厚生労働分野のオープンサイエンス推進に向けたデータポリシー策定に資する研究

文献情報

文献番号
201906008A
報告書区分
総括
研究課題名
厚生労働分野のオープンサイエンス推進に向けたデータポリシー策定に資する研究
課題番号
19CA2008
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
木村 映善(国立保健医療科学院)
研究分担者(所属機関)
  • 日野原 友佳子(国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 国立健康・栄養研究所)
  • 堀内 直哉(国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 戦略企画部)
  • 青柳 一彦(国立研究開発法人国立がん研究センター 研究支援センター)
  • 岩上 直嗣(国立研究開発法人国立循環器病研究センター 研究振興部研究医療課)
  • 波多野 賢二(国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センタートランスレーショナルメディカルセンター)
  • 石井 雅通(国立国際医療研究センター 医療情報基盤センター)
  • 野口 貴史(国立研究開発法人国立成育医療研究センター 情報管理部)
  • 滝川 修(国立研究開発法人国立長寿医療研究センター 治験・臨床研究推進センター開発・連携推進部)
  • 斎藤 嘉朗(国立医薬品食品衛生研究所 医薬安全科学部)
  • 小島 克久(国立社会保障・人口問題研究所 情報調査分析部)
  • 大澤 英司(国立感染症研究所)
  • 小野 栄一(国立障害者リハビリテーションセンター)
  • 小林 卓馬(独立行政法人国立病院機構 本部総合研究センター)
  • 高橋 洋(独立行政法人労働者健康安全機構 研究試験企画調整部)
  • 日詰 正文(独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園 研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
8,100,000円
研究者交替、所属機関変更
研究代表者所属機関異動 氏名:木村映善 異動前)国立保健医療科学院統括研究官(~令和2年4月30日)  ↓ 異動後)愛媛大学大学院医学系研究科医療情報学講座(令和2年5月1日~)

研究報告書(概要版)

研究目的
統合イノベーション戦略においてオープンサイエンスを推進するための社会インフラとしてのデータ基盤の整備が明示され、国立研究開発法人はデータポリシーを2020年度中に策定し、これに基づく研究データの管理・公開等を促進することとなった。また、データポリシーの策定にあたって「国立研究開発法人におけるデータポリシー策定のためのガイドライン」(平成30年6月29日)を参考にすることが求められている。これを受けて、データポリシーを策定する厚生労働省が所管する研究機関で策定すべきデータポリシーに関して、機関共通で取り組むべき事項、各研究機関の特性に応じて取り組むべき事項を整理し、厚生労働行政等に資する研究データの利活用を最大限に促進するために必要な、一貫性及び整合性のあるデータポリシーの要件を明らかにするとともに、機関リポジトリの整備及び運用に関する提言を取りまとめることを目的とした。
研究方法
2019 年 11 月から 2020 年 4 月にかけて、厚生労働省所管の研究機関から1名ずつ各分担研究者として参画いただき、各分担研究者から所内メーリングリスト及び文面にて、2 週間前後の回答期間を設定し、Webアンケート調査への協力依頼を送信した。データポリシー策定の際に参考となるような研究者のデータ保有状態、公開に関する意向等を確認するために、質問票を用いた先行研究群にもとづいて、公開データの利用状況 、データ保持状況、データの保持対象、学際的な研究データの利用、研究データの提供状況、データに関する技能等の複数カテゴリに渡って多項選択式を中心とした質問を行った。WebアンケートシステムにはLime Surveyを国立保健医療科学院でホストし、統計処理ソフトウェアRを用いて分析した。複数選択肢があるものはリッカート尺度にもとづき、Likert パッケージを利用して分析した。
結果と考察
公開データの利用状況について、公開したデータのパブリシティを効率的に獲得するために、主要なサーチエンジンに認識されるように公開データのメタデータを提供すること、公開データが論文や学術記事の参考文献に引用されるようなデータ引用に関する環境を整えることが望まれる。データ保持状況について、将来における検証、再検証ができるように可及的にデータの構造化・標準規格の準拠を推進し、研究者から保管の負担と責任を減じるような、長期間に渡ってセキュアに保管するプラットフォームの開発と提供が有効な施策であると考えられた。また、長期間に渡って信頼性のある形でデータを保存・管理する取り組みを個々の機関で行うことは困難が伴うので、データ管理について責任を負うシステムあるいは組織の外部化・委託によって継続性を担保する取り組みが必要であることが示唆された。データの保持対象については、データの誤用への懸念、そして誤用を防ぐための必要十分な情報提供がされることが重要であるが、その情報提供の準備に割く人的資源の不足が指摘された。異分野での利用はオープンマインドではあるが、現実的問題としてそれが成立するための環境整備に回す余力がない現場の実情が伺えた。データに関する技能については、データの作成者である研究者がおさえるべき適切なデータ形式と知的財産・ライセンスと研究活動にも直接関わるテーマでのトレーニング開発から着手することが望ましいと考えられた。
結論
各研究機関において、研究分野(内容)や成果としてのデータ形式が異なることから、一律のデータポリシーを策定するのではなく、データポリシーは各研究機関が、その独自性を踏まえて作成することが望ましい。その上で、全体的にオープンサイエンスにむけて取り組むべき事項を以降に提案したい。公開データのパブリシティを向上させる取り組みに従事し、データ公開に伴う安全性や匿名加工処理等の検討や支援ができる専門家が必要な人材として望まれる。研究組織は事業継続性に配慮し、長期間に渡り安全に公開データを保存・管理するプラットフォームを構築・運用すること。オープンアクセス、オープンジャーナルを標榜しているジャーナルへの投稿を推奨し、研究活動のパブリシティ向上に努めること。データ作成・公開の業績を評価するメトリクスを開発し、データ作成・管理に関わる者の人事評価に配慮すること。オープン&クローズ戦略が確立されていない研究機関は、オープンデータポリシーの検討に伴い、既存の規則の活用に加え、職務発明規程や就業規則の修正・追補を検討すること。国・省庁はこれら研究機関の取り組みを支援する予算確保・施策に取り組むことが求められる。

公開日・更新日

公開日
2020-07-28
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2020-07-28
更新日
2020-10-22

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201906008C

収支報告書

文献番号
201906008Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
8,100,000円
(2)補助金確定額
3,830,000円
差引額 [(1)-(2)]
4,270,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,198,248円
人件費・謝金 770,129円
旅費 947,118円
その他 915,358円
間接経費 0円
合計 3,830,853円

備考

備考
留意事項に従い、千円未満の端数を切り捨てたため。差額853円は代表者の自己負担とする。

公開日・更新日

公開日
2020-09-15
更新日
-