような例外規定を設けることとされた。本研究では、例外規定の運用にあたっての地方自治体による行政事務の円滑かつ適正な実施のため、製造販売業者のガバナンスに関する現状を正確にとらえるとともに、例外規定が適用となる要件及び例外規定がなし崩し的に継続適用されないための社内体制等について検討した。
 また、総責のガバナンスのあり方の議論の参考として、国内他業種における製品の品質等に係るガバナンスのあり方、並びに欧州における責任体制・責任者のあり方について調査した。
研究方法
 本研究においては、まず、研究班において本研究に必要な調査事項を洗い出したうえで、医薬品製造販売業者にアンケート調査及びインタビュー調査を実施し、製造販売業者のガバナンス等の現状、及び、要件を満たす薬剤師が確保できない製造販売業者における課題等を把握するための基礎資料を作成した。その後、資料に基づき、どのような場合に薬剤師以外の者を総責として選任できるか、選任する薬剤師以外の者が有するべき知識等について協議し、総責に薬剤師以外の者を選任できる要件等に関する案を策定した。さらに、製造販売業者数社に対しては、例外規定の適用により責務を果たすことが可能な総責を選任できるか等、都道府県に対しては、例外規定の適用の可否を実務上判断できるか等をヒアリングにより確認し、その結果を踏まえて、例外規定のあり方を検討した。
 国内他業種における製品の品質等に係るガバナンスのあり方、並びに欧州における責任体制・責任者のあり方についての情報収集は、国内調査は企業ホームページからの情報収集、欧州調査はインターネットによる公表資料の調査と一部欧州本社企業から資料の提供を受けた。
結果と考察
 医薬品製造販売業者(企業)を対象として実施したアンケート調査及びインタビュー調査の結果からは、多くの企業において総責がその責務を適正に果たしうる環境にあることが認められたが、総責と役員の考えには相違点もみられた。年間売上規模が小さい企業ほど、後継者候補がいないと回答した割合が高かったが、薬剤師要件で困った経験がある企業は年間売上規模に拘わらず4~6割を占めたことから、売上規模が大きい企業と小さい企業とではその背景が異なることが推察された。企業が総責に求める資質、経験等は多岐に亘っており、各企業における育成体制が必要と考えられたが、その体制を有する企業はわずかであった。調査結果及び研究班での協議を踏まえ、総責の交代時に後継者候補として育成していた薬剤師が不在となった場合など、必要な能力及び経験を有する薬剤師がいない場合が、例外規定適用の要件に該当すると考えられた。また、例外規定を適用するためには、繰り返し適用することのないよう、総責たる薬剤師を置くための育成体制や採用計画等の社内体制の確認とともに、例外規定適用期間の上限が必要であり、5年間を上限とすることが適当と考えられた。
 欧州における責任体制・責任者の在り方について、Qualified Person;QP、Qualified Person for Pharmacovigilance;QPPVの要件等についての情報が得られた。
結論
 調査結果を踏まえ、総責の交代時に、後継者候補として育成していた薬剤師が不測の事態により不在となった場合など、必要な能力及び経験を有する薬剤師がいない場合が、例外規定が適用となる要件に該当すると考えられた。また、例外規定を適用するためには、繰り返し適用することのないよう、総責たる薬剤師を置くための育成体制や採用計画等の社内体制を確認すること、例外規定の期間の上限を定めることが必要である。

公開日・更新日

公開日
2020-08-18
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2020-08-18
更新日
2020-10-14

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201906009C

収支報告書

文献番号
201906009Z